連載:宇宙×◯◯

【第15回 Xファッション】

 皆さんは出かける時の服装はどのようにして決めていますか?

 まずは季節に合わせた服を選びますよね。 夏なのに冬物の服を着る人はほとんどいないでしょう。 次に目的に合わせた服を選ぶと思います。 ただ遊びに行くだけならカジュアルな服装でも構いませんが、仕事に行く時にはスーツや自分の職場での作業着を着ることが多いのではないでしょうか。

 最後に自分の好みというのも重要です。 常にトレンドを取り入れて流行に乗るのが好きな人もいるでしょうし、流行に関係なく自分のお気に入りの服を着回す人もいるでしょう。また、何も考えずにジャージで外出する体育会系男子、お気に入りのアーティストのTシャツをずっと着ている熱心なファン、そして常にチェック柄のシャツを着ている理系男子もいるかもしれません(笑) もしかしたら、ゴスロリのファッションに目覚めた人もいるかもしれませんね。

 このように、人は季節、目的、自分の好みなどに応じて服装を選ぶのではないでしょうか? 天文学者がどのような天体を観測するのか、すなわち観測する天体の選び方というのは上で見たような服装の選び方と似ているのではないかと思っています。

 まずは季節。 夏に冬の星座を観測したいと思ってもなかなか観測することはできません。 夏に恒星を観測しようと思ったら、オリオン座のベテルギウスよりもこと座のベガのほうが都合が良いわけです。 ベガがTシャツでベテルギウスがダッフルコートといったところでしょうか(笑)

 次に目的。 天文学者は目的があって観測を行います。 例えば、星にどんな物質があるのか調べてみたいとか、渦巻銀河がどうして渦を巻いているのか調べてみたいといったようなものです。この目的に応じて調べたい天体を選ばなければいけません。星に含まれる物質を調べたいのに銀河を調べても見当違いですよね。 これは会社にパジャマを着て行くようなものです。 笑われてしまいますね。 このように目的に応じて天体を選ぶというのは重要なことです。

 最後に好み。 研究者であってもやはり自分の好きなことを研究したいものです。 本当は、流星が好きなのに、無理してブラックホールについて調べても、その人からすればつまらないのではないでしょうか。 無理をせず流星を観測すれば良いのです。 服装でも同じこと。 本当はゴスロリな服装が着たいのに、周りに合わせて可愛いワンピースを着る必要なんてありません!

 天体観測もファッションも本質的には同じこと。 自分の好きなものを見つけて、自分だけの楽しみ方を探すことが大切なのです。 それができれば、今見えている世界が大きく変わるかもしれません…。 あなただけのファッションがあるように、是非あなただけの星空の楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょう。




(早川:大阪教育大学 2015年03月)