連載:宇宙開発裏話

【第2回 最後のシャトル中継を楽しもう!】

 日本時間7月9日(土)0時40分、30年に及ぶスペースシャトル計画の最終便 「STS-135」が宇宙へと旅立ちます。 老朽化や安全性、コストの等の問題から、シャトルはこれにて退役。 これからのアメリカによる有人宇宙飛行は、カプセル型深宇宙船「MPCV」や、民間 宇宙船「ドラゴン」などが担うことになっています。

 今回は、見納めとなるシャトルの打ち上げを、カウントダウン形式で解説しまし ょう。お勧めの中継サイトは、

・本家NASAによる24時間宇宙チャンネル「NASATV」
・技術者による解説付(英語)のNEWSサイト「Spaceflight Now」
・速度などの情報がテロップで表示される「Spacevidcast」

です。もしかしたら地上波で中継されるかも?

★T -9分(打ち上げ時刻Tマイナス9分前):カウントダウン開始
(^_^)OTC?>>>(´・∀・`)OTC is GO!
(^_^)TBO?>>>(o´w`o)TBO is GO!
というやり取りが聞こえ始めます。 打ち上げても良いか、管制官が各担当にむけて判断を求めているのです。 ここでNO GOが出ると、時計は-9分のまま動きません。

★T -5分:APU作動開始
打ち上げ時刻が迫ると、シュッシュッと蒸気機関車のような音がします。 正体はエンジンノズルを動かすための電力を作る、APUという装置の音。 準備万端、という印です。

★T -6.6秒:主エンジン点火
エンジンのまわりに花火のような火の粉が広がり、しばらくすると点火します。 火の粉は点火前に燃料ポンプから漏れた水素を燃やして爆発を防ぐためのもので、 点火装置自体はエンジン内部にあります。

★T -0.0秒:リフトオフ
両脇についてる白い固体補助ロケットが点火すると、シャトルは上昇を開始します。 ご近所に迷惑にならない程度に音量をアップして、轟音を体感しよう!

★T +2分3秒:固体補助ロケット分離
固体補助ロケットが燃えている間、飛行士はシャトルから脱出することができませ ん。 ここまできたら一安心です。

★T +8分30秒:メインエンジン燃焼終了
メインエンジンカットオフ、または頭文字を並べたミーコー(MECO)という声が聞こ えたら、真ん中のオレンジ色をした補助タンクが分離され、"ほぼ"打ち上げ完了で す。 あとはシャトル本体についてる小型液体ロケットを数十分間、合計2回噴射して、目 標の宇宙ステーションと同じ軌道へ投入されます。

★延期の場合
シャトルは予定通りに打ち上がる方が稀で、天候や機械トラブルで延期するのが常。 雨ニモマケル、風ニモマケル、ソウイウシャトルニ、私ハ会イタクナイ・・・。 天文屋さんもロケット屋さんも、天気に泣かされることが多いのです。


(藤井:大阪教育大学 2011年06月)