連載:絵本で見る宇宙
【16冊目】
今回は久しぶりの新刊のご案内。ほのぼのした絵に、読みながら一緒に考えるこ
とができるストーリー。しかも、絵本をつかって実験までできてしまう!そんな、
しっかりと科学を伝えてくれる絵本です。
『かがくたんていだん ねえ、おつきさま どうして ぼくに ついてくるの?』
さく・きむらゆういち え・やましたこうへい
ISBN978-4-7746-1130-3
夜空を見ながら歩いていると、どれだけ歩いてもお月さまの見え方は変わりませ
ん。車や電車に乗っていても同じ。外の景色はどんどん後ろに動いていくのに、お
月さまは動かないまま。まるでお月さまがついて来ているようです。子どものころ、
なんで? って思ったことはありませんか?
もちろん、大人の方なら答えは知っていると思います。子どもたちに聞かれても、
その理由、答えられますよね?でも、聞かれてすぐに答えを教えてしまっては、聞
いた子どもたちも「ふ〜ん」で終わってしまいかねません。そんなときは、「じゃ
あ、なんでだと思う?」と、逆に聞き返してみましょう。自分で答えにたどりつい
た方が、心にも頭にも残るものです。
そうそう、どんな答えが返ってきても、否定してはいけません。今回紹介する絵
本は、登場するこぐまの兄弟たちがそんな思考の過程を順々にたどっていく物語。
絵本を読んでいる子どもたちも一緒に考えながら進むことができます。そして、こ
ぐまたちはある大事なことに気がつきます。そのことを、絵本をつかって実験をし
て、絵本を読んでいる子どもたちが追体験できる工夫もしてあります。もちろん、
答えがわかったあとの解説もわかりやすく書いてあります。地球と月がどのくらい
はなれているのかも、綴じ込みのページをつかって正しい大きさと距離の比率で描
かれています。そして、物語の最後のシーン、結構僕は大好きです(笑)
おまけの解説や実験も紹介されていますので、物語以外もお家でいろいろと楽し
めると思います。身近な疑問でも、よく考えると面白いことがたくさんあります。
ぜひこの絵本を読んで、考える楽しさ、答えにたどりつく喜び、そして、なにより
もお月さまに親しんでもらえればと思います
(塚田:姫路星の子館 2009年11月)
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