連載:世界で星はこう言い伝えられていた!

【第3回 中国と北極星】

 前回に引き続き北極星にまつわるお話です。
旅をする上で大切だった北極星には、人々の信仰するものとしての顔も持ち合わせ ています。思えば不思議な星ですよね。地球から見えている何千という星の中で唯 一ほとんど動かない星が北極星なんです。そんな不思議な星なので他の星とは違う と昔の人は考えました。

 実は北極星には様々な別名があるんです!!例を挙げると太一(泰一)、北辰、 ネノホシ、北の一つ星、妙見などがあるのですが、実際すべての別名はここに書き きれないくらいたくさんあるのです。

 さて、まずは中国で生まれた呼び方である太一(泰一)についてのお話をしまし ょう。この太一というのは中国の考え方、信仰の中心ともいえる天帝(の居場所) のことだとされています。つまり、この太一の存在する北側の空というのは天帝の 住む宮になるのです。太一(北極星)の周りに存在する12個の星々それらとあわ せて紫宮(紫微宮)といわれます。
ここで注目!!紫宮っていう名前に紫という色が入っていますね。中国で色関連だ と一つの思想が登場します。日本には陰陽道として伝わった陰陽五行思想です。 (安倍晴明でも有名ですよね。)陰陽五行思想では方角一つ一つに色が与えられて います。それぞれ東は緑、西は縹(はなだ)、南は紅、そして北が紫となります。 この陰陽五行思想と太一の考え方から紫が高貴な色とされ、一説によると聖徳太子 の定めた冠位十二階の一番上位の位は紫の袍(ほう)という着物を着たとされます。

 と、難しい話をしましたが結局のところ中国では北極星が一番偉い神様を表して いたということなんですね。


(貴村:大阪教育大学 2014年12月)