連載:世界で星はこう言い伝えられていた!
【第7回 農耕の神?犬星?】
これまで北極星、北斗七星と有名な星を紹介してきました。
今回はこれまた有名な星シリウスについて紹介しましょう。
シリウスはおおいぬ座の星でとても明るく、地球から見ると太陽を除いて一番明るい恒星です。
一番明るく見える恒星ということで昔から様々な目印として使われていました。
エジプトでシリウスはソプデト(ソティス)という名の農耕の神の星とされていました。
では、なぜ農耕の神とされていたのでしょうか。
エジプトにはとても大きな川、ナイル川が流れています。
この川は年に一回氾濫を起こします。
この氾濫は人に被害をもたらすのみではありません。
この氾濫によってあふれ出た水を農業に使うができたのです。
そんなわけでナイル川の氾濫の時期は農耕を行う人にとって、とても知りたい情報でした。
偶然にもナイル川の氾濫の時期というのは、シリウスが日の出前に東の空に昇ってくる時期に重なりました。
そういうわけでエジプトの人はこの星を農耕の神の星としました。
アメリカではシリウスをdog starと言い、夏の暑い時期をdog daysと言うそうです。
このつながりは何を表しているのでしょうか。
まずはdog starですが、シリウスは別名カニクラといい、これはラテン名で「小さな犬」という意味を表しており、ここからつけられた名前だと考えられています。
また、先にも述べたようにシリウスは地球からの見かけ上、太陽に次いで2番目に明るい恒星です。
夏の半ばになると、シリウスが日の出直前に見えその後に太陽が昇ってきます。
つまり、シリウスの熱と太陽の熱が合わさると地球はとても暑くなってしまうという考え方から、夏の暑い時期をdog daysと言うようになりました。
上のような2つの考え方は違う時代、違う場所で生まれたものです。
しかし、両方ともシリウスが太陽と共に昇ることを見て生まれた考えです。
自分たちの身の回りの環境によって、星の見方は大きく変わってくることがわかるかと思います。
逆を言うと星の言い伝えを正しく理解することで、星に対する考え方が生まれた時代の生活環境が読み解けるのかもしれません。
そういった意味でも様々な言い伝えを理解するのは大切なことかもしれませんね。
(貴村: 2015年08月)
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