連載:あなたの知らない宇宙
【第8回 もしも太陽スイッチを押したなら…】
ご存知の方も多いと思いますが、2009年 7月22日には日食が起こります。『皆既
日食』では、夜のように辺りが暗くなるそうです。暗くなるといっても、太陽の光
が消えるわけではありません。太陽と地球の間を横切る月が、太陽の光をさえぎっ
てしまうので、暗くなるのです。
それでは、もし本当に太陽の光が消えたらどうなるのでしょうか。実際にはあり
えない事ですが、ちょっと想像してみましょう。
太陽にスイッチがついていて、誰かがそれを押してしまい、一瞬で太陽が暗くなっ
たとします。しかし地球にいる私たちは、すぐには気づきません。約 8分後、よう
やく太陽の変化が現れます。まず太陽の真ん中が暗くなり、暗い部分が外側に広が
っていき、約 2秒かけて太陽全体が暗くなります。つまり(瞬間的にですが)光る
ドーナツのように見えるのです!
どうして、そのような見え方になるのでしょうか。
ポイントは光に速さがあること、そして太陽〜地球間の距離と太陽の大きさです。
●光の速度は約300,000km/秒です。太陽と地球の距離は約149,600,000kmですので、
太陽を出発した光は、地球に到達するのに約 8分かかるのです。(普段見ている太
陽も、約8分前の太陽の姿です。)
●太陽の直径は約 1,400,000kmと大変大きいので、地球から近い場所(中央)と遠
い場所(へり)では光が我々に届くのにかかる時間に大きな差が出来ます。
また、太陽が私たちに見える『光』を出しているのは、表面の薄皮部分だけです
ので、結果として、地球に近い部分から太陽が暗くなっていくのです。もし良かっ
たら実際に作図して、計算してみてください。さらに太陽の光が消えるのではなく、
太陽自体が一瞬にして消え去った場合どのように見えるかも、考えてみると面白い
ですよ。
(ヒント:本体が無くなると、『向こうがわ』表面からの光も私たちに届くように
なって。。)
7月22日、日本全国で部分日食を観察することができます。京都ではかけ始めが
9時48分、食が終わるのが12時25分です。ですので、当日晴れれば2時間半ほどの
天体ショーを楽しむ事ができます。日食の観測方法については国立天文台などのHP
や、書籍で紹介されています。是非それら参考にしていただき、『安全』に、そし
て『楽しく』太陽がかけていく様子を観察してみてくださいね。
参照:【国立天文台 皆既日食の情報】
http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/index.html
(鎌田:千葉市科学館 2009年07月)
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