■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】来月の星空 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 一足早く来月の星空をご紹介します。 ............................. 5 月 21 日に本州の広い範囲で見られた金環日食に引き続き、今月も天体直列に関する天文現象が 2 つあります。 一つ目は 6 月 4 日に見られる部分月食です。日食が太陽−月−地球がこの順番で一直線になったときに見られるのと同じように、月食は太陽−地球−月がこの順番で一直線になったときに見られるイベントです。このことから分かるように、月食が起こるときは必ず満月になっています。ただし逆は違い、満月だからといって必ずしも月食は起こりません。これは地球と月の公転軌道面が一致しておらず、傾いているからです。このイベントは特に道具無しでも観察することができるので、是非気軽に空を見上げて見てみましょう。 もう一つは 6 月 6 日 の7:10頃から13時47分頃に※1見られる金星の太陽面通過です。これも天体が一直線上に並ぶために起こるイベントで、その順番は太陽−金星−地球の順番となり、日食の金星版と言えます。ただし金星は見かけの大きさが小さいため、太陽のごく一部しか隠すことができません。このイベントは日食や月食に比べてもレアなイベントで、今回を逃してしまうと次は 2117 年 12 月 11 日まで見られません。是非この機会に見て欲しいのですが、太陽を観察するので肉眼やサングラスなどではダメです。正式な太陽観測メガネを用いるか、近くの天文台などで行われている観察イベントに参加してみましょう。 ※1 京都の場合の時刻。
参考サイト (廣井:京都大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 絵本で見る宇宙 Vol.40 今年は金環日食や金星の太陽面通過と、太陽が絡む二大天文イベントがあります。そこで、太陽の絵本をご紹介しましょう! ***** 『太陽のかがく』 監修 渡部潤一、絵と文 えびなみつる、写真 中西昭雄 太陽は地球にもっとも近い恒星(自ら輝く星)。そんな太陽のことを皆さんはどれくらい知っているでしょうか。大きさは?地球からの距離は?そもそもどうやって輝いている? この絵本では、そんな太陽のキホンを、えびなみつるさんのやさしい絵と中西さんのきれいな写真で説明しています。太陽をはじめとする太陽系がどのように生まれたのかも描かれています。 そして今年話題の日食や金星の太陽面通過などの天文現象、オーロラやグリーンフラッシュ、ダイヤモンド富士などの美しい現象も紹介されています。みんな、太陽が関わる現象ですね。今後、日本で見られる日食のデータもあります。 身近な星・太陽の不思議さ、美しさ、雄大さが詰まった本ですよ! (塚田:平塚市博物館) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ スーザ作曲 行進曲『金星の太陽面通過』 アメリカの作曲家スーザ(1854-1932)は数多くの行進曲を作曲したマーチ(行進曲)王として知られ、中でも『星条旗よ永遠なれ』や『ワシントン・ポスト』が有名です。 1882年に起こった金星の太陽面通過に興味を持っていたスーザは、物理学者ジョセフ・ヘンリーの銅像の除幕式で使う行進曲作曲の依頼を受け、この『金星の太陽面通過』を作りました。錬金術では金星と銅が関係していること、ヘンリーが研究していた電磁石(コイルに電流を流して作った磁石)は銅が多く使われていることから、「金星」がモチーフになったようです。さらに 'passing of Henry'(ヘンリーの死) と 'passing of Venus' (西に沈む金星) をひっかけて、金星が西にある午後4時に除幕式を行うという徹底ぶりです。 さて、この曲はどなたでも無料で下のページから聴くことができます。 みなさんもこの曲を聴いて、一足早く金星の太陽面通過を感じてみてはいかがでしょうか。 (田崎:京都大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】あなたの知らない宇宙 今月号は「金星の日面通過」特集号ですが、ここでちょっと休憩です。今年度の「あなたの知らない宇宙」では、隔月で様々なスケールの宇宙の様子をご紹介していきます。まず今月は、銀河を取り上げます。 ......................... 皆さんは宇宙から私達がどのように作られたかを考えることはありますか?私達の住んでいる地球はどうやってできたのか?地球の母なる星、太陽はどのようにしてできたのか?そこから更に遡ろうとすると、銀河が関わってきます。 銀河は10億〜1000億個の星と、星の材料であるガスが集まった天体です。そこではガスから星が作られており、星が作られることで銀河は成長します。したがって、銀河がどのように成長してきたかを調べれば、宇宙で星がどのように作られてきたかが分かります。 ところで、宇宙では遠くの天体を見ることは宇宙の過去の姿を見ることになります。遠くの天体は暗いので星ではあまり遠くまで見通すことができません。ですが、非常に多くの星が集まった銀河であれば遠くの天体も観測できます。銀河の成長を調べるには、過去と現在の姿を比べる必要がありますが、これは遠く銀河と近くの銀河を比較することで実現できます。 さて、銀河の成長を見る上で一番重要なのが、どれくらい星が作られているかです。これを過去から現在にかけて調べてみると、宇宙ができた137億年前からだんだんと活発に星が作られてきて、現在から100億年ほど前に一番活発な時期を迎え、現在は作られる星の数が減ってきているという様子がわかってきました。 これを銀河の重さ毎に見てみると、重い銀河は早くに星を作り終えて、今は成長が止まっているのに対し、軽い銀河は現在も成長を続けているということがわかりました。単純に考えれば、重たい、つまり多くの星を含む銀河は、軽くて少ない星の銀河が寄り集まってできるように思えます。ですが、見えてきたのはそれとは逆の描像です。 この現象はダウンサイジングと呼ばれ、そのメカニズムはまだよくわかっていません。それを調べるために、大口径の望遠鏡やシミュレーションによって様々な研究が行われています。 宇宙から私達へとつながる道、それは一筋縄ではいかない道のようです。 (鈴木:京都大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012年度は大きな天文イベントが目白押し。せっかくだから見るだけでなく、イベントを楽しみたい。そんな方のために、お勧めの方法をご紹介します。 ......................... 6月6日(水)に見られる金星の太陽面通過。読んで字のごとく、金星が太陽の前を横切っていく、そんな現象です。日面通過とも呼ばれます。太陽面に、黒点とは明らかに違う黒い円盤が動いていくのが見られます。 前回2004年に金星の太陽面通過が見られたときは、非常に雲が多い中で僕は観察しました。(金星の太陽面通過は必ず6月か12月で、梅雨時に当たることが多いのです)意外に大きく見えるもので、特に金星が太陽の中に入っていく過程は、宇宙での惑星の動きを実感でき、短時間ですが感動的でした。 金星の太陽面通過も5月の金環日食と同じく、太陽を見るときと同じ方法で、安全に気をつけてみる必要があります。望遠鏡で見る場合は必ず投影板をつかって見るようにしましょう。金星は大きいので、日食めがねでも見ることができますよ。黒い点が動いていくのがわかります。ただし、長い間見続けないようにしてください。金星の動きはゆっくりです。始まりから終わりまで6時間ほどかかります。朝見て、そしてお昼頃に見る、そんな感じでのんびりと楽しむといいでしょう。 金星の太陽面通過が次に見られるのは2117年。これは世界中どこででもです。金環日食や皆既日食は2〜3年に一回、地球上のどこかで見ることができます。そう考えると、金星の太陽面通過は非常に珍しい貴重な現象なのです。 日食のような派手さはないかもしれませんが、宇宙の不思議を感じさせてくれることは間違いありません。ぜひ、晴れたら日食のときに用意した道具をつかって、金星の太陽面通過、楽しんでみてください。 (塚田:平塚市博物館) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため…お好きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。 ......................... 2012年6月6日、たいへん珍しい天文現象「金星の太陽面通過」が起こります。今回はその、金星の太陽面通過に関係した問題です★ .........................
(2)1874年に日本で見られた金星の太陽面通過では、観測のために海外から日本へわざわざ観測隊が送り込まれました。金星の太陽面通過という天文現象を正確に観測すると、どのようなことがわかるのでしょうか? (3)金星の太陽面通過が終わって10日ほどたつと、金星はどの時間帯、どの方向の空にみえるでしょう? (橋本:佐賀県立宇宙科学館) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 5月30日(水) うちゅうと遊ぼう 【京大病院】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(鈴木:新緑に心を和ませつつ) (黄華堂検定の答え) (2)正解は(あ)(い)(う) 全部!でした。ちょっといじわるでしたか・・・? (3)正解は(う)日の出前、東の空 でした。
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