連載:あなたの知らない宇宙
【第14回 惑星のある宇宙】
「惑星といえば?」と聞かれたらどの惑星を思い浮かべますか?
恐らく地球・水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星のいずれかではない
でしょうか。 そう、これらが我らが太陽系の惑星です。つい15年前まで、私た
ちは惑星といえばここに冥王星を含めた9つしか知りませんでした。(現在、冥王星
は惑星ではないとされています。)
他には惑星はない、私たちの太陽系は宇宙の中で惑星を持つ特別な存在なのではな
いか、と考える人もいました。この広い宇宙の中で、私たちは孤独な存在なのでは
ないか、と。
ところが、1995年、このような宇宙観は否定されることになります。スイスの天
文学者マイヨールがある恒星の周りに惑星があることを発見したのです![※注]我
々は孤独でも、特別でもなかったのです。
そしてこの発見は、我々が孤独ではないということを明らかにしたと同時に、多く
の謎を生みました。
彼が発見したペガスス座51番星 bという惑星は、私たちの太陽系のどの惑星ともか
け離れた性質のものだったからです。それは、木星のような質量の巨大ガス惑星が、
太陽系でいえば水星よりも恒星に近いところを回っている惑星でした。私たち天文
学者は、そのような惑星と我々の太陽系の惑星との違いがどのようにしてできたの
か、どのような惑星がどのくらいの割合で存在しているのかについて、頭を悩ます
ことになったのです。
それから15年、現在までになんと 450個以上の系外惑星が発見されています。
さらに今年、ケプラーという惑星探査衛星によってさらに 700個程度の惑星が発見
されたことが期待されています。いよいよ、どのような質量や軌道半径を持つ惑星
がどのくらい存在するのかという謎に答えることのできる時代が近づいてきたので
す。
系外惑星の発見によって、私たちの宇宙観は変化せざるをえなくなりました。
惑星は、ごく一般的に存在する天体だったのです。
しかし、生命を持つ惑星となると話は別、まだ生命を持つ惑星は発見されていない
のです。
果たして地球のように生命を持つ惑星は、他にも存在するのでしょうか?
それともやはり、私たちは孤独な存在なのでしょうか。 あなたは、どう思いま
すか?
※注:これは、惑星を直接画像として観測したのではありません。惑星がいると、
恒星がわずかながら周期的に運動します。ペガスス座51番星 bもこのように恒星の
動きをもとに発見された惑星です。
現在見つかっている惑星の多くはこの方法によるものです。
(田村:京都大学 2010年07月)
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