連載:絵本で見る宇宙

【21冊目】

 今回紹介するのは、ちょっと(かなり?)難しい絵本。でも、面白い!とは感じ てもらえると思います。難しいと面白い。けっして矛盾するものではありません。 科学するとはなにか? そんなことがわかる絵本です


『重さと力 科学するってどんなこと?』
池内 了 文、スズキコージ 絵(月刊 たくさんのふしぎ 2010年4月号)
雑誌 15923-04


 いきなりですが、重さってなんでしょう?なんで物には重さがあるのでしょう? 皆さんのなかにも「もう少し体重が軽ければ…」なんて思っている人がいるかもし れません。

 ちょっと詳しい人なら「地球が物を引っ張っているからだ!」と答えるかもしれ ません。地球が物を引っ張る力を「重力」と言いますが、では、なぜ「重力」があ るのでしょう?

 世の中にありふれた「重さ」そして「重力」。「重力」は宇宙を支配するもっと も重要な要素の一つです。「重力」抜きでは天文学は語れません。ところが、なぜ 物には重さがあるのか、重力があるのか、最新の科学をもってしても実はよくわか っていないのです。

 この「なぜ物には重さがあるのか?」という疑問から万有引力の話まで、万有引 力の法則を考えたニュートンの思考をたどるように話が進んでいきます。

 この絵本は、「なぜ物には重さがあるのか?」という疑問に答えてくれる本では ありません。一緒にその疑問について考えてくれる本です。そして、その考える過 程こそが「科学」だということを教えてくれます。

 現代は、機械のボタンを押せば、なんでも自動でやってくれる時代です。結果が すぐに出てきます。でも、時々でいいので、当たり前のように起きていくこれらの ことを、結果にたどり着くまでの過程を、ちょっと立ち止まって考えてみてくださ い。それが、科学する第一歩です。

 そして、星空を眺めるときも、ぜひ疑問を見つけ、考えてみてください。今まで 知らなかった世界が見えてくるかもしれませんよ?



(塚田:姫路星の子館 2010年04月)