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【第17回 岡山天文博物館】

 皆さんこんにちは。岡山天文博物館の専門員、今村和義です。 今回は「晴れの国岡山」の浅口市にある岡山天文博物館と岡山天体物理観測所 (国立天文台) などについてご紹介致します。



 岡山天文博物館は1960年に開所した岡山天体物理観測所 (旧・東京大学東京天文台)と同時期に併設してつくられた50年以上の歴史を持つ老舗ともいうべき博物館です。



 両施設は浅口市鴨方町と矢掛町にまたがる竹林寺山の一角 (標高約350m) にあり、山頂からは瀬戸内海を一望することができます (透明度の良い日は瀬戸大橋も見えます)。 瀬戸内海に面する岡山の南部は全国的にも晴天率が高く、さらに気流が安定しているなど、天体観測を行う上で大変有利な場所となっています。



 さて、当博物館の人気 No.1 コンテンツはなんといってもプラネタリウムです。
光学式の投映機と直径10mのドームは1990年に導入され、20年以上経った今も昔ながらの「季節の星空紹介」をご覧頂けます。 2011年にはデジタル投映機も導入され、迫力ある全天周の映像も楽しむことができます。



 ちなみに、プラネタリウムとは別に当館では立体メガネを使った四次元デジタル宇宙シアター (4D2U) の生解説を行っています。 解説は館長と専門員2名 (計3名) が交替で行っています。 解説員によって内容が異なり、また客層に合わせて説明する内容も変わるのでライブ感のあるシアターをお楽しみ頂けます。



 館内には太陽望遠鏡も設置されています。 お天気の良い日は太陽の生々しい活動をご覧いただけるので、初めて見た方は思わず「おお!」と声をあげるほどです。 口径15cmの屈折望遠鏡ではHαフィルターを通して主にプロミネンスの観察が可能で、時々フレアによる発光現象も見ることができます。 口径8cmのほうでは金属フィルターを通して太陽の黒点を詳細に観察できます。

 

 1階と2階にある展示室には、観測所に設置されている国内最大級の口径188cm望遠鏡の模型や同望遠鏡で使われていた本物の巨大な分光器が展示されています。 その他にも太陽系、恒星、銀河系などに関する一般的な天文学の展示物もあります。 私の最近のオススメは天文学者も使っているパロマー写真星図のレプリカをルーペで観察して頂ける展示です。



 博物館では星空観望会 (浅口市内)、子ども向けの望遠鏡工作、プラネタリウムコンサートなど、年間数多くのイベントを実施しています。 観望会では岡山天文博物館友の会の方々のご協力もあり、会場には友の会メンバーの望遠鏡がズラリと並び圧巻です。



 ところで博物館のお隣にある岡山天体物理観測所には一般の方向けに見学コースがあります。 博物館のすぐ横にあるスロープを歩いて登っていくと、巨大なドームの中にある188cm望遠鏡をガラス越しに見ることが可能です。



 50年以上稼働している望遠鏡になり、現在も研究の最前線で天文学者たちが利用しています。 なお一般向けの特別観望会が1年に2回 (春と秋) 実施され、自分の目でこの望遠鏡を覗くことができるチャンスがあります。 さらに夏には特別公開も実施され、観測所内の普段は見られないような場所も公開されます (博物館では素敵な天文グッズが当たるビンゴ大会や工作コーナーなども催されます)。



 なお2015年から博物館の向かい側では京都大学の口径3.8m望遠鏡の建設がはじまっています。 この望遠鏡の主鏡は188cm望遠鏡のように1枚の鏡ではなく、合計18枚からなる分割鏡となっています (口径比はF6です)。 そして望遠鏡の先端に装着される副鏡のサイズも大きく、こちらは口径1.1mあります。



博物館では3.8m望遠鏡に関する展示を新しく設置し、最新の情報をお届けしています。 将来的には3.8m望遠鏡の見学ツアーも行われる予定です。 皆様のご来館、心よりお待ちしております。


参考文献
・岡山天文博物館のHP
  http://ww1.city.asakuchi.okayama.jp/museum/



(今村:岡山天文博物館 2015年06月)