連載:身の回りの光の科学

【第4回 どうして昼と夕方で太陽の色に違いがあるの?】

 「同じ太陽なのに、どうして昼と夕方で違う色なの?」

 季節はすっかり秋となって日没が徐々に早くなってきましたね。 学校の帰り道、夕焼けの美しさに見とれてしまう今日この頃です。 さて、皆さんはなぜ夕焼けが赤いのか気になったことはありますか? 昼間の太陽はギラギラと地上を照らしていて空の色は青色なのに対して、夕焼けの太陽は赤く、空も赤色に染まっています。 また昼間の太陽は直視してはいけないと言われているのに対して、夕焼けの太陽は直視しても問題はありませんよね。 同じ太陽なのになぜ色に違いがあるのでしょうか?

 空に色がついて見えるのは太陽光が大気中にある水蒸気やちりなどの粒子に当たり、光の方向が不規則に散らされるからです。 このように光が散らされることを「散乱」といいます。 散乱の度合いは粒子の大きさと光の波長の長短に関係してきます。

 次に波長についてお話しましょう。 光は波の性質を持っています。 波の山と山、もしくは谷と谷までの長さを「波長」と呼び、ナノメートル(nm)という単位が用いられます。 私たちの目に見える光は可視光線という領域で、380nmから780nmの範囲で波長が短ければ短波長、波長が長ければ長波長と呼びます。 また可視光線よりも短い波長は紫外線、X線、ガンマ線に分類され、可視光線よりも長い波は赤外線、電波に分類されます。

 (図1:光の種類)

 私たちの目に見える光の領域、可視光線は波長の違いによって色の違いが生じます。 短波長ほど紫色や青色、長波長ほど赤色になります。


さて、ここからが本題です。
昼間の空は青く、夕方の空は赤い。 それはなぜなのか、先ほどお話しした光の散乱と波長がポイントとなります。 光は波長によって散乱の度合いが異なり、粒子の大きさが光の波長より小さいときは短波長の光が散乱されやすく、長波長の光は散乱されにくいのです。 さらに、大気をどれだけの距離で光が通過してくるかというところも重要です。 昼間、太陽光が地球に届くまでの間に短波長の青い光が散乱されており、私たちはこの青い光を見ています。 しかし夕方になると太陽光は昼間よりも長距離、大気を通過するために青い光は散乱してしまい、散乱しにくい長波長の赤い光だけが私たちの目に届くのです。



宇宙にも波長と色が関係している現象があります。 それはドップラー効果です。 家や街中で救急車や消防車のサイレンの音が聞こえたとき、こちらに向かってくるときは高い音だったのに通り過ぎると音が低くなったという経験はありませんか? この現象をドップラー効果といいます。

 音は波なので近づいてくるときには沢山の波がやってきます。 そして遠ざかるときには近づいてくるときよりもやってくる波の数が減ります。 天体からの光も同じように波なので、天体が観測者から近づくように運動していれば短い波長が観測され、逆に、遠ざかるように運動していれば長い波長が観測されます。 この観測結果により、その天体は地球から見てどのように運動しているのかを知ることができるのです。 このような雑学を知っていると空の見方が少し変わるかもしれませんね。

参考文献/参考HP:
・コニカミノルタ-色色雑学
http://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/color/part2/02.html
・Photonてらす
http://www.photonterrace.net/photon/behavior/
・福江純 (2004年)『最新天文小辞典』東京書籍株式会社




(山道: 2015年11月)