連載:世界で星はこう言い伝えられていた!

【第4回 日本と北極星】

 中国では神様を表していた北極星ですが、日本ではどのように信仰されてきたの でしょうか。もちろん中国から伝わってきた儒教、道教での神として日本にも存在 しますが、日本書紀や古事記といった日本の神話にも登場します。

 天之御中主命(アメノミナカヌシノミコト)という神様の名前を聞いたことがあ りますか?なんか長くてややこしいですね…。しかし、あの有名な天照大神(アマ テラスオオカミ)よりも先に登場する神様なのです。天之御中主は宇宙を作った神 様とされていますが現代では妙見菩薩信仰(北極星を神格化した菩薩)と合わさり 北極星の神とされています。

 つまり、やはり日本でも中国と同様北極星を神格化した神は神話の中心となって おり、動かない星である北極星が人にとってどれだけ不思議なものだったのかを物 語っています。このような話を少しだけ思いながら北極星を見るのも面白いのでは ないでしょうか。余談にはなるのですが坂本龍馬で有名な北辰一刀流は開祖の千葉 周作が妙見信仰だったので北極星の別名である北辰と言う名を冠した剣術をつくっ たそうです。ここにも北極星の信仰が影響しているのですね。


(貴村:大阪教育大学 2015年01月)