連載:あなたの知らない宇宙

【第46回 明るい新星 いて座新星2015 No.2】

 恒星の明るさが急激に増すことで肉眼でも観測できるほどにもなり、まるでそこに新しい星が誕生したように見える激変星には、主に新星と超新星の2種類があります。

 超新星は、恒星がその生涯の最期に大爆発を起こすことで非常に明るく輝きます。 だんだんと暗くなったあと、そこに元の星は残っていません。

 一方、新星は恒星が数日の短期間のうちに9−13等ほども明るくなり、だんだんと暗くなったあと、増光前の元の状態に戻ります。 なので同じ星にて同じ現象が数十年から何万年といったスパンで再発したりもします。 新星の本体は二つの星が近い距離でお互いに周っている近接連星系で、巨星に進化しつつある片方の星からもう一方の白色矮星へとガスが流れ込み、白色矮星の表面に降り積もったガスが核爆発を起こすことで、急激に明るく輝きます。

 さて、実は去る2015年3月15日にオーストラリアのJohn Seach氏によって、いて座の空に非常に明るい新星が発見されました。 発見時の等級は約6.0等、なんとこれは(非常に暗い場所に行けば)肉眼でも観測ができるぎりぎりの等級です!! 名前は『いて座新星2015 No.2(Nova Sgr 2015 No.2)』となりました。 (No.2というのは、今年いて座で見つかった新星がすでに2つ目だからです。すごい!!) 日本から肉眼で観測できる新星としては、2013年のいるか座新星以来2年ぶりとなりました。

 この新星は発見後、1週間程かけてゆっくりと明るくなり3月21−23日頃には4等ほどまで明るくなりました。 その後3月25、26日頃はいったん6等ほどまで暗くなりましたが、4月4、5日ごろにかけては最初の極大光度と同じく4等ほどまで明るくなるなど、再増光現象を何度か起こしているようです。

 新星現象は、だんだんと暗くなっていくものですから、時が経てば経つほど観測するのは難しくなってきます。 もしかすると5月は、この新星を肉眼で観測できる最後のチャンスかも知れません。是非探してみてください。


(福嶌:大阪教育大学大学院 2015年05月)