黄華堂検定!

【第36回】

今回はX線に関する問題です。

(1)X線が利用されている機器はどれでしょう?
 (あ)電子レンジ
 (い)テレビのリモコン
 (う)レントゲン

(2)宇宙からやってくるX線を観測する多くの場合、観測衛星を打ち上げます。 衛星を打ち上げなければならない主な理由は何でしょう?
 (あ)少しでも観測するものに近いほうが、精密なデータが得られるから。
 (い)地球の大気が強いX線を出しているので、大気の外に出ないと地球由来の X線と混じってしまうから。
 (う)宇宙からやってきたX線は、地球の大気を透過することができないから。

(3)宇宙には、X線を出している天体があります。次のうち天体やその周辺から X線を出しているものはどれでしょう?
 (あ)ブラックホール
 (い)太陽
 (う)彗星




☆答え☆
(1)う
 X線は、 100年以上前に、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲンによって 発見されました。 彼の名にちなんだ「レントゲン撮影」では、X線を目的の物質に当て、透過したX 線を検出器でとらえることにより、ものを壊さずに内部の様子を知ることができます。 電子レンジは電波、テレビのリモコンは赤外線を利用しています。 電波や赤外線も光の一種ですが、可視光よりも波長が長い光です。

(2)う
 宇宙にはエネルギーの高いX線が飛び交っており、この一部は地球まで到達しま す。 しかし、X線は地球大気を透過できないので、これらのX線が地上まで届くことは ありません。 宇宙からやってくるX線を観測したい場合は、地球大気の外に観測装置を打ち上げ る必要があります。X線天文学は日本のお家芸とも言われており、現在も5代目の 国産X線天文衛星「すざく」が現役で地球上空600kmの位置から観測を続けています。

(3)あ、い、う、全て正解です
 X線は、主に100万〜1億度の非常に高温な物体(プラズマ)から出ます。 太陽のコロナは約200万度ですので、太陽もX線を出しています。 ブラックホールは、一度光を吸い込むと光が出てこれない天体ですが、ブラックホ ールの周囲はガスが吸い込まれるときに高温に加熱されます。 このため、ブラックホール周辺からはX線が放射されます。ほかにも、超新星爆発 の跡や銀河団など、多くの天体がX線を出しています。 彗星は高温ではありませんが、太陽からふき出す太陽風の中にある電離したイオンが、 彗星の中性物質にあたって電子を奪うことにより、X線を出しています。

「ひので」衛星がX線で見た太陽の様子:
http://hinode.nao.ac.jp/news/070527DataOpen_XRT/xrt_fig1ol.jpg
彗星からのX線放射の詳細:
http://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2007/fujimoto/index.shtml


(小澤 2011年6月)