連載:絵本で見る宇宙

【27冊目】

 太陽や月や星は、一日で夜空をほぼ一周します。そして、一年でもひとめぐり。 星の動きって、小学校や中学校で習うのですが、頭の中がこんがらがってしまう人 も多いようです。今回は、そんな星の見かけの動きがわかる一冊です。


『星空の話』
関口シュン ぶん/え
ISBN4-8340-1549-1


 オリオン座といえば冬の星座の代表格。でも、夏の夜でも見えるってこと、知っ ていました?

 この本は、身近な「星座」というものを題材にして、星の動きなどを紹介してい ます。ですから、実は星座の話というものはあまり出てきません。神話もひとつし か登場しません。あくまでこの本の中では「星座」は空の目印、なのです。

 星の動き──むずかしい言葉では日周運動や年周運動なんていいます。小学校や 中学校の理科の授業でも習うのですが、なかなか空間的な理解がむずかしいですよ ね。この本では、そんな星の動きを、イラストと登場人物たちの体験をうまく合わ せて、わかりやすく説明しています。

 本の作者は、実は占星術研究家。そのため、誕生星座がどのように決まるのか、 黄道十二宮が実際の星座とは大きさや形が違うこと、今ではずれていることなども しっかりと説明されています。

 また、この本のいいところは、物語を読者自身が実際に追体験することが可能な こと。ぜひこの本を読んで、子どもたちに同じ体験をさせてあげてみてください。 百聞は一見に如かず、ですから!



(塚田:姫路星の子館 2010年10月)