連載:絵本で見る宇宙

【5冊目】

Vol.1で紹介したかこさとしさんの『宇宙 ―そのひろがりをしろう―』。
情報が多くて、もしかしたら、肝心のストーリーを追うのが難しかったかもしれま せん。今回紹介するのは、同じ内容をもっとシンプルにした、まさに「絵本」とい う一冊です。


『ぼくのいまいるところ かこ・さとし かがくの本1』
かこさとし 著/太田大輔 絵  童心社
ISBN 4-494-00951-2


 自分はどこにいるのだろう?
子どものころ、こんな疑問を抱いたことをある人もいるかもしれません。天文学と は「私たちがこの広い宇宙のどこのいるのか?」を追及する学問でもあります。そ んな疑問に、子どもたちにもわかりやすく答えてくれるのがこの一冊です。

 「あなたがいまいるところはどこですか?」
 「ぼくはいまここにいます」

 ではじまる、この本。家の庭、家、町…とだんだん「ぼく」を中心に世界が広が っていき、銀河系、大宇宙へとつづいていくのです。

 ストーリーはいたってシンプル。全文ひらがなで書かれ、専門用語はほとんど使 われていません。文章の量も少なく、子どもたちへの読み聞かせにもぴったりです。 大人の皆さんにも、絵を楽しみながら気軽に読んでもらえるのではないでしょうか?

 ただ、ひとつだけ注意が!
それは、地球は宇宙の中心ではないということです。こういう本では、どうしても 「なにか」を中心に書かざるをえません。しかし、特別な場所はなく、どこでも 「中心」になりうるのが宇宙。子どもたちにはまだまだ難しい概念かもしれません が、大人の皆さんは、このことを頭の片隅にいれて、子どもたちへ読んであげてく ださいね。



(塚田:姫路星の子館 2008年11月)