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黄華堂通信  No. 047 ◆◇◆  2011年 10月号  ◇◆◇

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黄華堂のつぶやき!@oukadoで天文現象やイベント情報について
つぶやいています!

【もくじ】

【1】来月の星空
【2】宇宙開発裏話
【3】黄華堂レシピ
【4】続・ホシノキヲク
【5】黄華堂宇宙検定
【6】黄華堂の活動予定

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【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 10月の星空についてはこちらを!
 http://www.oukado.org/hosizora1110.htm

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*2011年10月の星空

 秋の四辺形(またはペガススの四辺形)が頭上高くに輝く時期になりました。この時期、夜空には古代エチオピアを舞台とした物語にまつわる星座が数多く見られます。

 エチオピア王『ケフェウス』とその妻『カシオペア』。カシオペアが娘の『アンドロメダ』の美貌を「海神ポセイドン
 の自慢の孫娘ネレイドたちが足元にも及ばないくらい美しい」と自慢したがためにポセイドンの怒りを買い、
  ポセイドンによって放たれた化け物『くじら』。それをなだめるために生贄にされたアンドロメダを救った、
  『ペガスス』に乗った英雄『ペルセウス』。

 この話は映画「タイタンの戦い」などで映像化されているのでご存知の方も多いかもしれません。皆さんも気になる星座の神話について調べてみましょう。

 また11月中頃にはしし座流星群が極大を迎えます。2001年の流星雨(このときは1時間で1,000個以上の流星が見えたと言われます)に比べると見られる流星の数はぐっと少ない予想ですが、それでも1時間に10個程度は流れるそうなので、願い事のある方は寒さに気を付けて観察してはいかがでしょうか?

*天文現象いろいろ 
■ 3日:上弦
■ 4日:おうし座南流星群が極大のころ
    (出現期間10月15日〜11月30日)
■ 8日:立冬(太陽黄経 225゚)
    月の距離が最遠(40万6173km、視直径 29.8')
■11日:満月
■13日:おうし座北流星群が極大のころ
    (出現期間10月15日〜11月30日)
■18日:しし座流星群が極大
    (出現期間11月5日〜11月25日)
■19日:下弦
■23日:小雪(太陽黄経 240゚)
■24日:月の距離が最近(35万9693km、視直径 33.5')
■25日:新月

参考サイト
AstroArts「天文現象カレンダー」
http://www.astroarts.co.jp/phenomena/2011/ph201111-j.shtml

(廣井:京都大学)

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【2】宇宙開発裏話 vol.4

「火星探査機、打ち上げラッシュ」

 来月、2年2ヶ月ぶりに火星へのロンチウインドウが開き、米露中の3つの探査機が打ち上げられます。ロンチウインドウとはロケットが打ち上げ可能な時間帯を指し、この秋にまでに打ち上げないと次は2013年まで待たねばなりません。3つの探査機をちょっとだけ紹介しましょう。

☆火星ローバー「キュリオシティ」(米)
 火星には今までに、3台のローバーが送られました。1台目のソジャーナは米袋、双子のスピリット&オポチュニティはゴルフカートほどの大きさでしたが、今回のキュリオシティは、なんと軽自動車!と同じ大きさ。よくミニ・クーパー(Mr. BEANの愛車ですね)に例えられます。

 先輩たちに比べ格段に重くなったキュリオシティは、これまでのようにエアバックを使って跳ねて着陸することができません。スカイクレーンと呼ばれるホバリングロボットが助手として相乗りし、その名のとおりローバーをクレーンで吊るしながら表面に下ろします。

 英語で「好奇心」という意味のキュリオシティには、数多くの観測装置が搭載されています。カメラやロボットアームはもちろん、岩石を削るドリルや表層をはがすレーザーをも備える一丁前の地質学者なのです。一番の目玉は、試料に含まれるガスや有機物を分析するSAMという装置で、火星に存在していたかもしれない生命の痕跡を探ります。電源はプルトニウム238を熱源とする原子力電池なので、太陽電池に降り積もる砂で悩まされることはありません。


☆サンプルリターン機「フォボス・グルント」(露)
 ロシアは宇宙開発競争時代、ルナという無人探査機で月からサンプルを持ち帰ったことがあります。ソ連崩壊直前には、火星の衛星フォボスに相次いで探査機を送った経験があります。フォボス・グルントは、これまでに培った技術を生かしてフォボスに着陸、さらに、はやぶさのようにサンプルを地球に持ち帰る計画です。

 ただし、はやぶさ計画とはいくつか異なる点があります。この探査機は表層をまるごとすくい取ったり、ハンマーで徐々に圧力を加えたりして、重力の弱いフォボスからサンプルを集めます。また、探査機から分離した子機が地球までサンプルを運び、本体はフォボス表面に留まって観測を続けます。

 サンプルを入れるカプセルには、クマムシ入りの生物実験装置が一緒に搭載されます。クマムシは放射線や真空に強い耐久性を持つ微生物で、3年間の過酷な宇宙旅行に耐え、無事に生還できるか調べられます。


☆火星周回衛星「蛍火1号」(中)
 フォボス・グルントに相乗りする小型衛星で、火星を回る探査機は現在運用中のものと合わせると総勢4機にもなります。主に周辺のプラズマ環境を調べ、火星大気散逸の謎を探ります。

(藤井:大阪教育大学)

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【3】黄華堂レシピ

 今回は、「簡単!宇宙パズル・宇宙しおり」を紹介します。

 黄華堂は 2、3ヶ月に一度、京大病院で観望会を開いています。夜の観望会の前には、星のお話やゲームをして遊ぶのですが、そこに来てくれた子どもたちに、手作りのパズルやしおり等をプレゼントしています。
写真を印刷して作る簡単なものなので、是非みなさんも自分だけのグッズを作ってみてください。

宇宙に関する写真は、
JAXA のページ http://jda.jaxa.jp/
NASA のページ http://www.nasaimages.org/
ESO のページ http://www.eso.org/public/images/
などにあります。
※注:これらの画像には著作権がありますので、利用の際はご注意ください。

☆宇宙パズル☆ -------------------------------------------

まず好きな宇宙の写真を厚紙に貼ります。あとは切るだけ!

くねくねと切り、ピースを少なめにすれば簡単なパズルに、まっすぐ切り、ピースを多くすると難しいパズルになります。

簡単に作れるけれど、やってみたら意外と難しい。そんな、子どもから大人まで楽しめるパズルです。

☆宇宙しおり☆ -------------------------------------------

まず好きな宇宙の写真を印刷します。透明なOHPシートなどに印刷すると宇宙っぽくなります。次に、裏に白い紙を重ねて、好きな大きさに切ります。最後に、縁にカラフルなメンディングテープを貼ればできあがり!!メンディングテープは、OHPシートで指を切るのも防いでくれます。

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どちらも子どもたちに大人気です☆
自分の好きな写真のグッズをじっくり選ぶ後ろ姿は真剣そのものです(笑)

とってもきれいでかっこいい、宇宙の写真。
見るだけでなく、オリジナルグッズ作りに活用してみてはいかがですか?

(田崎:京都大学) 

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【4】続・ホシノキヲク

 …いつから星を好きになったのだろう?
 夜空の星をみて、初めて感動したのはいつのこと?
 宇宙を感じてわくわくする気持ち、忘れていませんか?
 黄華堂メンバーのもつ、星の記憶をリレーしていきます。
 あなたの中に眠る星の記憶を呼び覚ましてみませんか?

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 当時、中学生の私にも進路を考える時期が訪れました。理科が好きだったので理系に、そして、どうせやるなら未発見なことが多そうな分野がいいな、という安直な考えで天文学を学びたいと思い始めました。ですので、小さなころから星空を眺めていたり、プラネタリウムに入り浸っていたりする天文少女ではありませんでした。

 私が実際に夜空をまじまじと眺めてみたのは大学に入ってからです。大学では天文サークルに所属していました。そのサークルでは文化祭にプラネタリウムを出展しており、当時、1回生の私は星空解説を担当することになりました。知識がほとんどない私は、小さなプラネタリウムで星や星座の名前を必死に覚えました。一生懸命名前を覚えていると、実際の夜空では星がどのように見えるのか気になってくるものです。そこで、その夜家の近くの堤防で一人、星空を眺めてみることにしました。10月の下旬、21時ごろはまだ秋の星々が主役で暗い星が多かったですが、その中からカシオペア座や秋の四辺形などが確認できました。そして23時ごろ、東の空から昇ってきたオリオン座を見たときは衝撃的でした。キレイに並んだ三ツ星に赤い星ベテルギウス、青白い星リゲル。教科書で見るよりもはるかに大きいオリオン座を見てとても感動しました。

 都会に住んでると、星をまじまじと見たことがない方、多いかと思います。そんな人に一人でも多く、星に接する機会を提供していければ良いなと思っています。

(飯野:大阪教育大学) 

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【5】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。
新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため・・・お好きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。

さあ、挑戦してみてください!!

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○今月の上旬に各ノーベル賞が発表され、物理学賞は天文・宇宙物理分野の研究が受賞しました。
 第39回はこのニュースに因み、ノーベル賞に関する問題です。
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(1)今年のノーベル物理学賞は宇宙の加速膨張の発見でしたが、何の天体を用いた研究でしょうか?

  (あ)超新星
  (い)惑星
  (う)超巨星


(2)2002年のノーベル物理学賞は日本の小柴昌俊氏が受賞しましたが、何の粒子を検出したからでしょうか?

  (あ)光子
  (い)ニュートリノ
  (う)電子


(3)1978年、2006年のノーベル物理学賞は共にある事象に関する研究でした。それは何でしょう?

  (あ)宇宙マイクロ波背景放射
  (い)超新星爆発
  (う)星形成

(住吉/森谷:京都大学)

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【5】黄華堂の活動予定

●11月 5日(土) 青少年のための科学の祭典
      6日(日)     【京都市青少年科学センター】

●11月12日(土) 星のソムリエ講座 【新風館】

●12月 3日(土) 星のソムリエ講座 【新風館】

●12月 4日(日) 観望会 【大阪ステーションシティ】

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【編集後記】

 そこら中から金木犀の香りがして、「あぁ、秋だなぁ」という感じですね。メルマガ10月号をお届けします。
  スポーツ、読書、芸術、食といろいろな秋がありますが、素敵な秋を過ごして下さいね。             

(森谷:やっぱり今年も食の秋)

(黄華堂検定の答え)

(1)あ
 2011年のノーベル物理学賞は、S. パールムター氏(米)、P.シュミット氏(豪)、A. G.リース氏(米)が受賞されました。彼らは宇宙の加速膨張を発見した2つの研究チームでそれぞれ中心的な役割を果たしました。
  彼らは遠くのIa型超新星という天体について調べました。Ia型超新星とそれが属する母銀河を観測することで、宇宙がどのように膨張してきたかを調べると、加速膨張していることが分かりました(1998年)。
 これは、驚くべき結果で、宇宙には暗黒物質と呼ばれる正体不明の物質の重力がある為、加速膨張していることは、暗黒物質からの重力を凌ぐ巨大なエネルギーがあることを意味しています。

(2)い
 2002年のノーベル物理学賞は、小柴昌俊氏が受賞しました。岐阜県に設置されたカミオカンデと呼ばれる装置で超新星爆発からのニュートリノを観測することに史上初めて成功しました。この功績を讃え、同じく宇宙ニュートリノの観測に大きく貢献したR. デイビス(米)と共に受賞しました。
 また、2002年には、R. ジャコーニ氏(米)も太陽系外のX線天体を初めて観測した功績を讃えられて受賞しています。

(3)あ
 1965年にA. A. ペンジアス(米)、R. W. ウィルソン(米)は偶然宇宙のあらゆる方向からマイクロ波(波長1mm程度の電波)が放射されていることを発見し、詳しく解析すると絶対温度3K(ケルビン、-270℃)の熱放射と一致していました。これはかつて宇宙が小さく、高温・高密度だったときの光の名残であり、この発見の重要性から1978年のノーベル物理学賞を受賞しました。
 その後、1992年にCOBEと呼ばれる衛星で宇宙マイクロ波背景放射を観測すると、背景放射に揺らぎがあることが分かりました。この揺らぎは宇宙の銀河などの分布(大規模分布)に寄与していると考えられ、この研究に貢献したJ. C. マザー氏(米)、F. スムート氏(米)に2006年にノーベル賞が贈られました。

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