連載:宇宙×◯◯

【第22回 X子育て】

私事なのですが、実は昨年9月に出産し、現在育児休暇中、毎日子育てに奮闘しております。 そこでそのまんまですが、今回のテーマは『宇宙×育児』として、宇宙へ飛んだママである、山崎直子宇宙飛行士について書きたいと思います。

 山崎直子宇宙飛行士は、その著書「夢をつなぐ」によると訓練中の2002年に出産され、娘さんが7歳の時に宇宙へ行かれたそうです。

 その間、ロシアやアメリカでの長期訓練があり、旦那さんや周囲の人たちから子育てについて多くのサポートを受けたと書かれています。 特に旦那さんはアメリカで家族一緒に過ごすために、自身の夢を一時諦めなければならなくなったそうです。

 山崎宇宙飛行士が宇宙へ行くために、そして家族が家族であるために、旦那さんや娘さんも含めた家族全員が、たくさんの努力をしたことと思います。 そんなエピソードの一つとして、山崎宇宙飛行士がスペースシャトルの打ち上げ前に熱を出した娘さんの看病をしていると、娘さんに「あっちに行って」と言われたと同著書に書かれていました。 風邪が移るとママが宇宙に行けなくなってしまうからだそうです。

 夢に向かって訓練も育児も諦めずに頑張り続けた山崎宇宙飛行士とそれを支えた旦那さん、娘さん、たくさんの困難を乗り越えたすばらしい家族ですね。 小さい頃から夢を追いかけるママの姿を見て育った娘さんはたくましく優しい子になったのではないでしょうか。

 山崎宇宙飛行士は著書の中で、 「どんなに悲惨な災害が人々を襲おうとも、飢餓や貧困、差別や格差が厳然としてあろうとも、それでも生きている世界は美しい。(中略) そして、この美しい世界を私たちは守って、次の世代に渡さなければならない。」 と述べています。 宇宙から地球を眺めた宇宙飛行士ならではの言葉だと思います。

 私には宇宙を地球から見ることはできませんが、いつも地球から宇宙を見ています。 私たちはみな、寿命を終えた星たちから飛び散った元素でできています。 この世界が星屑から生まれたなんて、奇跡だなぁといつも感じています。 この大きな宇宙の中で共に生まれた世界中の人々、動物や草花を愛しんで、子供には育ってほしいと思っています。

参考文献:
「夢をつなぐ 宇宙飛行士・山崎直子の四〇八八日」
山崎直子著、角川文庫、2013年初版発行
「宇宙から伝える心のメッセージ 瑠璃色の星」
山崎直子著、世界文化社、2010年初版発行




(田崎: 2016年02月)