黄華堂検定!

【第80回】

 先月4月4日に、皆既月食が起こりました。 私のいる愛媛県松山市では、残念ながらどんより雲が一面を覆っていて全く見られませんでしたが、皆さんは見ることができましたか? 先々月の黄華堂宇宙検定ではこの月食現象に関する問題が挙げられていましたが、今月は月に関連した視力の問題です。


(1)満月の見かけの大きさは、めいっぱい腕を伸ばして手に持った何を見た大きさに一番近いでしょうか?次の3つのうちから選んでください。
 (あ)DVD
 (い)500 円玉
 (う)5 円玉の穴


(2)地球から見える月の表側にある最大のクレーターは、その直径が約200 kmですが、地球からそのクレーターを判別するのに必要な視力は、次のうちどれがいちばん近いでしょうか?
 (あ)視力 0.01
 (い)視力 1
 (う)視力 100


(3)月面にはアポロ11号、14号、15号が月面着陸した際に置いてきた、大きさ約1mほどのレーザー反射鏡があります。 これを地球から判別するにはどれくらいの視力が必要でしょうか?
 (あ)視力 10
 (い)視力 1,000
 (う)視力 100,000




☆答え☆
(1)う
 意外に小さいと思われたのではないでしょうか。 5円玉の穴は直径約0.5cmで、めいっぱい伸ばした腕と目の間の距離が 50 cm だとすると、地球から見た満月の大きさ(約30分角)と同じくらいになります。 ウソだと思われたあなた、今度月を見る時には 5 円玉の穴から覗いてみてください。 ちなみに(あ)のDVDは直径12cm、(い)の500円玉は直径2.5cmですので、満月よりもそれぞれ約24倍、約5倍大きく見えます。 これも月を見る時に持っていたら、見比べて見ると面白いと思いますよ。


(2)い
 視力は「どれくらい小さな角度を判別できるか」で判定しています。 判別できる最小の角度を「解像度」と呼びますが、この解像度を「分角」という「1度の60分の1の角度」で表した逆数が「視力」になります(視力1なら1分角よりも大きな角度で見えるものを判別できることになります)。 問題文にあった直径が200kmの月のクレーターは、地球からは2分角の角度に見えますので、視力が0.5以上あれば判別できることになります。 ちなみに月そのものを判別するのに必要な視力は約 0.03 です。


(3)う
 肉眼で判別するのは絶対無理なのが分かると思います。 ちなみに(い)の視力1,000がハッブル宇宙望遠鏡やALMAの視力ですので、これらの望遠鏡をもってしても、月面にかれたレーザー反射鏡そのものを判別することはできません。 ちなみに宇宙にあるといわれるブラックホールを直接観測するためには月に置いたテニスボールを判別するほどの視力が必要といわれています。



(MARK:愛媛大学 2015年05月)