黄華堂検定!

【第93回】

みなさんは昨年の7月、どのような日々を過ごしていたか覚えていますか? 日々、起こることを日記に綴っている人も多いと思います。 昨年の手帳を見返すと思い出すこともあるでしょう。 人の日記を読むというのは、背徳感を覚えます。 いけないこととは思いつつ、今回はそんな日記の中身をのぞいてみようと思います。


(1)鎌倉時代の歌人 藤原定家(ふじはらのていか)は小倉百人一首の選者の一人で、 「来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや もしほの 身もこがれつつ」 という海女の少女の恋歌を詠んでいます。 そんな定家が19歳から綴ってきた日記の名前は次のうちどれでしょうか?
 (あ)更級日記
 (い)天文一夕話
 (う)明月記


(2)藤原定家が残した日記の中には、天文現象を紹介した記述が100以上残っています。 その中でも、次のうち最も多く登場する天文現象の記述はどれでしょうか?
 (あ)惑星現象
 (い)日食・月食
 (う)客星出現(彗星、新星、超新星)


(3)藤原定家の日記は、歴史上・芸術上価値が高いもの、また学術的に価値が高いものとして2000年に文化財保護法に基づき指定を受けました。 次のうち、適切な指定区分はどれでしょうか?
 (あ)国宝
 (い)重要文化財
 (う)県・市指定文化財




☆答え☆
(1)う
ちなみに、「更級日記」は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)が平安時代に書いた日記。 また、「天文一夕話」は長野県の小学校教師中沢登氏が、天文に関する話を綴った書籍です。


(2)い
日食・月食に関する記述は、計33例あります。 そのうち日食については5例、うち不食(日食が起らないこと)は3例あります。 また、月食については28例あり、うち不食3例、地平線下の月食は6例です。 惑星現象については17例。 客星出現例は13例、うち超新星については3例です。 ちなみに明月記の中で最も多く記述のある天文現象は、天変ではなく日常見かける月に関する記述です。


(3)あ
現在、公益財団法人冷泉家時雨亭文庫が所有しています。




参考資料:
【1】百人一首
【2】中沢 登(1973)天文一夕話,信濃教育会出版会
【3】斉藤国治(1999)定家「明月記」の天文記録,慶友社,pp.244
【4】 文化遺産オンライン,明月記

(Saito: 2016年07月)