■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 【1】来月の星空 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 一足早く来月の星空をご紹介します。 ............................. 今月の見どころと言えば、やはり「夏の大三角」でしょう。七夕伝説を物語る星々である、はくちょう座のデネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイルを結ん でできる大きな三角形が、天の川をまたぐように位置しています。また、デネブとベガを結ぶ線を対称軸としてアルタイルと反対の位置あたりには北極星(こぐ ま座のポラリス)があり、方角を知るためにも利用できます。 また、今月の中頃 15、16 日あたりの夜明け前の東の空では、月と金星、木星、おうし座のアルデバラン、プレアデス星団(和名すばる)の共演が見られます。さらにそこから少し北の方 へ目を向けるとぎょしゃ座のカペラも輝いており、冬の星座が早くも顔を覗かせ始めているのが分かります。もし朝早く目が覚めてしまったら、早起きは三文の 徳、せっかくなのでこれらの天体を観察してみましょう。 *天文現象いろいろ ■ 1 日 半夏生(太陽黄経100゜) ■ 2 日 月の距離が最近(距離 36万2371km、視直径 32.9') ■ 4 日 満月 ■ 5 日 地球が遠日点通過(距離 1億5209万2429km、太陽視直径 31.5') ■ 7 日 七夕 小暑(太陽黄経 105゜) ■ 11 日 下弦 ■ 13 日 金星が最大光度(光度 -4.5 等、視直径 37.1") ■ 14 日 月の距離が最遠(距離 40万4782km、視直径 29.5') ■ 15 日 月と木星、プレアデス星団が接近 ■ 16 日 月と金星、アルデバランが接近 ■ 19 日 新月 夏の土用(太陽黄経 117゜) ■ 22 日 大暑(太陽黄経 120゜) ■ 26 日 上弦 ■ 28 日 みずがめ座δ南流星群が極大のころ(出現期間 7月15日〜8月20日) ■ 29 日 月の距離が最近(距離 36万7308km、視直径 33.5') ■ 30 日 やぎ座α流星群が極大(出現期間 7月20日〜8月25日) 参考サイト (廣井:京都大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (藤井:大阪教育大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (田崎:京都大学) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【4】天文イベント2012今月号は黄華堂メンバーが体験した5月21日の日食のレポートをお送りします。 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 今回の金環日食は、遮光グラスとピンホールの空いた厚紙、デジカメを用意して準備万端で迎えました。最大食となる時間の少し前に家の屋上へ上がったとこ ろ、天気は非常に良く、家族と共に期待しながら金環となる時を待ちました。最初はピンホール観察を試していたのですが、想像以上にくっきりと太陽像ができ たので大変驚きました。最大食になると家族で遮光グラスを譲り合いながら観測、バッチリ金環が見えて大満足でした。太陽と月の見かけの大きさがほぼ同じで あることから起こるこの奇蹟、地球に生まれてよかったです! (廣井:京都大学)
ここ、東広島市では金環日食ではなく部分日食が見られました。部分日食と言っても、90%位が隠され、細い『三日月』のような太陽が見られるという予測 でした。 書店やコンビニで日食眼鏡を見かけ、大学や通勤中の車で聞くラジオで日食が話題に上ると、やはり少し心が弾みました。 21日の朝、5時頃にふと目が覚め(この頃にはもうすっかり外は明るくなっています)、ちょっと早く起き過ぎたかともう一度眠ってしまったのが運の尽き でした。 次に目が覚めると何故だか外が暗い。曇りにしては異様に暗い。えっ、何で?と一瞬思いましたが目をやった時計の針が指すのは7時20分過ぎ。そう、食の 最大に近づいているので暗くなっていたのです。 慌ててベランダに出て(部屋が東向きでよかった!)日食眼鏡で覗くと、そこには既に細く欠けた太陽がありました。しまった、欠けていく様を見たかったの に…。といっても時間は巻き戻せない。二度寝をした事を後悔しつつ、それでも食の最大には間に合ったことに歓喜しつつ、三日月のような太陽をしばし眺めて いました。 その後の話でどうやら当日の朝は早くからずっと曇っていて、運よく食の最大時だけ雲間ができたそうです。 ───あぁ、ともかく見過ごさずによかった! (森谷:広島大学)
私は京都に住んでいますが、今回の金環日食は静岡で見ました。金環を見られる時間が、京都では30秒ほどなのに対して、静岡では5分にもなるのです。 日食を見るにあたって心配なのは当日の天気。予報では全国的に曇りがちと出て、当日を迎えました。朝、目が覚めて外を見ると曇り空。 しかし、日食が始まると西の空から少しずつ晴れてきました。このまま晴れることを祈りながら、カメラをセットして試し撮り。カメラに日食グラスを付けて 準備万端で金環を迎えると、薄曇りのお陰で日食グラス要らず。慌てて設定を変更して、雲に浮かぶリングを撮影。そうかと思えば雲が薄くなって、今度は日食 グラスが必要に。5分続く金環の間、雲の動きにドキドキさせられるとともに、その対応にバタバタさせられました。そうこうしている内に金環の状態はお終い です。 振り返ってみれば、雲が薄くなったのは金環の前後1時間ほどだけでした。撮った写真で振り返りつつ、京都へと戻りました。 (鈴木:京都大学)
僕たちは、20日の夜ギリギリまで近畿を出るか悩みましたが、最終的に大阪教育大柏原キャンパス屋上で観測を行いました。その選択が功をそうし、わずか に数10分だけ曇ることがあったものの、金環の時間はキレイに晴れました。 大教大観測チームは柏原キャンパス班、天王寺キャンパス班、奈良や堺など多くの観測点にメンバーを配置し、金環日食に臨みました。 僕たち柏原キャンパス班では、一眼レフカメラ3台、ビデオカメラ2台、分光器1台を動員し、延べ18人で観測を行いました。この中には、僕たち天文学研 究室・宇宙科学研究室のほかに物理研究室の方、天文同好会やDAIKYO PRESS(学生広報)のメンバーとあらゆる分野のみんなで世紀の天体ショーの感動を分かち合いました。 当日の朝からいろいろトラブル(望遠鏡の三脚の台数不足etc)もあり、なかなか慌ただしい中の観測でしたが、各々が自分の任務を無事果たすことができ ました。観測データから、周縁減光のスペクトル教材や太陽と月の日周運動の違いを示す動画教材などこれから作成する予定です。 今年の11月にもオーストラリアで皆既日食があり、今回のメンバーのうち数人は行くそうです(僕も行きたいですが、その頃は修論が…)。その際も天気の 神様に期待したいものです。 (野口:大阪教育大学)
前述のとおり私たち大教大では、2009年の皆既日食で日食病を患った福江教授の指導の下、金環日食の一大観測ネットワークが組まれました。私は天王寺 キャンパス屋上で、柏原と同様に多種多様な方法で観測が行われました。 当日、天王寺上空は常に薄い雲が流れ込む優れないお天気でした。一方の柏原市方向に目をやると、雲一つない晴れ模様。天は我を見放したと、柏原キャンパ スに割り振られたメンバーを羨ましく思いながら、雲のフィルター越しの撮影に挑みました。 私が主に担当したのは、ベイリーズビーズの動画撮影です。GPS衛星を使った正確な時刻入力のもと、月の凹凸から漏れる光の変化を調べたのです。チャン スは第2接触と第3接触。悲劇は前者で起こりました。 天王寺キャンパスでは、望遠鏡が収められている観測ドームのすぐ脇に避雷針があります。あろうことか第2接触のまさにその瞬間、避雷針が太陽を完全に隠 してしまったのです。月だけで十分なのに・・・と偶然発生した食にショックを受けましたが、第3接触までに月も太陽も無事に顔を出し、ベイリーズビーズを 捉えることができました。 (藤井:大阪教育大学
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (小林:大阪教育大学)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ (鈴木:太陽の撮影は初挑戦)
(黄華堂検定の答え)(1)正解は(う)出来ない でした。 金星は太陽面の通過時、地球からの距離が4,100万キロメートルで、視直径が太陽のおよそ30分の1ほどなのに対して、水星は、地球からの距離が 9100万キロメートルで、視直径が太陽のおよそ150分の1以下になりません、なので肉眼で見ることは出来ません。 (2)正解は(い)見える日付がほとんど決まってる でした。 水星の太陽面通過が起こる可能性があるのは5月11日の前後か、11月10日の前後のみです。これは水星が地球の軌道平面を横切る昇交点や降交点を通 過するのがこの時期であるためです。この時期以外は太陽と水星、地球が完全に一直線に並ばないため水星の太陽面通過は起こりません。 ちなみに水星の太陽面通過と日食が同時に起こるのは6757年7月5日で、場所はシベリア東部と言われています。 (3)正解は(い)300年 でした。 火星における地球の太陽面通過は100.5年、79年、25.5年、79年の間隔で284年周期で繰り返して起きます。この周期は火星が公転軌道を 151周する周期と、地球が公転軌道を284周する周期、及び火星と地球の会合周期とに密接に関係しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ |