連載:あなたの知らない宇宙

【第23回 銀河の成長過程】

 皆さんは宇宙から私達がどのように作られたかを考えることはありますか?私達 の住んでいる地球はどうやってできたのか?地球の母なる星、太陽はどのようにし てできたのか?そこから更に遡ろうとすると、銀河が関わってきます。

 銀河は10億〜1000億個の星と、星の材料であるガスが集まった天体です。そこで はガスから星が作られており、星が作られることで銀河は成長します。したがって、 銀河がどのように成長してきたかを調べれば、宇宙で星がどのように作られてきた かが分かります。

 ところで、宇宙では遠くの天体を見ることは宇宙の過去の姿を見ることになりま す。遠くの天体は暗いので星ではあまり遠くまで見通すことができません。ですが、 非常に多くの星が集まった銀河であれば遠くの天体も観測できます。銀河の成長を 調べるには、過去と現在の姿を比べる必要がありますが、これは遠く銀河と近くの 銀河を比較することで実現できます。

 さて、銀河の成長を見る上で一番重要なのが、どれくらい星が作られているかで す。これを過去から現在にかけて調べてみると、宇宙ができた 137億年前からだん だんと活発に星が作られてきて、現在から100億年ほど前に一番活発な時期を迎え、 現在は作られる星の数が減ってきているという様子がわかってきました。

 これを銀河の重さ毎に見てみると、重い銀河は早くに星を作り終えて、今は成長 が止まっているのに対し、軽い銀河は現在も成長を続けているということがわかり ました。単純に考えれば、重たい、つまり多くの星を含む銀河は、軽くて少ない星 の銀河が寄り集まってできるように思えます。ですが、見えてきたのはそれとは逆 の描像です。

 この現象はダウンサイジングと呼ばれ、そのメカニズムはまだよくわかっていま せん。それを調べるために、大口径の望遠鏡やシミュレーションによって様々な研 究が行われています。

 宇宙から私達へとつながる道、それは一筋縄ではいかない道のようです。


(鈴木:京都大学 2012年05月)