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黄華堂通信2008 ◆◇◆   12月号   ◇◆◇ 

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【もくじ】

【1】今月の星空
【2】星空歳時記
【3】ホシノキヲク
【4】あなたの知らない宇宙
【5】大学生日記
【6】絵本で見る宇宙
【7】日本の天文学史
【8】黄華堂宇宙検定
【9】黄華堂の活動予定

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【1】今月の星空

 12月になると、にぎやかな冬の星たちがどんどん登場します。だれもが一度は探したことのあるオリオン座や、すばるのあるおうし座などが見ごろです。

 冬の星座には、オリオン大星雲や、散開星団として有名なすばる(プレアデス星団)、ヒヤデス星団など双眼鏡で手軽に楽しめる星雲・星団がたくさんあります。

 バードウォッチングもいいですが、星空ウォッチングにも双眼鏡を使ってみてくださいね!

*天文現象いろいろ

■1日 夕方南西の空で月と金星が接近
■6日 上弦の月
■7日 大雪(太陽黄経255度)
■13日 満月・月の距離が本年最近
■14日 ふたご座流星群が極大
■19日 ミラ(くじら座の変光星)が極大
      下弦の月
■21日 冬至(太陽黄経270度)
■27日 新月・月の距離が本年最遠
■29日 水星食 

詳しくはこちらをクリック!
http://oukado.org/hosizora0812.htm

(橋本:佐賀県立宇宙科学館)

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【2】星空歳時記

 いよいよ寒くなってきました。今月も「二十四節気」のお話をしましょう。

 12月といえば、冬至ですね。今年は12月21日にあたります。冬至の日には、柚子湯に入り、冬至粥(小豆粥)や南瓜を食べると風邪を引かないといわれていて、全国各地でこのような行事が行われます。

 天文学的には、冬至の日は太陽黄経が270度(太陽の通り道上で、春分の位置から270度回ったところ)で、日の出・日の入りの場所が最も南よりとなり、その結果、南中高度が最も低くなる日です。といっても何だかわかりづらいですね。もっと端的に言えば、昼間の時間が最も短くなる日です。

 昼間の時間が最も短くなる日ということは、日の出の時間が最も遅くなり、日の入りの時間が最も早くなると思われがちなのですが、それは誤りです。実は日の出が最も遅くなるのは、冬至の半月後ぐらいなのです。また、日の入りが最も早くなるのは、冬至の半月前ぐらいなのです。いずれにしても1年で最も夜が長くなるのが、このころです。
 
 ずいぶん寒いのですが、せっかくの夜長を星空を見ながら過ごしてみるのも良いのではないでしょうか。14日には三大流星群の1つであるふたご座流星群もあります。風邪を引かないようにして、楽しんでみてください。

 いよいよ冬至を過ぎると、次は小寒、そして大寒です。最も寒い時期へ向けて季節は動いていきます。


(有本:京都市立塔南高校)

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【3】ホシノキヲク


・・・いつから星を好きになったのだろう?
夜空の星をみて、初めて感動したのはいつのこと?
宇宙を感じてわくわくする気持ち、忘れていませんか?
黄華堂メンバーのもつ、星の記憶をリレーしていきます。
あなたの中に眠る星の記憶を呼び覚ましてみませんか?

.........................

 星との出会いはいつだったか。残念ながらそれは定かではありません。でも小学生の頃から宇宙に興味は持っていたし、宇宙の図鑑を読んでワクワクしていた記憶はあります。

 ただのぼんやりとした興味から、「宇宙っておもしろい!」という明確な意識に変わったのは大学生になってからでした。しかも、天文学研究室に分属になったからという結果論的ないきさつです。

 研究室には宇宙をとても楽しそうに語る方がたくさんおられました。そして僕も実際に望遠鏡を扱ってみたり、画像を撮ってみたりといろいろな経験をさせてもらいました。

 そんな多くの出会いや宇宙の魅力に触れる経験が、僕を宇宙にのめり込ませていったのだと思います。


(成田:編集長)

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【4】あなたの知らない宇宙

第3回:超新星と私たちのカラダ

 『超新星』という言葉を聞いたことがあるでしょうか?額面どおりに読む、『超・新しい星☆』(笑)。そうです。夜空にいきなり明るい星が現れる現象です。

 このような超・新しい星は様々な国で吉凶の前兆とされ記録されてきました。有名どころでは、天文学者チコ・ブラーエやヨハネス・ケプラーが記録した超新星が挙げられます。日本でも、鎌倉時代初期の歌人である藤原定家が著書『名月記』の中に「一條院寛弘三年 四月二日 葵酉 夜以降 騎官中有大客星如けい惑」と記しています。これは「西暦1006年5月1日のこと、騎官(〜おおかみ座)の方向にとても明るい客星(=超新星)が現わ
れた。けい惑(=火星) のように明るかった。」という意味です。
 
 しかしこの超新星、一体何者なのでしょう?答えを言ってしまうと『星が死んだ瞬間の姿』です。星が死ぬのか!?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、始まりがあるものには終わりがあるものです。太陽のように光っている星(=恒星)の中でも特別重いもの(太陽の8倍以上の重さ)のものは、その一生の終わりにぐしゅっとつぶれて、挙句、ばっこーんと大バクハツするのです。(注意:他にも2つの星がお互いの周りをくるくる回って終いにばっこーんといくものもあります。)

 さてこの超新星はバクハツした瞬間にものすごく明るくなって、そして普通は数十日で暗くなってしまいます。ではこれで終わりかと言われると、そんなことはナイ。大爆発のあと、超新星は秒速数1000kmというとてつもない速度で膨らみながら、周りの物質を暖めていきます。例えば先ほど紹介した定家の超新星は爆発から1000年の時を経て、現在温度1000万度、大きさ50光年もの巨大火の玉に膨れ上がっていることが、日本のX線天文衛星『すざく』によってとらえられています。

 更に面白いことに、宇宙に存在する重元素の中で鉄より重いもの(金、銀、銅、プラチナ...)は超新星爆発を通じてしか作れないことが分かっています。地球、そして我々のカラダの中にこれらの元素が含まれているということは、私たちは超新星の残りかす(=星のカケラ)から作られたんだ、ということなのです。星と私たちがこんなところで繋がるとは壮大な話ですね(>_<)


(小澤:京都大学)

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【5】大学生日記

 「サークル訪問 〜京都教育大学 天文同好会すぴか〜」

 みなさん、はじめまして!!京都教育大学の武田です。

 いつもの流れからすると、「研究室訪問〜京都教育大学天文学研究室〜」という形になるはずなのですが、専門が天文とは異なるので今回は私が所属している天文サークルについて紹介します。

 私たちのサークルは、10人ほどのこじんまりとした団体です。普段の活動は定例ミーティングや観望会などを行っています。他にも春・夏の合宿(星&観光)や隔月で十二星座誕生日会を行ったりと楽しく活動しています。あと忘れてはいけないのが大学祭でのプラネタリウム☆彡直径4mのドームに毎年たくさんのお客さんが押し寄せます!近所の子どもたちも多く、常連の方もいるのでこちらも手を抜けません。先月に終わってしまったので、来年はぜひ皆様もお越しください!!お待ちしております。

 と、真面目に書いてみましたが、実際星を見ようと気合いを入れると曇雨天になってしまうのがうちのサークルの現状(?)です。噂によると、他でも似たような現象は起こるようですが…。とにかくのんびり晴れるのを待ちます◎

 一晩待って星を見ることができなくても、皆で楽しく夜を明かします。晴れていたら外に出る。これくらいの気合いが丁度良い。そんな経験則のもと生活している星好きたちの集まり…。

 以上、サークル紹介でした!!


(武田:京都教育大学)

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【6】絵本で見る宇宙 Vol.6

 今回紹介する「光」と「音」についての絵本。『えっ、宇宙に関係ないじゃん?』そんなことはありません。だって、皆さんが見るのは星の「光」なのですから。


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『ひかりとおとのかけくらべ かこ・さとし かがくの本6』

かこさとし 著/田畑精一 絵  童心社 ISBN 4-494-00956-3

 前回に引き続き、かこ・さとし かがくの本シリーズからの紹介です。

 皆さん、この世の中でいちばん速いものってなんだか知っていますか?新幹線? ジャンボジェット? それともロケット?いいえ、どれもちがいます。答えは「光」。なんと1秒間に地球を7周半もしてしまうのです。でも、あまりにも早すぎて、「光の速さ」って大人でも考えづらいものですよね。この絵本では、音と光のかけくらべを通して、光の速さをわかりやすく説明しています。

 かけくらべをするのは音と光だけではありません。身近なものと比べながら、音の速さ、そして光の速さが感覚的にわかるように工夫されています。そして物語の最後、話が宇宙へと広がっていくのです。そんなに速い光でも、宇宙にかがやいている星から私たちの目に光が届くまで、何年も、何十年も、何百年も、もっともっとかかるのです。星たちからの光は、そんなに長い間宇宙を旅して、やっと皆さんの目に届くのです。

 こんど星を見上げるときには、そんなことを思い出してみてくださいね。

(塚田:姫路星の子館)

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【7】日本の天文学史

 中国で誕生した「天文道」は、いつ頃、日本に伝えられたのでしょうか?それは5〜6世紀の飛鳥時代に中国か朝鮮半島から伝えられた、と考えられています。そして、天文道を最も積極的に導入したのは天智天皇の弟の大海人皇子である、といわれています。

 大海人皇子は、天智天皇の皇子である大友皇子と皇位継承をめぐり、壬申の乱で戦うことになりますが、彼は戦いの前、天に黒雲が広がるのを見て、「天が二分され、最後に自分が天を取ることの兆しである」と解釈して戦いに臨み、勝利したと伝えられています。このことは大海人皇子が天文道に精通していたことを表わしています。

 その後、大海人皇子は即位して天武天皇になり、天武4(675)年に天文道を行なう組織である陰陽寮や天体観測のための天文台、「占星台」を設置しています。陰陽寮では天文道のほか、日取りや方向の吉凶を占う陰陽道、暦を作成する暦道などの業務が行なわれていました。現在の天文学とは少し内容は異なっていますが、陰陽寮とは現在の国立天文台のような組織だったのです。

(株本:岡山天文博物館)

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【8】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。
新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため・・・お好きなようにご活用ください。

 難易度は5級が小学生レベル、4級が中学生、3級が高校生、2級がおとな、1級が天文好きな人を想定しています。5級〜2級の問題は4択、1級には記述式もあります。答えは編集後記の末尾にあります。

さあ、挑戦してみてください!!

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第6回は5級の問題です。

[1]夕方、太陽が西に沈むのとほぼ同時に東から月が昇ってきました。この月の形を答えましょう。

 あ、新月  い、三日月  う、半月  え、満月

[2]朝、東から太陽が昇ってくる頃、南の空高くに月が見えました。この月の形を答えましょう。

 あ、三日月  い、上弦の月  う、下弦の月  え、満月

[3]夜、外に出て一日の月の動きを観察するときに気をつけることとして、間違っているものを答えましょう。

 あ、暗くなってからは大人の人と一緒に観察する。 
 い、毎回場所を変えて観察を行なう。 
 う、建物などの動かないものを一緒にスケッチするといい。 
 え、観察の間隔は2、3時間あけると月の動きがわかりやすい。

(成田:編集長)
 

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【8】黄華堂の活動予定
 
12月6日(土)「望遠鏡でガリレオ体験を!」
         場所:京都・小学校

 1月4日(日) 世界天文年オープニング観望会
        「見上げてごらん、夜空の星を 〜仰ぐ 京の星空(そら)〜」
         場所:京都・新風館3F円形オープンテラス

mixiのコミュニティーでも活動中!
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2816441

フリーペーパーも配布中!
http://www.oukado.org/freepaper.htm
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【編集後記】

 最近は日が暮れるのが早いので、じつは18時頃には西の空にまだ夏の大三角が見られます。またその時間には木星と金星もきれいですね!
 
一方、20時頃には秋の星座たちが、23時頃には大きなオリオン座が見られます。一晩で夏から冬にかけての星座たちが一挙に見られるので夜空を見上げるのが楽しみな編集長です。

                 2008年12月5日    編集長 成田

 

(黄華堂検定の答え)
[1]え
 2011年度から実施される新指導要領からの予想問題です。月は太陽の光を反射して光っているので、太陽と反対側にある月は太陽の光を全面で受けて満月になります。

[2]う
 これも2011年度から実施される新指導要領からの予想問題です。太陽が東、月が南にあるということなので、月は地球から見て左半分だけが照らされています。よって、下弦の月になります。

[3]い
 これも2011年度から実施される新指導要領からの予想問題です。月の動きを観察するには、観察者が動いては正確にその変化を確かめることはできません。その他はどれも正しいです。特に昨今は、夜間の観察は大人と一緒に行なうことを徹底しましょう。

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 天文学に関する基礎知識がなくてもOKです。子どもが好きとか、何かボランティア的な活動をしてみたいという方、星空をテーマにしたいろいろな活動に興味があればぜひ下記までご連絡ください。
こちらからあらためてご連絡させていただきます。
連絡先:info@oukado.org
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