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黄華堂通信2008 ◆◇◆   10月号   ◇◆◇ 

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宇宙を観じる生活を!黄華堂メルマガ

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【もくじ】

【1】今月の星空
【2】星空歳時記
【3】ホシノキヲク
【4】日本の天文学史
【5】絵本で見る宇宙
【6】あなたの知らない宇宙
【7】黄華堂宇宙検定
【8】黄華堂の活動予定
【9】読者アンケートの結果


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【1】今月の星空


*2008年10月の星空
 
 夏の間、なかなか沈まなかった太陽が、あっという間に沈むようになります。
 
 秋の夜長といいますが、まさにそのとおり!という感じですね。夏のころ、7時くらいまで明るかったのに比べると、10月中旬には日の入り時刻が5時過ぎになります。早いうちからきれいな星空が眺められるので、これはこれでお得です。

 頭の真上辺りを見上げると、4つの星が四角い形に並んだ秋の四辺形が見つかります。秋の四辺形を作る星はどれも2等星ですが、秋は明るい星が少ないのでよく目立ちます。南の空低くには、みなみのうお座のフォーマルハウトが輝きます。フォーマルハウトは、秋の星座の中で唯一の一等星なので、秋のひとつ星とも呼ばれています。

 秋は、明るい星が少ないですが、星空が落ち着いている日が多く、天の川もきれいですので、星空観察にはおすすめです。


*天文現象いろいろ
■2日 夕方西の空で月と金星が接近
■7日 上弦の月
■8日 ジャコビニ流星群が極大
■10日 海王星の食
■15日 満月
■17日 プレアデス星団の食
■20日 秋の土用
■21日 オリオン座流星群極大、下弦の月
■22日 水星が西方最大離角
■29日 満月


詳しくはこちらをクリック!
http://oukado.org/hosizora0810.htm

(橋本:佐賀県立宇宙科学館)

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【2】星空歳時記


 お月見といえば、9月の十五夜ですが、「栗名月」とか「後の月見」とかいう言葉を聞いたことはありませんか?実は古来から日本にはお月見は2回あって、9月の十五夜とそれからおよそ1ヶ月後の十三夜があるのです。この十三夜のお月見のことを「栗名月」とか「後の月見」と呼んでいるのです。

 十五夜のまん丸のお月様はいろいろなところで眺められ、イベントなどもたくさん行われていますが、十三夜の少しかけたお月様はあまり眺められなくなってきたようです。平安時代から続くこの十三夜のお月見もぜひ残して行きたいものですね。

 今年は10月11日が十三夜にあたります。昔から十五夜の月と十三夜の月は両方見ないと片見月といって縁起が悪いとされてきました。十五夜を楽しんだ人はお天気されよければぜひ十三夜も楽しんでください。


(有本:京都市立塔南高校)

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【3】ホシノキヲク


・・・いつから星を好きになったのだろう?
夜空の星をみて、初めて感動したのはいつのこと?
宇宙を感じてわくわくする気持ち、忘れていませんか?
黄華堂メンバーのもつ、星の記憶をリレーしていきます。
あなたの中に眠る星の記憶を呼び覚ましてみませんか?

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 私が幼い頃は色のきれいなものが大好きでした。
花びらや葉っぱ、ガラスのかけら、夕焼け空、虹、月…見つけては喜んでいました。 
しかし、幼稚園に通い始めてからは、幼いなりにも人付き合いが大変で(笑)、長い間すっかりそんなことを忘れていました。

 忘れ去られていた感性を呼び戻す(?)きっかけとなったのは、2001年に大出現して世間を騒がせたしし座流星群です。

 当時、ニュースや新聞でかなりの話題になっていたので、家族で夜中に起きて見ることにしました。
いざ、夜中に起きて外に出てみると…
しゅん、しゅんと星(流星)が次々に流れていきました!
近所の人たちも見ていたので、流れる度に歓声が起こりました。

 また、星が流れるのを待ちながら空を眺めていると、たくさんの星(恒星)が瞬いていることに気づきました。
「自分の住んでいるところは都会だから星は見えない」と思いこんでいただけに感激しました。

 そのときにふと、「そういえば、私は色がきれいなものが好きだったな」と思い出しました。
そして「大学では星の色の勉強もしたいなぁ」と思うようになりました。

 現在は大学院で天体画像の色を研究しています。
来春に大学院は卒業しますが、これからも天体と色には関わっていきたいと思っています。


(芝田:大阪教育大学)

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【4】日本の天文学史

 みなさんは天文学者といえば、だれを思い浮かべますか?コペルニクスやガリレオ、ハッブルにホーキング・・・天文学に詳しい人なら、いろいろな名前をあげることができるでしょう。ところでその中に、日本人の名前はあったでしょうか?天文学に詳しい人でも、日本人の天文学者をあげることはなかなか難しいのではないかと思います。そもそも日本に有名な天文学者なんていないのでは?という声も聞こえてきそうですが・・・

 そんなことはありません。日本の天文学は1,000年以上もの長い歴史があり、その中には、みなさんも一度は耳にしたことのある有名な天文学者も数多くいるのです。

 今回からこのコーナーでは、日本の天文学を作り上げていった人たちを中心に、彼らが活躍していた当時の天文学について紹介していきたいと思います。歴史や難しい話は苦手なんだよなぁ・・・という方もおられるでしょうから、あまり深いところまでは踏み込まず、彼らの人物像や彼らのゆかりの地、さらに近隣のおいしいお店やおすすめのスポットもあわせて紹介していきたいと考えていますので、ぜひ楽しみにしておいてください。

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 みなさんは、安倍晴明という人物をご存知でしょうか?
 夢枕獏の小説『陰陽師』をはじめ、数多く小説や漫画、映画が制作されて、一大ブームを巻き起こしたので、多くの人たちにその名を知られているのではないでしょうか?
 それらの作中で描かれていた晴明は、陰陽道の秘儀を駆使して怨霊たちと闘う、平安時代にあらわれた無敵の超人というイメージでした。

 ところで、その安倍晴明が「実は天文学者だった」と言ったら、意外と思われる方もおられるでしょう。ただ天文学者といっても、現代の天文学者とは行なっていたことや役割は大きく異なっていました。

 晴明が行なっていた天文学は「天文道」と呼ばれていて、「天に現れたさまざまな天文現象を観測して記録し、それらが地上にどのような影響を及ぼすのかを解釈する」というものでした。すなわち「天文道」とは天変占星術と呼ばれるもののひとつだったのです。平安時代の日本の天文学は占星術だった・・・そう言われると、ずいぶん不思議な感じがしますね。

 それではなぜ、この時代に占星術が天文学として行なわれていたのでしょうか?
 次回はそのことについて、説明していきましょう。


(株本:岡山天文博物館)

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【5】絵本で見る宇宙 Vol.4

 無限ともいえる広がりをもつ宇宙。
とはいえ、星空を眺めていてもなかなかその「奥行き」を感じることできませんね。
今回紹介する本は、その「奥行き」を感じてもらえる、そんな一冊です。


*****

『立体で見る [星の本] 』

杉浦康平・北村正利  福音館書店 ISBN 4-8340-0680-8

 空に張り付いているように見える星々。
でも、本当は近い星、遠い星…と、星までの距離は様々です。
今回紹介する本は、絵本ではありませんが、赤と青のメガネを使って、星々を立体的に見ることができ、星々の距離の違いを実感することができるのです。

 本編に登場するのは、ひたすら立体化された星空の図(星図)。
見開きで、左右に同じ星空が描かれていますが、左には星座絵や星座線が引かれているもの、右には星のみのもの、と比較できるようになっています。実際の星空で、星座を探す練習をすることもできますね。

 星座というのも、地球から見ると一枚の絵のように見えますが、実際には、星座を形作っている星々は地球からの距離もバラバラ。太陽系以外の惑星系からでは、まったくちがった形に見えるのです。
そんなことも考えながら見ていくと面白いですよ?

 ところで、星までの距離ってどうやって測るのでしょう?
太陽にいちばん近い恒星でも、そこまでの距離は約40兆km!
決して、定規や巻尺では測れませんね。
しかし、星までの距離を決定するということは、天文学にとってもっとも大切なことの一つなのです。

 別冊のうす〜い解説書には、ちょっと難しいですが、星までの距離の求め方も書いてありますよ!
ぜひ挑戦してみてください☆


 

(塚田:姫路星の子館)

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【6】あなたの知らない宇宙

第2回:宇宙最強の光「ライマンアルファ」―下―


〜9月号からの続き〜

 この「宇宙最強の光」ライマンアルファは、星が活発につくられているところでたくさん生まれるという特徴があります。星の生産工場である銀河では、ライマンアルファもたくさん生まれていることになります。銀河は遠くにあるほど暗くなってしまうため、遠くにある銀河は非常に見付けにくいです。しかし、活発に星を作っている銀河なら、ライマンアルファを望遠鏡で捕まえることで、見付けられるかもしれません。私たちの住む銀河系では、およそ一年に一個の太陽が生まれる割合で星がつくられていますが、その10 倍の割合で星をつくっている銀河なら、はるか 130 億光年かなたにあっても見付けられるほど、ライマンアルファがたくさん生まれているのです。

 そこに目を付けた天文学者たちは、ライマンアルファだけを通す特殊なフィルター(*)を望遠鏡に付けて、遠くにある銀河を見付けようと 1990 年代から頑張ってきました。そして次々と、100 億光年を越える距離にある銀河が見付けられました。現在、最も遠い銀河のトップ 10 は、すべてこのライマンアルファで見付けられた銀河です。ライマンアルファはやっぱり宇宙最強の光ですね。

 このライマンアルファ、水素原子からとても強く放たれるのですが、一方でわずかの水素原子によって、すぐに吸収されてしまいます。宇宙最強の光は、そんじょそこらの光とはスケールが違うのです。この水素原子によって吸収されやすいという特徴を利用して、前号で紹介した「宇宙の再電離」がいつ起こったのかを調べる研究が、現在盛んに進められています。宇宙の再電離の謎が解ける日も、そう遠くないのかもしれません。

*正確には、宇宙膨張の効果によって遠くから来る光は波長が伸びる(赤方偏移)ため、赤方偏移したライマンアルファを通すフィルターのことです。通す波長の幅が狭いため、狭帯域フィルターと呼ばれます。

(小林:国立天文台)
 

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【7】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。
新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため・・・お好きなようにご活用ください。

 難易度は5級が小学生レベル、4級が中学生、3級が高校生、2級がおとな、1級が天文好きな人を想定しています。5級〜2級の問題は4択、1級には記述式もあります。答えは編集後記の末尾にあります。

さあ、挑戦してみてください!!

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第4回は2級の問題です。


[1]宇宙が誕生したのは何年前と推定されているか。

あ、46億年  い、73億年  う、114億年  え、137億年

[2]神話において、秋の星座であるアンドロメダを救ったのは誰か。

あ、カシオペヤ  い、ケフェウス  う、ペルセウス  え、くじら

[3]現在の宇宙の温度を答えよ。

あ、100万℃  い、123℃  う、0℃  え、−270℃

(成田:編集長)
 

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【8】黄華堂の活動予定
 
11月5日(水)観望会(京大病院)
11月8日(土)〜9日(日) 青少年のための科学の祭典京都大会(京都・青少年科学センター)

mixiのコミュニティーでも活動中!
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2816441

フリーペーパーも配布中!
http://www.oukado.org/freepaper.htm
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【9】読者アンケートのお願い
 
大変申し訳ないのですが、今回は回答数が少なく、分析して傾向が見出せ
る状況ではありませんでした。
ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

(成田:編集長)

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【編集後記】

急に涼しくなりましたね。
秋の夜長にゆっくり星空を眺めるのもいいもんですよ。
風邪をひかないように、温かくしてね。
さて、今月から「日本の天文学史」が復活しました。
乞うご期待ください。

                 2008年10月5日    編集長 成田

 

(黄華堂検定の答え)
[1]え
WMAPなどの観測結果により、現在ではそう推定されている。

[2]う
くじらに襲われそうになっていたアンドロメダをペルセウスが助けた。
ちなみにカシオペヤはアンドロメダの母、ケフェウスは父である。

[3]え
宇宙ではあらゆる方向から−270℃の物質が放つ電波が観測される。
この電波を「3K宇宙背景放射」という。

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<お知らせ>
 黄華堂の活動をいっしょにやりませんか?
 天文学に関する基礎知識がなくてもOKです。子どもが好きとか、何かボランティア的な活動をしてみたいという方、星空をテーマにしたいろいろな活動に興味があればぜひ下記までご連絡ください。
こちらからあらためてご連絡させていただきます。
連絡先:info@oukado.org
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