連載:あなたの知らない宇宙

【第29回 ブラックホールが星を食べる瞬間に迫る 1】

 『宇宙の穴』そのように形容される天体が宇宙には存在します。その名も『ブラ ックホール』!!

 宇宙がテーマのSF小説や映画などに登場し、“その言葉は知っているぞ”、“と にかく何でも吸い込むやつでしょ”という人は案外多いのではないでしょうか?
 そんなブラックホールに、今年2013年夏、G2という名前の星間ガス雲が吸い込ま れ、その様子を見ることができるかもしれない、そのようなことが騒がれています。 しかもそのブラックホールというのが、私たちの太陽系がある、天の川銀河の中心 にあるといわれているブラックホール(その名もSgrA*(サジタリウスエースター)) なのです。

 ということで、今年度は“ブラックホールとはそもそも何者なのか?”、“私た ちの銀河の中心にあるブラックホールって?”、“吸い込まれるとどうなるの?” そんな疑問にお応えすべく、隔月でブラックホールのいろはについてお話します。
 突然ですが、あなたの周りには少しやせた人や、ぽっちゃりした人がいています ね、それと同じようにブラックホールにも“軽いブラックホール”と“重たいブラ ックホール”があります。その名も『恒星質量ブラックホール』と『超大質量ブラ ックホール』です。

 まずは、『恒星質量ブラックホール』です。このブラックホールは太陽の質量の 10倍程度といわれており、ある質量より重い恒星(自ら光る星)がその一生の終わ りに大爆発(超新星爆発)を起こした後に、収縮していき形成されます。その代表 格がCygX-1(シグナスエックスワン)、夏の空に輝くはくちょう座に位置する天体 です。あそこにブラックホールがあるのかな?なんて思いながら夏の空を見上げる のも面白いかもしれないですね。

 さて、もう一つが『超巨大質量ブラックホール』です。こちらはなんと太陽の質 量の100万倍から100億倍にもなり、たいていの銀河の中心に存在します。しかし、 どのように形成されるかについては、ブラックホール同士が合体する、エディント ン限界(可能であれば別の月に紹介します。)を超える、など多くの仮説は立てら れていますが、今なお解決されていないことは多く、現代天文学最大の謎のひとつ と言われています。そしてこの代表格が、天の川銀河の中心にあるといわれるSgrA* です。そのようなブラックホールにガス雲が吸い込まれるといわれれば、世の天文 学者たちは黙っていません、ついに現代天文学最大の謎が解決するのか!?みなさ ん希望を胸に頑張っていらっしゃることかと思います。

 初回はブラックホールの種類について紹介しました。これを機会にあなたもブラ ックホール博士を目指してはいかがですか。


(小林:大阪教育大学 2013年04月)