連載:あなたの知らない宇宙

【第43回 ブラックホールは本当に黒い?】

 みなさんは「ブラックホール」をご存知でしょうか?宇宙にたくさんある銀河の ほとんどには、その中心に巨大なブラックホールがあることが知られています。ブ ラックホールに吸い込まれようとしているガスが熱くなって光ることから、中心の ブラックホールは黒くても見えるのです。
   とはいうものの、実は誰もこの『黒い穴』を見たことがありません。なぜなら見 かけの穴のサイズはとても小さく、一番近い天の川銀河の巨大ブラックホールでさ え50マイクロ秒角、月の400万分の1しかないからです。

 そこで事象の地平面望遠鏡 (EHT) というプロジェクトが始まっています。事象の 地平面というのは、光がブラックホールから出てくることができなくなる境界のこ とで、まさしくこのプロジェクトは「ブラックホールの黒い穴を見る」ことだけを 目的としているのです。EHTは北米・南米・ヨーロッパ・南極の電波望遠鏡を組み合 わせて観測網を作り、一つの巨大な (直径9000キロメートル!) 望遠鏡の性能を出 そうとしています。

 このプロジェクトが成功して初めて、私たちはブラックホールが本当に黒いのか どうかを知ることができます。ひょっとしたら5年後には「ブラックホール撮影に成 功!」というニュースが流れるかもしれません。みなさん、お楽しみに (笑)


(田崎:国立天文台 2015年01月)