黄華堂検定!

【第40回】

今月の上旬に各ノーベル賞が発表され、物理学賞は天文・宇宙物理分野の研究が受賞しました。
今回はこのニュースに因み、ノーベル賞に関する問題です。

(1)今年のノーベル物理学賞は宇宙の加速膨張の発見でしたが、何の天体を用い た研究でしょうか?
 (あ)超新星
 (い)惑星
 (う)超巨星

(2)2002年のノーベル物理学賞は日本の小柴昌俊氏が受賞しましたが、何の粒子 を検出したからでしょうか?
 (あ)光子
 (い)ニュートリノ
 (う)電子

(3)1978年、2006年のノーベル物理学賞は共にある事象に関する研究でした。 それは何でしょう?
 (あ)宇宙マイクロ波背景放射
 (い)超新星爆発
 (う)星形成




☆答え☆
(1)あ
 2011年のノーベル物理学賞は、S. パールムター氏(米)、P.シュミット氏(豪)、 A. G.リース氏(米)が受賞されました。 彼らは宇宙の加速膨張を発見した 2つの研究チームでそれぞれ中心的な役割を果た しました。
 彼らは遠くのIa型超新星という天体について調べました。 Ia型超新星とそれが属する母銀河を観測することで、宇宙がどのように膨張してき たかを調べると、加速膨張していることが分かりました(1998年)。
 これは、驚くべき結果で、宇宙には暗黒物質と呼ばれる正体不明の物質の重力が ある為、加速膨張していることは、暗黒物質からの重力を凌ぐ巨大なエネルギーが あることを意味しています。

(2)い
 2002年のノーベル物理学賞は、小柴昌俊氏が受賞しました。 岐阜県に設置されたカミオカンデと呼ばれる装置で超新星爆発からのニュートリノ を観測することに史上初めて成功しました。 この功績を讃え、同じく宇宙ニュートリノの観測に大きく貢献したR. デイビス(米) と共に受賞しました。
 また、2002年には、R. ジャコーニ氏(米)も太陽系外のX線天体を初めて観測した 功績を讃えられて受賞しています。

(3)あ
 1965年にA. A. ペンジアス(米)、R. W. ウィルソン(米)は偶然宇宙のあらゆる方 向からマイクロ波(波長1mm程度の電波)が放射されていることを発見し、詳しく解析 すると絶対温度3K(ケルビン、-270℃)の熱放射と一致していました。 これはかつて宇宙が小さく、高温・高密度だったときの光の名残であり、この発見 の重要性から1978年のノーベル物理学賞を受賞しました。
 その後、1992年にCOBEと呼ばれる衛星で宇宙マイクロ波背景放射を観測すると、 背景放射に揺らぎがあることが分かりました。 この揺らぎは宇宙の銀河などの分布(大規模分布)に寄与していると考えられ、この 研究に貢献したJ. C. マザー氏(米)、F. スムート氏(米)に2006年にノーベル賞が 贈られました。


(住吉/森谷:京都大学 2011年10月)