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黄華堂通信  No. 029 ◆◇◆  2010年 05月号  ◇◆◇

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【もくじ】

【1】来月の星空
【2】絵本で見る宇宙
【3】あなたの知らない宇宙
【4】黄華堂宇宙検定
【5】黄華堂の活動予定

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【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 5月の星空についてはこちらを!
 http://www.oukado.org/hosizora1005.htm

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*2010年6月の星空

 6月21日は夏至です。夏至のころ、日没が一年で最も遅くなります。星が見え始めるのが午後8時をすぎてからになります。いつまでたっても暗くならない空で、一番星として輝くのは金星です。まぶしいほどに輝く金星は、望遠鏡でみると満ち欠けをして見えます。6月ごろは半月に近いような形になっています。小型の望遠鏡でも十分にその様子を見ることができます。

 頭の真上には、うしかい座のアルクトゥールスがオレンジ色に輝きます。東の空からは、白く輝くこと座のベガが登場します。ベガは七夕のおり姫星としておなじみの星で、夏の大三角の1つでもあります。

 また、南の空には、さそり座も顔をだしています。夏はもうすぐそこです!


*天文現象いろいろ 
■1日   土星が留
■5日   下弦の月
■6日   芒種(太陽黄経75度)
■11日 入梅(太陽黄経80度)
■12日 新月
■14日 月と金星が並ぶ
■19日 上弦の月
      準惑星ケレスが衝(7.2等級)
■21日 金星とプレセペ星団が接近のころ
      夏至(太陽黄経90度)
      土星が東矩
■22日 天王星が西矩
■26日 満月(部分月食、月出帯食)
      準惑星冥王星が衝(14等級)
■28日 水星が外合 


*見ごろの星たち
■金星
夕方の西空で明るく輝いています。宵の明星、一番星です。

■アルクトゥールス(うしかい座の一等星)
オレンジ色に輝く一等星です。梅雨の晴れ間、天頂付近で輝くので、「雨夜の星」「五月雨星」などと呼ばれます。

■コルカロリ(りょうけん座の二重星)
チャールズの心臓という意味の星です。北斗七星のそば、りょうけん座の最も明るい星です。肉眼でみると1つ、望遠鏡では2つにわかれてみえます。2つの星の色の対比がとってもきれいですよ。

■土星
おとめ座付近で輝いています。今年はリングが細くみえており、串刺しのお団子のような姿です。そろそろ今シーズンは見納めです。

(橋本:佐賀県立宇宙科学館)

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【2】絵本で見る宇宙 Vol.23

前回は、非常に難解な絵本を登場させました。ご覧になった方はいますか?
本当に子ども向け!?って思われた方もいるかもしれません(笑)
今回は、同じテーマで、もっと気楽に読める絵本を紹介します。

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『じゅうりょくってなぞだ!』

フランクリン M. ブランリー さく、 エドワード ミラー え、 やまもと けいこ やく 
ISBN 978-4-8340-2468-5

重力は非常に身近です。
でも、身近すぎて、ふだん、あんまり意識することはありません。でも、わたしたちは重力のおかげで、日常生活を送ることができるのです。

この絵本は、はじめに簡単な思考実験からはじまります。地球に穴を掘って、どんどん掘り進めて反対側まで貫通させます。(実際には無理ですが、そんなことは気にせずに☆ 頭の中での実験ですから!)そこに人が入ったら・・・どうなるでしょう?

落ちてくのだから、反対側にものすごい勢いで飛び出す?いえいえ、そんなことはありません。だって、地球の反対側にいる人だって、地球に引っ張られているんですから。

そのあと、身近な重力が紹介されます。たしかに、椅子に座っていられるのは重力のおかげですね。

では、いったい重力って何なのでしょう?重力は目には見えません。でも、どこにでもあるものです。

重力は目には見えませんが、その大きさをはかることはできます。そう、あなたの体重があなたにかかっている重力の大きさです。ここから、物の重さについて話がうつっていきます。

ほかの天体では重力が小さくなり、皆さんの体重も変わります。大きくなる天体も、小さくなる天体もあります。太陽系の惑星たちに行った時の体重も紹介されています。

と、いろいろ紹介されていくのですが、やっぱり重力が何なのか、なぜあるのかはわからない、という結論で終わります(笑)

でも、科学とはそういうものですよね。科学は万能ではありません。何だかわからないことの方が多いのです。わからないことがある、と知るのは大事なことです。この絵本では、そんなわからない重力の面白さを、感じることができるのではないでしょうか?

(塚田:姫路星の子館)

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【3】『あなたの知らない宇宙』

今回はちょっと大作です!
ちょっと長めなお話ですが、とても面白いですよ☆

〜一日の長さは延びている?!〜

 みなさん、締め切りに追われている時、「一日がもっと長かったら!」と思ったことはありませんか?楽しみな旅行の予定を前にして、「早く明日が来てほしい!」と思ったことは?おそらく誰もが 一度はこういう気持ちを抱いたことがあることでしょう。

 長い地球の歴史において、一日の長さはずっと同じではありませんでした。少しずつですが、だんだん延びてきて現在の24時間になったのです。どれくらい「少しずつ」かというと、「100年間でおよそ 0.0017秒」。私たちが生きている間には、上に書いたようなささやかな(?)願いは叶えられそうにありません。ですが、およそ25億年前には一日の長さは12時間、逆に25億年後には一日は36時間になります。わずかのズレも、積もり積もればスゴイことになります。

 「一日の長さが延びている」ということは、「地球の自転が遅くなっている」ということです。その原因は地球の衛星「月」にあります。月の質量は、地球のおよそ100分の1、月までの距離は地球の直径のおよそ30倍です。これは太陽系の他の惑星とその衛星の関係に比べると、ずっと重い衛星がずっと近くにあることになります。このような衛星から惑星にはたらく重力は、場所によって大きく変わります。この場所による重力の違いは地球上では潮の満ち引きを引き起こすため、「潮汐力」と呼ばれています。

 ここからは、図を描いて考えてみてください。潮汐力によって、月に最も近い側と最も遠い反対側では海面が盛り上がり、その2点に対して垂直な場所では海面が下がります。海面は全体としては楕円のような形になるわけですが、海面がこのような形になるまでにはある程度時間がかかります。この間に地球はわずかに自転しており、地球の自転速度と月の公転速度が違うとき、楕円の盛り上がった長軸の先に月はいません。この時、月からはたらく潮汐力はどうなっているでしょう?楕円形の海面の盛り上がった2点のうち、月から近い側の方が遠い側より重力が強くなるので、潮汐力は地球の自転と反対向きにはたらきます。こうして自転と反対側に引かれた海水が、海底との摩擦によって地球の自転にブレーキをかけ、地球の自転はどんどん遅くなるのです。このような効果は「潮汐摩擦」と呼ばれています。

 潮汐摩擦によって、月と地球の間の距離も遠ざかっています。月までの距離は、NASAのアポロ計画で月に鏡が置かれて以来、そこに地球からレーザー光を当てて返ってくるまでの経過時間から、正確な測定が可能になりました。その結果、一年間に3.8 cmずつ遠ざかっていることが実際に確認されています。月までの距離は現在38万 km ですので、この変化はとても小さいものです。しかし、積もり積もれば当然これも大きくなり、およそ40億年後には月までの距離は現在の約1.4倍に!!遠いものほど小さく見えるので、40億年後の地球から見た月は、現在の7割くらいの大きさしかないでしょう。こんな小さい月では太陽を完全に隠すことができないため、昨年7月に見られたような皆既日食はもう起こらなくなります。

 では、潮汐摩擦によって地球の自転はどこまで遅くなるのでしょうか。潮汐摩擦がはたらく原因は、地球の自転速度と月の公転速度が違うからです。地球の自転速度が遅くなって月の公転速度と同じになると、もう潮汐摩擦ははたらかなくなるので、一日の長さはこれ以上変わりません。それは、今からおよそ40億年後のことになります。このときには、地球の自転速度と月の公転速度が同じですから、地球上の決まった場所からしか月は見えないことになります。締切に追われた方にとっては一日が長くなって嬉しいでしょうが、待てど暮らせど月が出てこない夜空はきっとどこか淋しいでしょうね。

☆参考 URL:天体(惑星)としての地球(4)
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/uchu/jikokutokoyomi-02.htm

(小林:国立天文台) 

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【4】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。
新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため・・・お好きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。

さあ、挑戦してみてください!!

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○第23回は皆既日食と彗星に関する問題です。

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 昨年(2009年)の7月には、日本でも皆既日食がありました。残念ながら、悪石島などでは悪天候のため見ることができず、そのことが当時よく報道されていましたので、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。
 さて、今年(2010年)の7月11日には、また世界のどこかで皆既日食が起こります。

(1)今年の皆既日食はどこで見られるでしょうか。

 あ、ハワイ島
 い、イースター島
 う、バリ島


 昨年(2009年)の9月に発見されたマックノート彗星(2009R1)は、6月から7月に明るくなると考えられています。1〜3等級まで明るくなれば、明け方の低空に肉眼で見られるかもしれません。

(2)彗星の名前の「マックノート」は、何を表しているでしょうか。

 あ、彗星の発見者
 い、彗星を発見した観測地
 う、彗星観測に必要な器具の名前

(3)彗星は一般に何と呼ばれているものでしょうか。

 あ、ほうき星
 い、流れ星
 う、一番星

(渡辺め・渡辺よ) 

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【5】黄華堂の活動予定

○5月16日(日)第2回星のソムリエ資格認定講座(新風館)
 ※星のソムリエ資格認定講座についての詳細は以下をご覧くだ
  さい。
      http://www.oukado.org/somurie.htm
○5月16日(日)Life on the Planet(新風館)

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【編集後記】

今年のGWはよく晴れていて、お出かけした人も多いのではないでしょうか?メルマガ5月号をお届けします。沖縄が梅雨入りして、なかなか星が見えない時期が近づいてきました。今のうちにしっかり見ておきたいところですね。

(森谷:新緑と青空を見て初夏を感じつつ)


(黄華堂検定の答え)

(1)い
  南太平洋のマンガイア島、ハオ島、イースター島等で見られます。日本からのツアーで何十万円もかかるようです。行ってみたいのですが…。

(2)あ
  彗星の名前は、(独立して)発見した人の名前が先着3名まで付けられます。

(3)あ
  彗星の尾がほうきのように見えることからこのように呼ばれています。流れ星は流星、一番星は(特定の星ではなく)、一般に夕暮れ時はじめに見つけられる星のことです。

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