連載:あなたの知らない宇宙

【第42回 太陽に大きなほくろが出現!?】

 10/19頃、太陽に一つの変化が現れました。
ここ何年も観測されたことのないような巨大な黒点が現れたのです。この天体イベ ントは、多くの天文学者の注目を浴びました。今回はその黒点について、少し紹介 したいと思います。

 黒点とは、文字通り、太陽表面に見える黒い点のことです。
これは本当に太陽のその部分が黒い色をしているのではなく、周りよりも温度が低 いために、黒く見えています。この黒点が発生するのは、太陽の磁場が原因だと言 われています。太陽は地球と同じように自転をしており、それによって太陽の磁場 が絡み合い、ねじれます。この磁場のねじれが太陽表面に出てきたものが、黒点に なります。

 黒点は、形が変形したり、移動したり、数も変化します。これらの様子は、太陽 の活動の指標になります。黒点の数が多いときには、太陽活動も激しくなり、この 黒点の数は11年周期で増減します。現在、太陽は活動極大期に向かっており、大体 2018年くらいに活動が極大になると言われています。

 10月19日頃、そんな黒点が超巨大な姿で現れました。
この活動領域は「2192」の番号が付けられ、世界中の天文学者の心を捕えました。 この黒点は太陽の自転に伴って次第に大きくなり、一時は木星をも飲み込むほどの 大きさとなりました。

 では、この大きな黒点は地球に何かしらの影響を及ぼさないのか。
黒点が少ない時期、つまり太陽活動がおとなしい時期は、地球が寒冷化しました。 また、地球上での通信障害も、この太陽活動が関係していると言われています。オ ーロラが見られるのも、この太陽活動の影響です。では、今回現れた巨大黒点は、 地球に影響を与えるのでしょうか。それは、正直まだ分かっていないそうです。 もしかしたら通信システムに問題が生じるかもしれません。対して、きれいなオー ロラを見ることもできるかもしれませんよ。

 私たち人間にとって、一番身近な天体である太陽。身近すぎる故に注目してこな かった人も多いかと思いますが、これを機に、太陽のことも少し意識しながら生活 してみてはいかかでしょうか。

※太陽を観察する場合は、必ず日食グラスなどを使用し、直接見ないようにしまし ょう。


(増本:大阪教育大学 2014年12月)