連載:あなたの知らない宇宙
【第11回 ブラックホールって本当にあるの?】
みなさんは「ブラックホール」と聞いてどんなものを思い浮かべるでしょうか。
ぽっかり開いた黒い穴?それとも、なんでも吸い込む強力な掃除機?
ブラックホールはなぜ「黒い」のでしょうか。ボールを投げる時のことを思い浮
かべてみてください。どんなに高く投げてもボールは必ず戻って来ますね。それと
同じように、ブラックホールから出ようとした光は、またブラックホールに戻され
てしまうのです。だから私たちのところにブラックホールからの光が届くことは無
く、黒く見えのです。ブラックホールは光さえも逃がさない強い「重力」を持って
います。だからその近くにあるものは全部吸い込まれてしまうのです。
ではどうやってブラックホールを「見る」のでしょうか?ブラックホールを「見
る」ためには次のようないくつかの手段があります。
@X線放射を手がかりに探す。・・・物質がブラックホールに吸い込まれる時にX
線を放射することを利用している。
Aブラックホールの重力の影響を受けて運動している物体を観測する。
@で見つかったブラックホールに「白鳥座 X-1」があります。当時東京大学宇宙
航空研究所で研究していた小田稔がアメリカのX線衛星「ウフル」を使って観測し、
この星はブラックホールの候補であると初めて提唱したのは1971年のことでした。
このブラックホールは太陽の 7〜13倍の質量であると考えられています。
またAの方法を使って、我々の銀河系の中心にも非常に重たいブラックホール(
太陽の約 100万倍の質量!)があることがわかりました。
このように、現代ではブラックホールは実在すると考えられています。しかし、
どうやってできたのか?など、わかっていないことも非常に多く、まだまだ謎に包
まれた天体です。今後の研究に期待ですね。
(田崎:京都大学 2010年01月)
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