連載:あなたの知らない宇宙

【第17回 銀河中心に潜む天体 〜超大質量ブラックホール〜】

 みなさん一度はブラックホールという天体の名前を聞いたことがあると思います。 「宇宙空間にぽっかり空いた黒い穴」「光でもなんでも吸い込んでしまう恐ろしい 天体」などといったイメージが持たれている、あの天体です。さて、このブラック ホールという天体、一体宇宙のどこにあるのでしょうか?

 その答えのひとつが銀河の中心です。銀河とはたくさんの太陽のような星(=恒 星)が渦巻型や楕円型に集まったもののことで、我々の太陽系も天の川銀河という ところに属しています。これまでの研究から、ほとんどの銀河の中心にはブラック ホールが存在するということが分かりました。しかも銀河の中心にあるブラックホ ールはとんでもなく重く、太陽の100万倍から1億倍もの質量を持っていると考 えられています。

 このような超大質量ブラックホールができた要因として、現在、主にふたつが考 えられています。ひとつはブラックホールを中心に持つ銀河同士が衝突してひとつ の銀河となり、それがまた別の銀河と衝突して、、、というようにどんどん衝突を 繰り返すことにより、中心に存在するブラックホールも次第に大きくなっていった というものです。その証拠に、ハッブル宇宙望遠鏡による観測でまさに衝突中の銀 河が見つかっています。
(ふたつの銀河が衝突しているところ:
http://hubblesite.org/gallery/album/pr2008016al/NASA

 もうひとつは、ブラックホールが周りにある物質を吸い込んで成長していった、 というものです。その間接証拠として活動銀河核と呼ばれる天体があり、これは周 囲にある物質がブラックホールの周りをぐるぐると回りながら吸い込まれていく際 に円盤を形成し(=降着円盤という)、その円盤中で激しい摩擦熱が発生すること で明るく光っているのだと考えられています。

(活動銀河核の想像図:
http://wwwj.vsop.isas.jaxa.jp/yougo/k01_agn.html
JAXA提供。これは銀河のごく中心部のみを表しており、有名な銀河の渦構造などは
もっと遠くにある。)
このように銀河と超大質量ブラックホールは密接に関連しており、現在では両者を 結びつけた研究が日々行われています。


(廣井:京都大学 2011年01月)