連載:絵本で見る宇宙

【11冊目】

 今年は世界天文年。ガリレオがはじめて望遠鏡で天体観察を行ってから400年目 の節目の年です。ガリレオの偉大な点は、天体観察を通じて、これまで机上の考え であった地動説を証明したことです。しかし、地球が回っているなんていう突拍子 もない考え、キリスト教的な考えが人々を支配していた当時、なかなか受け入れら れませんでした。今回紹介する絵本は、そんな昔の人たちの考え方がわかる絵本で す。


 『天動説の絵本 −てんがうごいていたころのはなし−』
文・絵 安野光雅
ISBN4-8340-0751-0


 地球は丸い・・・今は誰もが知っていることですね。では、皆さんはなぜ地球が 丸いことが分かったか、知っていますか?宇宙に行くことが比較的簡単になった今、 丸い地球の姿を人間が、もしくは探査機が捉えることは、難しいことではありませ ん。アポロ17号の宇宙飛行士が撮影した丸い地球の写真は、あまりにも有名ですね。 最近では、「かぐや」が撮影した「地球の出」の映像でも、月から丸くて青い地球 が昇っていました。

 しかし、地球が丸い、ということがわかったのは、今から2000年以上も前のこと なのです。当然、宇宙に行くことは出来ませんでした。地球にいながら、地球が丸 いということに人は気づいたのです。どうやって?

 また、今では地球は太陽の周りを一年かけて回り、さらに地球自身が一日に一回、 回っていることは多くの人が知っています。常識、と言ってもいいかもしれません。 ところが、400年前はそれが常識ではなかったのです。皆さんは、地球が太陽の周 りを回っていることを、証明できますか?

 これは宇宙に行っても見ることはできません。さあ、どうしましょう?

 多くの人が答えに詰まるのではないでしょうか?昔の人も、誰かが「地球は丸い!」 「地球は回っている!」とか言っても、なかなか信じなかったのです。だって、地 球が丸かったら反対側の人は落ちてしまうではありませんか!地球が回っていたら、 地上にあるものはみんな飛ばされてしまうではありませんか!

 今回紹介する絵本は、昔の人が私たちの地球や太陽の動きについてどのように考 えていたか、それがどのように変わっていったのかを描いています。絵本、という 割りには絵は細かく、子ども向けではないかもしれませんが・・・文章は比較的や さしく書かれています。

 いままで気づかないうちに知っていた、地球が丸いという事実、地球が回ってい るという事実について、改めて考えられる本ではないでしょうか。世界天文年の今 年、ぜひ、親子で読んでみてください。



(塚田:姫路星の子館 2009年05月)