連載:身の回りの光の科学
【第2回 ケミカルライトってどうして光るの?】
「お祭りでよく見かけるケミカルライトってどうして光るの?」
じめじめとした湿気と蒸し暑さが梅雨を感じさせますね。
梅雨が明ければ、海開きや花火大会など夏らしいイベントが盛りだくさんです。
家族でお祭りに行く人も多いのではないでしょうか?
そこで必ずといって良い程、光る”あるもの”を見かけます。
それは…
...ケミカルライトです。
別名でサイリューム(日本オムニグロー株式会社の商品)とも呼びます。
パキッと折るだけで何時間も光り、雰囲気を盛り上げてくれます。
なぜパキッと折るだけで何時間も光り続けるのでしょうか?
今回は、ケミカルライトのなぞに迫りたいと思います!
ケミカルライトの光は電気で光らせているのではありません。
”ケミカル”は日本語に訳すと”化学的な”という意味になります。
”ケミカル”ライトという名前ですから、なんだか化学が関係していそうですね。
ケミカルライトは2種類の化学物質が”化学反応”することによって光っています。
それは「シュウ酸ジフェニル」と「過酸化水素」です。
シュウ酸ジフェニル?過酸化水素?なんだそれ!となると思いますが、そんなのがあるんだ〜と思ってくれたら良いです。
その2つが混ざり合うことによって光が生まれます。
その光に色を付けることによって、赤、オレンジ、黄、緑、青など様々な光の色ができあがるのです。
ではケミカルライトはどのような形になっているのでしょうか?
どこに「シュウ酸ジフェニル」と「過酸化水素」が入っているのか、ということですね。
下の図のようになっています。
チューブの中に「過酸化水素水」とうすいガラスが入っています。
さらに、うすいガラスの中には「シュウ酸ジフェニル」が入っています。
これをパキッと折ると中のうすいガラスが割れて、「シュウ酸ジフェニル」と「過酸化水素」が混ざり合い、混ざり合うことによって光が発生します。
私たちがケミカルライトを使うときにパキッと折るのは、中の液同士を混ぜて光らせるためだったのですね。
そんな化学反応によって光るケミカルライトに対して、実は空に輝く星たちの光にも”化学”が関係しています。
一概に”星”といってもいろいろがあるので、身近な太陽を例に説明します。
太陽は主に”水素”と”ヘリウム”のガスからできています。
このガスには地球と同じように重力が働くので、中心に向かって収縮していきます。
すると、ガスはどんどん温度が上がっていき、1000万K(ケルビン:温度の単位)を超えると水素の原子核が化学反応を起こし、ヘリウムの原子核を生成します。
この反応を”核融合反応”といいます。
この核融合反応は詳しく説明すると難しいので、結論を言うと、この核融合反応によって光や熱のエネルギーが放射され、太陽は輝きます。
そして恒星として分類される星は基本的にこの太陽と同じ仕組みで輝くのです。
家族でお祭りや花火大会で見かけるケミカルライト、夜空に輝く星ですらその光には”化学”が関係しているのですね。
今回は紹介していないですが、花火の光というのも”化学”が関係しています。
身の回りにある光にはどんな”化学”が隠されているのか、疑問を持って見て、調べてみると面白いかもしれませんね。
参考文献/参考HP:
・中西貴之 (2012) 『実はおもしろい化学反応』(知りたい!サイエンス) 株式会社技術評論社
・「日本オムニグロー株式会社」
http://www.lightstick.co.jp/
(山道: 2015年07月)
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