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黄華堂通信  No. 035 ◆◇◆  2010年 11月号  ◇◆◇

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黄華堂のつぶやき!@oukadoで天文現象やイベント情報についてつぶやいています!

【もくじ】

【1】来月の星空
【2】絵本で見る宇宙
【3】あなたの知らない宇宙
【4】黄華堂宇宙検定
【5】黄華堂の活動予定
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【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 11月の星空についてはこちらを!
 http://www.oukado.org/hosizora1011.htm

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*2010年12月の星空
12月は、1年の中で、最も昼間が短く、夜が長いころです。冬至の日には、太陽がもっとも南寄りを通過します。日没が早いので、星空を楽しみやすい時期ともいえます。秋の星たちはすっかり西の空へ傾き、東の空にはにぎやかな冬の星たちが輝きます。
 
一番目立っているのは、星の並びが特徴的なオリオン座です。オリオン座の西側、頭の真上近くには、星団の「すばる」が輝きます。すばるの星は、いくつ見分けられるでしょう?じっくり観察してみてくださいね。

*天文現象いろいろ 
■ 2日 水星が東方最大離角
■ 4日 金星が最大光度
■ 6日 新月
■ 7日 大雪(太陽黄経255度)
■13日 上弦の月
■14日 ふたご座流星群が極大のころ
■18日 木星が東矩 
■19日 天王星が東矩
■21日 満月(皆既月食!)
■22日 冬至(太陽黄経270度)
■28日 下弦の月

*見ごろの星たち
■皆既月食(12月21日)
今年は、年間で3回も月食を見られる珍しい年でした。
その最後の月食は、皆既月食です。
今回は月の高度が低いときの現象のため、東の空がよく開けた場所で観察するのがいいでしょう。 
+皆既食の開始:16時40分
+月の出(時刻)札幌:15時53分 東京:16時26分 京都:16時42分 福岡:17時08分
+食の最大 17時17分
+皆既食の終わり 17時53分
+部分食の終わり19時01分
(予報は国立天文台暦計算室より)

■カペラ(ぎょしゃ座の一等星)
北の空高いところに、明るくきらきら輝く星がぎょしゃ座のカペラです。
冬の星たちの中で最初に見え始める一等星です。
北よりの空にあるので、北海道など、緯度の高い地域では
一年中見ることができる星です。
 
■すばる M45(おうし座の散開星団)
星の集まり「すばる」が頭の真上近くで輝きます。
肉眼では、暗い星がごちゃっと集まっているように見えますが、
双眼鏡ではたいへん美しく見ることができ、楽しめます。
おうし座の肩のあたりにあります。
おうし座は冬の代表的な星座の1つ。
冬もすぐそこまできています!
 
■木星(太陽系の惑星)
太陽系最大の惑星です。
宵の西空、どの星よりも明るく輝いて見えます。
夏から秋にかけて見ごろとなっていました。
今シーズンはそろそろ見納めです。

(橋本:佐賀県立宇宙科学館)

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【2】絵本で見る宇宙 Vol.29

今回は素敵な写真集を紹介します。
子ども向けに作られているものではありませんが、きれいな写真に年齢は関係ありません!

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『ワンダフル・プラネット!』

ツイート&メッセージ:野口聡一 写真出典:JAXA/NASA ISBN978-4-7976-7214-5

皆さんtwitter(ツイッター)はご存知ですか?
140文字のツイート(つぶやき)を投稿して、いろいろな人とコミュニケーションがとれるウェブツールです。実は黄華堂もつぶやいています。そんなシステムを利用して、ある人がとても素敵な写真を、しかも宇宙から毎日のように届けてくれていました。

ある人とは、そう、宇宙飛行士の野口聡一さんです。
2009年12月から2010年6月までの半年間にわたって国際宇宙ステーションに滞在、その間、宇宙ステーションから地球を見つめ、多くの写真を撮られてきました。しかも、その写真を野口さん自身のつぶやきとともにツイッターに投稿、世界中の人たちに発信してくださっていたのです。

そして、そのつぶやきと写真を収めた一冊の写真集が出版されました。
それが今回紹介した「ワンダフル・プラネット!」です。

余計な解説など一切なく、野口さんがそのとき感じた短いつぶやきと、きれいな写真だけの本です。

宇宙から見る地球はとても美しいそうです。
しかし、写真から伝わってくるのはそれだけではありません。

一見しただけでは何が何だか分からないような形、風や水が織りなす複雑な、でも物理法則に則った模様、
人間活動の正と負、宇宙からの視点でしか見ることのできない風景がそこに広がっています。

大人も子どもも、まずは美しい写真を眺めてみてください。
そして感じて、考えてみてください。
一枚一枚の写真に、科学、歴史、文化、いろいろなものが詰まっています。
好奇心を持って見れば、きっと飽きることのない写真集です。

もしかしたら、子どもたちのほうが「あっ」と思うような気付きをしてくれるかもしれませんね。

(塚田:姫路星の子館)

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【3】『あなたの知らない宇宙』

「暗黒乱流」

 ペガスス座のM15などの球状星団や、アンドロメダ銀河が見頃の季節ですね。球状星団の中の数十万個の星たちや、銀河の中の数千億個の星たちがバラバラにならずに集まっていられるのは、重力のおかげです。重力は、自然界に存在する4種類の力のうち、唯一遠くまで届いて星たちをまとめます。その重力は、その星た
ちが自分たち自身で作り出したものです。星たちは自分自身が作る重力でお互いに固まっているのです。球状星団や銀河、そして銀河団はこのように自分自身で構造を作る『自己重力』のシステムです。

 この自己重力システムは、自らが作り出した構造であるがゆえに、スケーリングという顕著な規則性を持っています。たとえば、天体の自転の勢いを表す角運動量は、その天体の質量の2乗にほぼ比例します。自己重力システムはこの他にも様々なスケーリングを持っていますが、その理由を全部系統的に説明する理論はありませんでした。

 一方、これら自己重力システムの主な成分は星ではありません。その質量の100倍以上もの光らない物質があって、これが銀河や銀河団の構造を形作ってきたのです。でも、私達はこの見えない大量の物質が何であるかわからないので、それは暗黒物質という名前で呼ばれています。この暗黒物質が強く結合し激しく運動して天体を形成してきたのです。

 私達は、この暗黒物質の運動が、乱流の状態に近いことを見出しました。乱流とは、流体の非常に乱れた流れの普遍的なひとつの形態で、私達に身近な空気も海洋もみんな乱流です。乱流が普遍的であるのは、そのスケーリーングの性質にあります。そしてそのスケーリングは、天体のスケーリングと本質的に同じなのです。私達は暗黒物質の乱流理論から、天体の持つスケーリングが(すべてではありませんが)ことごとく説明されることを主張しました。

 昔、銀河が乱流からできる、という理論がありました。しかし当時は私達にお馴染みの光る物質の乱流を考えていたので、観測される宇宙背景放射の光が示す等方性と矛盾してしまいました。でも、暗黒物質の乱流なら、見えないのだから、光を乱しません。光と相互作用しないのだから散逸もしません。

 乱流が普遍的なら、その様相は銀河や銀河団に留まりません。構成物質は違うけれども、大きな自己重力ガス雲や原始惑星系円盤のガスも、乱流に由来したスケーリングを示すはずで、実際そのようなスケーリングが見えているのです。このように、宇宙では、静かに構造が形成していったのではなく、かなりダイナミックであったようです。

詳しくは、こちらのページに添付のpdfファイルをご覧ください。
http://www.kyoto-nijikoubou.com/?page_id=58

(中道:京都産業大学) 

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【4】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。
新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため・・・お好きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。

さあ、挑戦してみてください!!

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○第29回は夕方に観察されることについて考えてみましょう。
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(1)西空の低いところに、金星と似た明るい輝きを見つけました。何の光か予想する簡単な方法はどれでしょうか?

  (あ)双眼鏡を取りに帰り、観察する
  (い)歩きながら見る位置を変え、明るい輝きがついてくるか見る
  (う)一分間ほど観察し光が動くか確かめる

(2)空の高いところで突然光が輝きだし、10秒間ほど大きく動きながら暗くなり見えなくなりました。何が輝いたのでしょうか?

  (あ)火球
  (い)飛行機
  (う)イリジウム衛星

(3)きれいな三日月をよくみると、黒っぽい丸いものがついていました。どうやら月の暗い部分がうっすらみえているようです。なぜでしょう?

  (あ)月に暈(かさ)がかかった
  (い)月の大気がぼんやり光っている
  (う)地球照

(片平) 

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【5】黄華堂の活動予定

●11月23日(火祝)星のソムリエ講座とライフ・オン・ザ・プラネット(京都・新風館)
          
●12月15日(水)京大病院天文教室(京都・京大病院)

●12月26日(日)星のソムリエ講座とライフ・オン・ザ・プラネット(京都・新風館)

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【編集後記】

 秋も深まって冬の気配を強く感じ始めるこの頃ですね。
 黄華堂メルマガ11月号をお届けします。
 来月は今年最後(?)の大イベント皆既月食です。
 晴れるとよいですね。              

(森谷:冬支度の真っ最中)

(黄華堂検定の答え)

(1)う
低い高度に見える光として、航空機のライトの可能性が高いです。ですから、しばらく見て移動するか確認してから予想するのが簡単ではないでしょうか。

(2)う
衛星携帯電話用のイリジウム衛星の平面アンテナが、太陽光を反射している場合が多いと考えます。

(3)う
地球の雲や雪は太陽光を良く反射します。その光が月の暗い部分(月の夜の部分)を照らす現象です。
佐賀県立宇宙科学館で撮られた地球照の写真はこちら↓↓


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