黄華堂検定!

【第87回】

 2015年、日本人の梶田隆章さんがニュートリノの研究でノーベル物理学賞を受賞し、うれしい話題となりましたね。

 ニュートリノは、それ以上わけることのできない最も小さな要素である素粒子のひとつで、この宇宙にあふれていると考えられています。 しかし、ほかの物質とほとんど反応しない性質のため、検出が非常に難しく、長い間、謎に包まれていました。 かつてニュートリノには質量がないと考えられていましたが、梶田さんは、ニュートリノ振動という現象を観測したことで、微小粒子のニュートリノにも質量があることを発見し、今回の受賞に至りました。
今回はそんな、素粒子ニュートリノにまつわる問題です。

(1)ニュートリノの由来は?
 (あ)新しいトリノ
 (い)ニュートラル
 (う)ニュートン


(2)ニュートリノを検出する装置、スーパーカミオカンデは、岐阜県飛騨市神岡町の地下1000mの場所にあります。 装置は、直径40m、深さ41.4mの巨大なタンク(すばる望遠鏡のドームとほぼ同サイズ!)で、その内部には、11200本の光電子増倍管と、50,000トンの超純水が貯められています。
さて、この大量の水はどのように用意しているでしょう?
 (あ)地下水を利用している
 (い)川の水を地下へ引き込んでいる
 (う)別の場所で作った超純水を運んでいる


(3)スーパーカミオカンデの他にも、世界各地にニュートリノ観測装置が設置されています。
次のうち実際に設置されていない場所はどこ?
 (あ)南極
 (い)海底
 (う)国際宇宙ステーション




☆答え☆
(1)い
 「ニュートリノ」という言葉は、電気的に中性という意味で「ニュートラル」、イタリア語で小さいを意味する「イノ」からきています。


(2)あ
 スーパーカミオカンデ建設の条件となったのが、強固な地盤であること、地下1000mという場所であったこと、豊富な地下水があり利用できることでした。 スーパーカミオカンデの施設内で、地下水から不純物を取り除き、大量の超純水が精製されているのです。


(3)う
 南極には、氷の下に光電子増倍管を設置したアイスキューブとよばれるニュートリノ観測装置があり、国際共同観測プロジェクトがすすめられています。 また、フランス、地中海の海底2400mの場所にもニュートリノ望遠鏡があります。 そのほか、ロシアではバイカル湖にニュートリノ観測装置を設置しており、世界各地で観測が行われています。


おまけ
 スーパーカミオカンデ前身の、カミオカンデでは、1987年に大マゼラン銀河内で起こった超新星爆発のニュートリノの観測に成功しました。 大マゼラン銀河は、北半球の日本からは直接見ることができません。 なのに、どのように大マゼラン銀河からのニュートリノを観測したのでしょう?
このとき検出したのは、地球の裏側から飛来したニュートリノでした。 地球をもすりぬけるほど、ほかの物質とほとんど反応しないのです。




(橋本: 2015年12月)