連載:絵本で見る宇宙

【22冊目】

 前回は、非常に難解な絵本を登場させました。ご覧になった方はいますか?
本当に子ども向け!?って思われた方もいるかもしれません(笑)今回は、同じテー マで、もっと気楽に読める絵本を紹介します。


『じゅうりょくってなぞだ!』
フランクリン M. ブランリー さく、 エドワード ミラー え、 やまもと けいこ やく
ISBN 978-4-8340-2468-5


 重力は非常に身近です。
でも、身近すぎて、ふだん、あんまり意識することはありません。でも、わたした ちは重力のおかげで、日常生活を送ることができるのです。

 この絵本は、はじめに簡単な思考実験からはじまります。地球に穴を掘って、ど んどん掘り進めて反対側まで貫通させます。(実際には無理ですが、そんなことは 気にせずに☆ 頭の中での実験ですから!)そこに人が入ったら・・・どうなるで しょう?

 落ちてくのだから、反対側にものすごい勢いで飛び出す?いえいえ、そんなこと はありません。だって、地球の反対側にいる人だって、地球に引っ張られているん ですから。

 そのあと、身近な重力が紹介されます。たしかに、椅子に座っていられるのは重 力のおかげですね。

 では、いったい重力って何なのでしょう?重力は目には見えません。でも、どこ にでもあるものです。

 重力は目には見えませんが、その大きさをはかることはできます。そう、あなた の体重があなたにかかっている重力の大きさです。ここから、物の重さについて話 がうつっていきます。

 ほかの天体では重力が小さくなり、皆さんの体重も変わります。大きくなる天体 も、小さくなる天体もあります。太陽系の惑星たちに行った時の体重も紹介されて います。

 と、いろいろ紹介されていくのですが、やっぱり重力が何なのか、なぜあるのか はわからない、という結論で終わります(笑)

 でも、科学とはそういうものですよね。科学は万能ではありません。何だかわか らないことの方が多いのです。わからないことがある、と知るのは大事なことです。 この絵本では、そんなわからない重力の面白さを、感じることができるのではない でしょうか?



(塚田:姫路星の子館 2010年05月)