連載:あなたの知らない宇宙

【第3回 超新星と私たちのカラダ】

 『超新星』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?額面どおりに読む、『超・ 新しい星☆』(笑)。そうです。夜空にいきなり明るい星が現れる現象です。
 このような超・新しい星は様々な国で吉凶の前兆とされ記録されてきました。有 名どころでは、天文学者チコ・ブラーエやヨハネス・ケプラーが記録した超新星が 挙げられます。日本でも、鎌倉時代初期の歌人である藤原定家が著書『名月記』の 中に「一條院寛弘三年四月二日葵酉夜以降騎官中有大客星如けい惑」と記していま す。これは「西暦1006年5月1日のこと、騎官(〜おおかみ座)の方向にとても明るい 客星(=超新星)が現われた。けい惑(=火星)のように明るかった。」という意味 です。

 しかしこの超新星、一体何者なのでしょう?答えを言ってしまうと『星が死んだ 瞬間の姿』です。星が死ぬのか!?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、 始まりがあるものには終わりがあるものです。太陽のように光っている星(=恒星) の中でも特別重いもの(太陽の8倍以上の重さ)のものは、その一生の終わりにぐ しゅっとつぶれて、挙句、ばっこーんと大バクハツするのです。(注意:他にも2 つの星がお互いの周りをくるくる回って終いにばっこーんといくものもあります。)

 さてこの超新星はバクハツした瞬間にものすごく明るくなって、そして普通は数 十日で暗くなってしまいます。ではこれで終わりかと言われると、そんなことはナ イ。大爆発のあと、超新星は秒速数1000kmというとてつもない速度で膨らみながら、 周りの物質を暖めていきます。例えば先ほど紹介した定家の超新星は爆発から1000 年の時を経て、現在温度1000万度、大きさ50光年もの巨大火の玉に膨れ上がってい ることが、日本のX線天文衛星『すざく』によってとらえられています。

 更に面白いことに、宇宙に存在する重元素の中で鉄より重いもの (金、銀、銅、 プラチナ...)は超新星爆発を通じてしか作れないことが分かっています。地球、そ して我々のカラダの中にこれらの元素が含まれているということは、私たちは超新 星の残りかす(=星のカケラ)から作られたんだ、ということなのです。星と私た ちがこんなところで繋がるとは壮大な話ですね


(小澤:京都大学 2008年12月)