連載:突撃!隣の・・・

【第23回 安倍文殊院】

今回紹介するのは、現役の天文台ではなく、天文台跡です。 跡と言っても当時の匠が持てる技術の粋を凝らした木組みのドームがあるわけでもなく、大きな望遠鏡があるわけでもありません。

奈良県のJR桜井線桜井駅を下車、南西へ徒歩約20〜30分のところにその天文台跡はあります。 そんなところに天文台跡あったっけ? あったのです、いえ、「跡」ですから現にあるのです。 その名も日本三文殊第一霊場、安倍文殊院と言います。 ここには、大陰陽師安倍清明(921〜1005)が天体観測をして国家の吉凶を占う修業をしたとされる天文台跡があります。 当院参拝者は必ず訪れる本堂から最も離れた対角位置にあり、おそらく参拝者もあまり訪れることはないであろう目立たない場所にあります。 天文台と言っても少し小高くなっている程度で、「安倍清明公天文観測の地」の石碑が建てられているだけです。

寺域内では本当に目立たないところではありますが、はるか昔の天体観測に思いを馳せ、参拝時には是非立ち寄ってみてください。

ところで、当院本尊の騎獅文殊菩薩は、めちゃくちゃカッコイイです。 仏様に対して「カッコイイ」とは不適切な表現と思われるかもしれませんが、本堂で対峙すると本当にそのように感じます。 癒してくれる仏様は多数あると思いますが、ここの文殊さんは、多くの人々を癒す、というより勇気づける、元気づける、励ます、といった感じでしょうか? ぜひ、一度訪れてみてください。


参考文献/参考HP
【1】安倍文殊院パンフレット
【2】日本史辞典(1979年刊) 数研出版




(Osaki: 2016年07月)