連載:その時“光”の歴史は動いた
【第6回 光が曲がる!?】
光には「直進する」という性質があります。
(第1回参照)これはもっと正確に言うと「光は“空間の中を”直進する」ということです。
私たちは普段「空間」の中で生活しています。
光もこの「空間」の中を直進しているので、私たちから見れば光はやっぱり直進しています。
ところが、アインシュタインの一般相対性理論では「重力によって空間そのものが曲げられる」というのです。
つまりその空間を外から見れば、なんと光が曲がって見えるというのです。
1919年、アフリカのプリンシペ島で皆既日食を観測した英国のアーサー・エディントン(1882年~1944年)は、巨大な重力を持つ天体である太陽の近くに見える星、つまり太陽の周辺を通過する光を放つ星の位置が、本来のその星の位置よりもずれていることを発見しました。
そのずれはアインシュタインが予測した1.74秒角(1秒角は1度角の1/3600)に近い1.80秒角で、相対性理論の正しさを裏付ける初めての証拠となりました。
現在では「重力レンズ効果」と言って、一つの銀河が二つや三つに見える現象も確認されており、アインシュタインの理論を裏付ける証拠はたくさんあります。
私たちが普段地球上で生活していて感じることはありませんが、宇宙では巨大な重力によって空間そのものが曲げられ、光も曲がって見えるということが当たり前のように起こっているんですね。
参考文献:
「図解 宇宙科学発展史 アリストテレスからホーキングまで」
本田成親、2003年12月、工学図書
(成田: 2015年09月)
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