■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】来月の星空 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 一足早く来月の星空をご紹介します。 ............................. 春になり、だんだんと日没が遅くなっているのが感じられる季節になってきました。そんな中、夜空では 2 種類の恒星(※1)と惑星の共演を見ることができます。 一つ目は、南西の空にある「しし」座のレグルスと火星です。レグルスは白色で、火星は赤色で輝いているように見えるので、隣り合った 2 つの天体は、まるで「ふたご」座のカストルとポルックスのように見えます。日没直後では、西の空にまだ「ふたご」座を見ることができるので、それらを見比べてみてはいかがでしょうか? 二つ目は「おとめ」座のスピカと土星です。南東の空に、ひときわ輝いて見えるので容易に発見できると思います。これらの天体は見た目が似ていますが、瞬いている方(※2)がスピカです。その違いも観察してみましょう。また 5 月の頭には、スピカと土星に加え月も接近してきますので、是非豪華三本立てをご覧ください。 さらに、今月 21 日の朝 7 時頃には話題の金環日食が日本の各地で見られます。この金環日食について天文イベント2012にて取り上げています。そちらも併せてお読みいただければと思います。 ※1:恒星 ※2:星のまたたき
(廣井:京都大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「打ち上げ迫る!ドラゴン宇宙船」 春は新しい門出の季節。実は来月1日、宇宙にも新米宇宙船「ドラゴン」が登場します。文字通り新しいアメリカの宇宙船でもありますが、なんと一民間企業が作った宇宙船なのです。国際宇宙ステーションに向かい、無人で物資輸送を行います。国に頼らない、宇宙開発新時代の幕開けです。 今現在、人を運べる宇宙船は、ロシアのソユーズと中国の神舟(しんしゅう)に限られています。昨年、老朽化や安全性、運用費などの問題によりスペースシャトルが引退したためです。NASAは将来に向けて、火星や小惑星まで飛行できる有人宇宙船オリオンを開発する一方で、これまでシャトルが担ってきた地球低軌道への輸送を民間に委託し、商業輸送を実現させるためのコンペを開いてきました。コンペは貨物部門と有人部門に分かれ、貨物部門で見事内定を勝ち取ったのは、スペースX社による前述のドラゴンと、OSC社のシグナスでした。有人部門は前社2社を含む合計7社の宇宙船がエントリーし、各社が選考に向け凌ぎを削っている段階です。 今回いち早く打ち上げられるスペースX社のドラゴンは、富士山のような円錐形をしたカプセル型宇宙船です。自律的にドッキングをせず、日本の「こうのとり」のように宇宙ステーションの近くまで自動ランデブーした後、宇宙飛行士が操作するロボットアームでゆっくりと捕獲されます。物資を補給後、地球に再突入して帰還し、将来的には人を載せることも可能です。 ドラゴンを運ぶのは、同社が開発した中型液体ロケット、ファルコン9です。このロケットの1段目には、灯油を燃料とする小さなロケットエンジンが9基も束ねられています。高価で複雑なエンジンを使わず、打ち上げ作業の徹底した簡略化を進めたことで、ロケット開発史上類を見ない徹底的な低コスト化を達成したのです。来年には、さらに大型化を図ったファルコンヘビーロケットの打ち上げが予定されています。アポロ計画で使われたサターンVロケットの半分もの能力を持ち、大型の惑星探査や有人火星探査の実現に一役買うことでしょう。 スペースX社はもともと電子マネーで有名なPayPalの創設者、イーロン・マスク氏によって立ち上げられました。イーロン氏は、電気自動車テスラモーターズ社のCEOや住宅用太陽電池メーカーの会長を務めており、島にも太陽光発電所を寄贈しています。宇宙開発から地球環境問題まで、“いーろん”なことに取り組む起業家として知られています。 (藤井:大阪教育大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今月号から「音楽で聴く宇宙」と題して宇宙に関係したクラシック音楽を隔月でご紹介していきます。広大な宇宙は私達の想像力をかき立ててくれます。それは音楽も同じ。音楽を聴いて宇宙に想いを馳せてみませんか? ......................... *** 月シリーズ第一弾 *** まずは「月」シリーズと題して、第一弾にベートーヴェンの『月光』をお送りしたいと思います。 『悲愴』・『熱情』と並び、ベートーヴェンの3大ピアノソナタと言われています。実はこの『月光』という標題はベートーヴェン自身がつけたものではありません。詩人レルシュタープがこの曲の第1楽章を「湖上の小船が月光の起こした波に揺らいでいるようだ」と評したことから『月光』と呼ばれるようになったそうです。この言葉から静かな月の夜の物淋しさや、湖面に反射した光のうつろう様子が感じられますね。 ちなみに数多くの恋愛遍歴をもつことで有名なベートーヴェンですが、この曲も当時の弟子で恋人だった伯爵令嬢ジュリエッタに捧げるために作曲しました。残念ながら、ベートーヴェンが友人への手紙の中で予見していた通り、身分の違いによってこの恋は成就しませんでした。 さて、みなさんは月夜にどのようなことを感じるのでしょうか。この『月光』の1楽章のような「静けさ」でしょうか。実らぬと知りながら恋をするベートーヴェンのような「切なさ」なのでしょうか。 (田崎:京都大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012年度は大きな天文イベントが目白押し。 ......................... 2012年5月21日は、日本の太平洋側の広い地域で金環日食が見られます。地球から見ると月が太陽を隠し、太陽が環になって見えるものです。しかも今回は東京や大阪、名古屋など、広いエリアの大都市で見ることができ、ほとんどの地域で食分が0.9を超えます。これほど広範囲で見られるのは西暦1080年以来932年ぶりの出来事です!楽しみですね! さて、観測をするときは、日食用のグラスを使ったり、望遠鏡を使って太陽投影板に投影したり、デジカメで撮影したり楽しみ方はたくさんありますが、簡単に誰でも楽しめる現象を紹介します。 それは、ピンホールの現象を使ったものです。厚紙など、光を通さない薄いシートに小さな穴を開けて、日食中の太陽の光を当てます。すると、穴を通って影の中に映った太陽の光が、欠けた太陽の形になっています。これは、ピンホールカメラの原理です。うちわに穴を開けても、お菓子のクラッカーを使ってもできますし、文字型に穴を開けると面白いですよ。 日食は美しい現象ですが、観測の仕方によっては危険です。以下は日食の時に注意してほしいことです。 1.肉眼で直接太陽を見る。…これは数秒でも危険です。 中には大丈夫では?と思ってしまうのもあるかもしれませんが、危険ですので守って安全に観測しましょう! 「金環日食」参考サイト (西野:大阪教育大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため…お好きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。 ......................... .........................
(森谷:広島大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(鈴木:桜を惜しみつつ) (黄華堂検定の答え) (2)あ (3)い ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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