■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】来月の星空 一足早く来月の星空をご紹介します。 ............................ *2010年6月の星空 6月21日は夏至です。夏至のころ、日没が一年で最も遅くなります。星が見え始めるのが午後8時をすぎてからになります。いつまでたっても暗くならない空で、一番星として輝くのは金星です。まぶしいほどに輝く金星は、望遠鏡でみると満ち欠けをして見えます。6月ごろは半月に近いような形になっています。小型の望遠鏡でも十分にその様子を見ることができます。
■アルクトゥールス(うしかい座の一等星) ■コルカロリ(りょうけん座の二重星) ■土星 (橋本:佐賀県立宇宙科学館) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回は、非常に難解な絵本を登場させました。ご覧になった方はいますか? ***** 『じゅうりょくってなぞだ!』 フランクリン M. ブランリー さく、 エドワード ミラー え、 やまもと けいこ やく この絵本は、はじめに簡単な思考実験からはじまります。地球に穴を掘って、どんどん掘り進めて反対側まで貫通させます。(実際には無理ですが、そんなことは気にせずに☆ 頭の中での実験ですから!)そこに人が入ったら・・・どうなるでしょう? 落ちてくのだから、反対側にものすごい勢いで飛び出す?いえいえ、そんなことはありません。だって、地球の反対側にいる人だって、地球に引っ張られているんですから。 そのあと、身近な重力が紹介されます。たしかに、椅子に座っていられるのは重力のおかげですね。 では、いったい重力って何なのでしょう?重力は目には見えません。でも、どこにでもあるものです。 重力は目には見えませんが、その大きさをはかることはできます。そう、あなたの体重があなたにかかっている重力の大きさです。ここから、物の重さについて話がうつっていきます。 ほかの天体では重力が小さくなり、皆さんの体重も変わります。大きくなる天体も、小さくなる天体もあります。太陽系の惑星たちに行った時の体重も紹介されています。 と、いろいろ紹介されていくのですが、やっぱり重力が何なのか、なぜあるのかはわからない、という結論で終わります(笑) でも、科学とはそういうものですよね。科学は万能ではありません。何だかわからないことの方が多いのです。わからないことがある、と知るのは大事なことです。この絵本では、そんなわからない重力の面白さを、感じることができるのではないでしょうか? (塚田:姫路星の子館) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回はちょっと大作です! 〜一日の長さは延びている?!〜 みなさん、締め切りに追われている時、「一日がもっと長かったら!」と思ったことはありませんか?楽しみな旅行の予定を前にして、「早く明日が来てほしい!」と思ったことは?おそらく誰もが 一度はこういう気持ちを抱いたことがあることでしょう。 長い地球の歴史において、一日の長さはずっと同じではありませんでした。少しずつですが、だんだん延びてきて現在の24時間になったのです。どれくらい「少しずつ」かというと、「100年間でおよそ 0.0017秒」。私たちが生きている間には、上に書いたようなささやかな(?)願いは叶えられそうにありません。ですが、およそ25億年前には一日の長さは12時間、逆に25億年後には一日は36時間になります。わずかのズレも、積もり積もればスゴイことになります。 「一日の長さが延びている」ということは、「地球の自転が遅くなっている」ということです。その原因は地球の衛星「月」にあります。月の質量は、地球のおよそ100分の1、月までの距離は地球の直径のおよそ30倍です。これは太陽系の他の惑星とその衛星の関係に比べると、ずっと重い衛星がずっと近くにあることになります。このような衛星から惑星にはたらく重力は、場所によって大きく変わります。この場所による重力の違いは地球上では潮の満ち引きを引き起こすため、「潮汐力」と呼ばれています。 ここからは、図を描いて考えてみてください。潮汐力によって、月に最も近い側と最も遠い反対側では海面が盛り上がり、その2点に対して垂直な場所では海面が下がります。海面は全体としては楕円のような形になるわけですが、海面がこのような形になるまでにはある程度時間がかかります。この間に地球はわずかに自転しており、地球の自転速度と月の公転速度が違うとき、楕円の盛り上がった長軸の先に月はいません。この時、月からはたらく潮汐力はどうなっているでしょう?楕円形の海面の盛り上がった2点のうち、月から近い側の方が遠い側より重力が強くなるので、潮汐力は地球の自転と反対向きにはたらきます。こうして自転と反対側に引かれた海水が、海底との摩擦によって地球の自転にブレーキをかけ、地球の自転はどんどん遅くなるのです。このような効果は「潮汐摩擦」と呼ばれています。 潮汐摩擦によって、月と地球の間の距離も遠ざかっています。月までの距離は、NASAのアポロ計画で月に鏡が置かれて以来、そこに地球からレーザー光を当てて返ってくるまでの経過時間から、正確な測定が可能になりました。その結果、一年間に3.8 cmずつ遠ざかっていることが実際に確認されています。月までの距離は現在38万 km ですので、この変化はとても小さいものです。しかし、積もり積もれば当然これも大きくなり、およそ40億年後には月までの距離は現在の約1.4倍に!!遠いものほど小さく見えるので、40億年後の地球から見た月は、現在の7割くらいの大きさしかないでしょう。こんな小さい月では太陽を完全に隠すことができないため、昨年7月に見られたような皆既日食はもう起こらなくなります。 では、潮汐摩擦によって地球の自転はどこまで遅くなるのでしょうか。潮汐摩擦がはたらく原因は、地球の自転速度と月の公転速度が違うからです。地球の自転速度が遅くなって月の公転速度と同じになると、もう潮汐摩擦ははたらかなくなるので、一日の長さはこれ以上変わりません。それは、今からおよそ40億年後のことになります。このときには、地球の自転速度と月の公転速度が同じですから、地球上の決まった場所からしか月は見えないことになります。締切に追われた方にとっては一日が長くなって嬉しいでしょうが、待てど暮らせど月が出てこない夜空はきっとどこか淋しいでしょうね。 ☆参考 URL:天体(惑星)としての地球(4) (小林:国立天文台) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
......................... (1)今年の皆既日食はどこで見られるでしょうか。 あ、ハワイ島
(2)彗星の名前の「マックノート」は、何を表しているでしょうか。 あ、彗星の発見者 (3)彗星は一般に何と呼ばれているものでしょうか。 あ、ほうき星 (渡辺め・渡辺よ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【5】黄華堂の活動予定 ○5月16日(日)第2回星のソムリエ資格認定講座(新風館) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今年のGWはよく晴れていて、お出かけした人も多いのではないでしょうか?メルマガ5月号をお届けします。沖縄が梅雨入りして、なかなか星が見えない時期が近づいてきました。今のうちにしっかり見ておきたいところですね。 (森谷:新緑と青空を見て初夏を感じつつ)
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