■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 黄華堂通信
No. 043 ◆◇◆ 2011年 6月号 ◇◆◇
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黄華堂web:http://www.oukado.org/ 黄華堂のつぶやき!@oukadoで天文現象やイベント情報についてつぶやいています!
【もくじ】
【1】来月の星空 【2】絵本で見る宇宙 【3】あなたの知らない宇宙 【4】続・ホシノキヲク 【5】黄華堂宇宙検定 【6】黄華堂の活動予定
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【1】来月の星空
一足早く来月の星空をご紹介します。 6月の星空についてはこちらを! http://www.oukado.org/hosizora1106.htm
............................. *2011年7月の星空
梅雨の季節が終わると、夜空はすっかり夏の星空になっています。東の空を見上げると、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル、こと座のベガを結んでできる「夏の大三角」が見られます。アルタイルとベガは、それぞれ七夕伝説の彦星と織姫星としても有名ですね。
一方、南の空の低いところには、赤く輝く心臓・アンタレスを伴ったさそり座が見られます。さそり座が描くS字形は日本では釣り針に例えられ、「魚釣り星」や「鯛釣り星」などと呼ばれていました。またその少し東側には、さそり座を今にも射ようと矢をつがえて狙っている、いて座が見られるでしょう。いて座には南斗六星と呼ばれる、おおぐま座の北斗七星に似たひしゃく形の星の並びがあります。中国では、この北斗七星と南斗六星、それぞれ死と生を司るものとして伝えられています。
このように、夏の星空はメジャーどころの星々がいっぱいあります。晴れた日には、ぜひ星空観測をしてみましょう。
*天文現象いろいろ ■
1日 リニア彗星が近日点を通過(周期5.7年) 新月(アフリカと南極の間の海域で部分日食が見られる) ■
2日 半夏生(太陽黄経100゚) ■
4日 ウェスト・ハートレー彗星が近日点を通過(周期7.6年) 地球が遠日点通過 (1.0167404天文単位、1億5210万2198km、太陽視直径31.5') ■
7日 七夕 小暑(太陽黄経105゚) 月の距離が最近(0.961、36万9567km、視直径32.3') ■
8日 上弦 ■12日 海王星が発見以来一周目(発見は1846、周期165年) ■15日 満月 テイラー彗星が近日点を通過(周期7.7年) ■20日 夏の土用(太陽黄経117゚) ■22日 月の距離が最遠(1.052、40万4348km、視直径29.9') ■23日 大暑(太陽黄経120゚) 下弦 ■28日 みずがめ座δ南流星群が極大のころ (出現期間7月15日〜8月20日) ■31日 新月
参考サイト: AstroArts「天文現象カレンダー」 http://www.astroarts.co.jp/phenomena/2011/ph201107-j.shtml
(廣井:京都大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【2】宇宙開発裏話 Vol.2
「最後のシャトル中継を楽しもう!」
日本時間7月9日(土)0時40分、30年に及ぶスペースシャトル計画の最終便「STS-135」が宇宙へと旅立ちます。老朽化や安全性、コストの等の問題から、シャトルはこれにて退役。これからのアメリカによる有人宇宙飛行は、カプセル型深宇宙船「MPCV」や、民間宇宙船「ドラゴン」などが担うことになっています。
今回は、見納めとなるシャトルの打ち上げを、カウントダウン形式で解説しましょう。お勧めの中継サイトは、
・本家NASAによる24時間宇宙チャンネル「NASATV」 ・技術者による解説付(英語)のNEWSサイト「Spaceflight
Now」 ・速度などの情報がテロップで表示される「Spacevidcast」
です。もしかしたら地上波で中継されるかも?
★T
-9分(打ち上げ時刻Tマイナス9分前):カウントダウン開始 (^_^)OTC?>>>(´・∀・`)OTC is
GO! (^_^)TBO?>>>(o´w`o)TBO is
GO! というやり取りが聞こえ始めます。打ち上げても良いか、管制官が各担当にむけて判断を求めているのです。ここでNO
GOが出ると、時計は-9分のまま動きません。
★T
-5分:APU作動開始 打ち上げ時刻が迫ると、シュッシュッと蒸気機関車のような音がします。正体はエンジンノズルを動かすための電力を作る、APUという装置の音。準備万端、という印です。
★T
-6.6秒:主エンジン点火 エンジンのまわりに花火のような火の粉が広がり、しばらくすると点火します。火の粉は点火前に燃料ポンプから漏れた水素を燃やして爆発を防ぐためのもので、点火装置自体はエンジン内部にあります。
★T
-0.0秒:リフトオフ 両脇についてる白い固体補助ロケットが点火すると、シャトルは上昇を開始します。ご近所に迷惑にならない程度に音量をアップして、轟音を体感しよう!
★T
+2分3秒:固体補助ロケット分離 固体補助ロケットが燃えている間、飛行士はシャトルから脱出することができません。ここまできたら一安心です。
★T
+8分30秒:メインエンジン燃焼終了 メインエンジンカットオフ、または頭文字を並べたミーコー(MECO)という声が聞こえたら、真ん中のオレンジ色をした補助タンクが分離され、"ほぼ"打ち上げ完了です。あとはシャトル本体についてる小型液体ロケットを数十分間、合計2回噴射して、目標の宇宙ステーションと同じ軌道へ投入されます。
★延期の場合 シャトルは予定通りに打ち上がる方が稀で、天候や機械トラブルで延期するのが常。雨ニモマケル、風ニモマケル、ソウイウシャトルニ、私ハ会イタクナイ・・・。天文屋さんもロケット屋さんも、天気に泣かされることが多いのです。
(藤井:大阪教育大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【3】突撃!隣の科学館
『姫路市宿泊型児童館・星の子館』
世界遺産・姫路城のある街、兵庫県姫路市の西の端にあるのが、姫路市宿泊型児童館・星の子館です。
星の子館は科学館でも博物館でもなく「児童館」です。児童館に何で天文の職員?? って不思議に思いますよね?
それは、星の子館が名前の通りお泊りができる児童館だからです。せっかく泊まれるのだから星が見えたらいいよね!ということで、屋上には90cm、大きさで言うと日本で15番目くらいの大きな望遠鏡があるのです。
そして、この望遠鏡を使って星を見る観望会をなんとほとんど毎晩!行っています。 #お休みは8月と12月を除く第二水曜日と年末年始だけです。もちろん、観望会は星の子館に泊らなくても参加することができます。
私たち職員は、この観望会が主な業務です。学校がお休みの日には昼間にも観望会を行い、青空の中に輝く星をご覧いただいています。工作などのイベントもたくさん行っています。「天文台の人って昼間はなにをしているんだろう?」ってよく聞かれますが、イベントを行ったり、その準備をしたり、ちゃんとお仕事していますよ(笑)
ぜひ一度、のんびりとお泊りしながら星の子館に星を見に行ってみませんか?
(塚田:元・姫路市星の子館/平塚市博物館)
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【4】続・ホシノキヲク
…いつから星を好きになったのだろう? 夜空の星をみて、初めて感動したのはいつのこと?宇宙を感じてわくわくする気持ち、忘れていませんか? 黄華堂メンバーのもつ、星の記憶をリレーしていきます。あなたの中に眠る星の記憶を呼び覚ましてみませんか?
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今を去る40年ぐらい前のことです。姫路科学館(当時の科学館は今の科学館ではなく、姫路駅南西部の手柄山というところにありました)で行われた天文教室(夏の〜、とか、冬の〜とかの季節の名前がついていましたが、忘れました)で聞いた話。「恒星はいくら拡大しても点にしか見えない」。当時(小学5年ぐらい)この意味を私は文字通り解釈し、恒星を「数学的な点」のような存在に捉えて、いくら拡大しても「点」というのはとても不思議な現象だと思っていました。それからさらに遡ること1、2年、理科の時間に「電灯の光は広がるけれど、太陽の光は平行」と学び、実質的に平行であるものと思い、これも不思議で理解できませんでした。
それからさらにさらに遡ること4、5年(就学前、多分幼稚園ぐらいでした)、星がどこまでもついてくるのが不思議で仕方がありませんでした。そこで、当時仲のよかった町内の友達と決闘よろしく背中合わせに立ち、天頂付近の星を眺めながら互いに反対方向へ歩いていきました。ある程度離れてから元の位置に戻りお互いに「自分の方についてきた」と報告しあいました。疑問はますます深まるばかりでした。
上記のネタ(いわゆるネタではなく、れっきとした事実です)、いずれも「実質」、あるいは日常生活で観測できる範囲内に限定されることが成長の後にわかったのですが、アホな小学生だったのか、あるいは説明が拙かったのか(多分前者ですが・・・)、ど うだったのでしょうね? いわゆるキレイなホシノキオクでなく てすみません。
(尾崎勝彦:心理学講師 サイエンスカフェはりま 世話人)
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【4】黄華堂宇宙検定
このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。 新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため・・・お好きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。
さあ、挑戦してみてください!!
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○第35回はX線に関する問題です。 X線は光の一種ですが、目に見える光(可視光)よりもずっと波長の短い光です。
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(1)X線が利用されている機器はどれでしょう?
(あ)電子レンジ (い)テレビのリモコン (う)レントゲン
(2)宇宙からやってくるX線を観測する多くの場合、観測衛星 を打ち上げます。衛星を打ち上げなければならない主な理由 は何でしょう?
(あ)少しでも観測するものに近いほうが、精密なデータが得られるから。 (い)地球の大気が強いX線を出しているので、大気の外に出ないと地球由来のX線と混じってしまうから。 (う)宇宙からやってきたX線は、地球の大気を透過することができないから。
(3)宇宙には、X線を出している天体があります。次のうち天 体やその周辺からX線を出しているものはどれでしょう?
(あ)ブラックホール (い)太陽 (う)彗星
(小澤)
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【5】黄華堂の活動予定
● 6月29(水)宇宙と遊ぼう@京大病院
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【編集後記】
今年は例年になく早い梅雨入りです。なかなか星を見ることができない日が多いこの頃ですが、メルマガを読んで宇宙に想いを馳せてもらえれば幸いです。
(森谷:PCの破損に撃沈)
(黄華堂検定の答え)
(1)う X線は、100年以上前に、ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲンによって発見されました。彼の名にちな んだ「レントゲン撮影」では、X線を目的の物質に当て、透過したX線を検出器でとらえることにより、ものを壊さずに内部の様子を知ることができます。電子レンジは電波、テレビのリモコンは赤外線を利用しています。電波や赤外線も光の一種ですが、可視光よりも波長が長い光です。
(2)う 宇宙にはエネルギーの高いX線が飛び交っており、この一部は地球まで到達します。しかし、X線は地球大気を透過できないので、これらのX線が地上まで届くことはありません。宇宙からやってくるX線を観測したい場合は、地球大気の外に観測装置を打ち上げる必要があります。X線天文学は日本のお家芸とも言われており、現在も5代目の国産X線天文衛星「すざく」が現役で地球上空600kmの位置から観測を続けています。
(3)あ〜う、全て正解です。 X線は、主に100万〜1億度の非常に高温な物体(プラズマ)から出ます。太陽のコロナは約200万度ですので、太陽もX線を出しています。ブラックホールは、一度光を吸い込むと光が出てこれない天体ですが、ブラックホールの周囲はガスが吸い込まれるときに高温に加熱されます。このため、ブラックホール周辺からはX線が放射されます。ほかにも、超新星爆発の跡や銀河団など、多くの天体がX線を出しています。彗星は高温ではありませんが、太陽からふき出す太陽風の中にある電離したイオンが、彗星の中性物質にあたって電子を奪うことにより、X線を出しています。
「ひので」衛星がX線で見た太陽の様子: http://hinode.nao.ac.jp/news/070527DataOpen_XRT/xrt_fig1ol.jpg
彗星からのX線放射の詳細: http://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2007/fujimoto/index.shtml
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