■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 黄華堂通信
No. 039 ◆◇◆ 2011年 3月号 ◇◆◇
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【もくじ】
【1】来月の星空 【2】絵本で見る宇宙 【3】あなたの知らない宇宙 【4】黄華堂宇宙検定 【5】黄華堂の活動予定
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】来月の星空
一足早く来月の星空をご紹介します。 3月の星空についてはこちらを! http://www.oukado.org/hosizora1103.htm
............................. *2011年4月の星空
南の空高く、「?」を裏返しにした星の並びがしし座の目印です。しし座の東側には、おとめ座が続いています。 そのおとめ座には、今年は黄色くて明るい星が加わっています。それが太陽系の惑星、土星です。土星はおとめ座の一等星スピカよりも少しだけ明るく輝いて見えます。スピカは白っぽい星です。色もよく見比べてみましょう。
*天文現象いろいろ ■ 2日 月の距離が本年最遠(40万6652km) ■ 3日 新月 ■
5日 土星が衝(光度0.4等級) 清明(太陽黄経15度) ■ 7日 木星が合 ■
9日 水星が内合 ■11日 上弦の月 ■17日 春の土用 ■18日 満月 ■20日 穀雨(太陽黄経30度) ■23日 4月こと座流星群がピークのころ ■25日 下弦の月
*見ごろの星たち ■土星 リングがかわいらしい土星が見ごろです。小型望遠鏡でもリングの様子を見ることが出来ます。年によって、リングの傾き具合が少しずつ変化しています。 ■しし座 「?」の左右をひっくり返した星の並びが、しし座の頭から胸にかけての部分です。「?」の点の部分には、白く輝く明るい星があります。これがしし座の一等星レグルスです。 ■北斗七星 北の空に7つの星がひしゃくの形にならんだ北斗七星が輝くようになります。春〜夏にかけて、北の空で見ごろとなります。
(橋本:佐賀県立宇宙科学館)
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【2】絵本で見る宇宙 Vol.34
今月紹介する絵本はなんと政府刊行物!(笑) twitterの人気者、イカロス君の物語です。
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『イカロス君の大航海』
監修・文 澤田弘崇、イラスト みみみみドイツ/ゆうきよしなり
昨年5月に宇宙へと旅立った宇宙ヨット「イカロス」。 正式には小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」と言います。太陽の光を受けて進む、まさに宇宙ヨットです。
この絵本は、全体が3部構成になっています。
第1部は、イカロス君の打ち上げからセイルの展開、太陽の光を受けての航海など、イカロス君の旅路を小さい子にもわかりやすくイラストと文で紹介しています。漢字には全部ルビが振ってありますよ!
第2部はイカロス君の仕組みや太陽系の惑星、宇宙についての解説。男の子と女の子、博士の3人の会話でわかりやすく説明されています。はやぶさ探査機との通信でも活躍した、臼田宇宙空間観測所などの説明もあります。小学校中学年〜高学年向きでしょうか。
第3部は中学生〜大人向け。イカロスのミッションや搭載観測機器などについての説明があります。
というように、どの年齢の人たちでも楽しんでもらえ、そしてイカロスについて詳しくわかる絵本になっているのです。もちろん、かわいいイカロス君のイラストが所狭しと登場します。
また、ページの端にはパラパラマンガがついていて、イカロスのセイル展開の様子がアニメーションで見られたり、ページの下にはイカロス君の弟と妹(※1)による、イカロス君へのインタビューもついていたりと、小ネタも満載です。
イカロス君のミッションは大成功におわり、現在は後期運用に入っています。この絵本を読みながら、ぜひイカロス君の旅路を思い出していただければと思います。なんといっても、世界初の物語ですから(※2)。
(※1) イカロスは、セイルを展開した写真を撮影するための分離カメラを2台積んでいました。DCAM1とDCAM2です。物語ではDCAM1ちゃんが妹、DCAM2君が末弟として登場します。
(※2) ソーラーセイルの展開に成功したのはIKAROSが世界初なのです!
(塚田:姫路星の子館)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】『あなたの知らない宇宙』
”赤外線で見た宇宙の姿”
皆さん、突然ですが宇宙の本当の姿をご存知でしょうか?
ハッブル宇宙望遠鏡のキレイな写真を見たことのある人は、遠い昔の宇宙の姿まで知っていると言うかもしれません。でも実は、これだけで宇宙の全てが分かったかと言うと、そうではありません…。
普段よく知っている目に見える光は、可視光と言いますが、実は、この可視光では、宇宙の恒星(太陽みたいに自ら輝く星)の光を主に見ています。つまり、ハッブル望遠鏡で撮られた遠く銀河のキレイな写真も、可視光の写真なので、基本的には星しか見ていないことになります。
では、宇宙にある星以外の成分を見るには、どうすればいいでしょうか?答えの1つとしては、可視光と違う波長の光で見るという方法があります。特に今回は、赤外線で見た宇宙について少しお話します。
赤外線では一体何が見えるのでしょうか?実は、若い大きな星よって温められた宇宙の塵(ダスト)による光を見ています。つまり、宇宙の中の、既に輝いている星ではなくて、星が生まれている現場(星のゆりかご)を見ることができます。
この赤外線を使って宇宙を見るため、一昨年の
5月にハーシェル宇宙望遠鏡が打ち上げられました。この望遠鏡は、宇宙にある望遠鏡としては非常に大きく、口径3.5m もある大望遠鏡です。(【参考】
ハッブル宇宙望遠鏡の口径 = 2.4m
)ハーシェル望遠鏡の登場により、星の生まれる現場から、遠くの生まれたての銀河まで、これまで見ることができなかった宇宙の姿が捉えられるようになってきました。
今後、ハーシェル望遠鏡の更なる活躍により、宇宙の新たな一面が理解されると思います。皆さんも、期待して下さいね!!
(ハーシェル宇宙望遠鏡で撮った写真を見つけてきました。良かったらクリックして見て下さい!!) 【アンドロメダ銀河】 http://www.esa.int/export/SPECIALS/Herschel/SEMY1K0SDIG_0.html Optical(可視光)と
Infrared(赤外線:ハーシェル望遠鏡)で様子が全く違うと思います。星形成が活発な部分が、渦巻きになっているのがよく分かると思います。
【遠くの沢山の銀河】 http://sci.esa.int/science-e/www/object/index.cfm?fobjectid=46974 ハーシェル宇宙望遠鏡でとらえた、遠くの銀河たちです。(点の1つ1つが銀河です)星形成が今より活発だった頃の生まれたての銀河が沢山写っています。
(住吉:京都大学)
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【4】黄華堂宇宙検定
このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。 新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため・・・お好きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。
さあ、挑戦してみてください!!
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○第33回は天文学に貢献した人物に関する問題です。
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(1)ハッブル宇宙望遠鏡の名前にもなっているハッブルさんは、何を発見した人でしょう?
(あ)宇宙は収縮していること (い)宇宙は変化していないこと (う)宇宙は膨張していること
(2)ハーシェル宇宙望遠鏡の名前にもなっているハーシェルさんは、何を発見した人でしょう?
(あ)電波 (い)赤外線 (う)X線
(3)ハーシェルさんは惑星も発見しています。さて次のうちどれでしょうか?
(あ)天王星 (い)海王星 (う)冥王星(注:惑星から外れたのは2006年のことです)
(住吉:京都大学)
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【5】黄華堂の活動予定
●4月13日(水)京大病院訪問
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【編集後記】
この度の東北関東大震災で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。 日本中が天災の猛威に震撼としている中、メルマガを読んで少しでも皆様の心が休まれば幸いです。
(森谷@なごり雪を見ながら)
(黄華堂検定の答え)
(1)う 1929年、ハッブルは、セファイド変光星を用いて銀河までの距離を測定し、遠い銀河ほど高速で遠ざかっていることを見つけました。これが宇宙膨張の発見です。
(2)い 1800年頃、ハーシェルは、太陽光を分光した赤い光の部分の更に外側に温度計を当てると、温度が上がることを見つけしました。これが目に見えない赤外線の発見です。
(3)あ 1781年、ハーシェルは、自宅の自作望遠鏡で天王星を発見ました。実は、天王星は明るいときは肉眼でも見え、以前にも見つけられていましたが、天王星が太陽系の惑星であると認識したのはハーシェルが初めてのようです。
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