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黄華堂通信  No. 058 ◆◇◆  2012年 09月号 ◇◆◇

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【もくじ】

【1】来月の星空
【2】絵本で見る宇宙
【3】あなたの知らない宇宙
【4】黄華堂活動報告
【5】黄華堂宇宙検定
【6】黄華堂の活動予定

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【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 09月の星空についてはこちらを!
 http://www.oukado.org/hosizora1209.htm

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2012 年 10 月の星空

 夏の大三角も見納めの時期となり、日が変わる頃には冬の星座たちが東の空に姿を現すようになってきました。

 冬の星座と言えばオリオン座が最も有名でしょうが、今月はその名前を冠した「オリオン座流星群」を月の後半に見ることができます(10/21 前後)。流星群の成因の主なものとしては、彗星(ほうき星)が通ったあとに残された塵の中に地球が突っ込んでいくことで、その塵が地球に降り注ぎ流れ星と なる、ということが挙げられます。「オリオン座流星群」も同様の成因であり、元となった彗星はかの有名な「ハレー彗星」です。数年前に比べ流星数は少ない 予想ではありますが、今年は月明かりもなく観察するには好条件なので、何かお願いごとのある方は日の変わる頃、東の空を見上げてはいかがでしょうか?

*天文現象いろいろ

■  3 日 金星がレグルスに接近
■  5 日 月と木星が大接近
      月の距離が最遠(距離 40万5156km、視直径 29.5')
      土星と水星が最接近
■  8 日 寒露(太陽黄経 195゜)
      下弦
      10月りゅう座流星群が極大
      (旧ジャコビニ流星群、出現期間10月7日〜10月11日)
■ 13 日 細い月と金星が並ぶ
■ 15 日 新月
■ 17 日 月の距離が最近(距離 36万0666km、視直径 33.2')
■ 20 日 秋の土用(太陽黄経 207゜)
■ 21 日 オリオン座流星群が極大のころ(出現期間10月10日〜11月5日)
■ 22 日 上弦
■ 23 日 霜降(太陽黄経 210゜)
■ 27 日 十三夜(後の月)
■ 30 日 満月

参考サイト
AstroArts「天文現象カレンダー」
http://www.astroarts.co.jp/phenomena/2012/ph201210-j.shtml

(廣井:京都大学)

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【2】絵本で見る宇宙 Vol.42

 9月30日は中秋の名月、お月見の日ですね。
そこで、今回は月にまつわる絵本をご紹介しましょう。
月への冒険…ノンフィクションの絵本です。

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『月へ アポロ11号のはるかなる旅』

ブライアン・フロッカ 作/絵、日暮雅通 訳

 先月、人類で初めて地球以外の天体=月への足跡を残した二─ル・アームストロング元宇宙飛行士が亡くなられました。あの時期は、米ソの冷戦の影響もあっ て宇宙開発が加速度的に進み、もっとも熱気あふれた時代であったと思います。当時の映像を生で見て、興奮した方も多いのではないでしょうか?

 この絵本はアームストロングら3人の宇宙飛行士の月へ旅を打ち上げから帰還まで描いたもの。やさしいタッチで、でも細かいところまでリアルに、そして宇宙飛行士だけでなく地上の管制官たちまで、臨場感をもって、しかしシンプルに描かれています。

 スペースシャトル、はやぶさ、国際宇宙ステーション、…最近よく話題にあがる宇宙開発の原点は、「月へ行きたい」という想いから始まったのかもしれませ ん。たとえそれが政治的な目的であったにしても、3人の人間を月へ送り込む、そのことに生涯をかけた人たちがいたわけです。

 アポロ世代の人には当時の興奮を思い出しながら、そして若い世代の人には、当時の熱気を感じつつワクワクしてもらいながら、この本を読んでもらえればと思います。

 そしてまん丸の中秋の名月を見上げながら、40年前、あそこに人が立ったのだと、頭の片隅で思い出してみてください。

(塚田:平塚市博物館)

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【3】あなたの知らない宇宙

 今年度の「あなたの知らない宇宙」では、隔月で様々なスケール
の宇宙の様子をご紹介していきます。今月は銀河の中の星について
の話題です。

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新しく生まれた星?!〜研究者とアマチュアがタッグで調査〜

 皆さんは『新星』と聞いてどんな天体を思い浮かべますか?観測屋であるティコブラーエは天球上に突如明るくなる天体に『新星(nova stella)』という名前をつけました。novaとはラテン語でnewという意味であり、今まで何もなかった天域に、突如明るい星が現れたことから新し い星が誕生したのだと考えたためです。

 しかし、現在はその天体は決して新しく星が生まれたわけではなく、2つの星の相互作用によって生じるものと分かっています。少し専門的な話になります が、白色矮星(太陽クラスの恒星の最終進化段階の星)に普通の星(主系列星)からガスが供給されることによって、白色矮星の表面で起こる太陽の1万倍以上 の明るさになる爆発を新星現象といいます。

 そんな大規模な爆発現象はそう多くは起こりません。新星の発見個数ですが、天の川銀河で年間5個から10個ほどです。しかも多くは数百万年に一度きりし か爆発しないため、何度も同じ天体を観測することは困難とされています。さらに、爆発後の明るさの変化や色の性質などは個々の天体で多種多様であるため、 今だに分類学が重要とされている分野のひとつです。

 その新星の分類に重要な要素は爆発後の発見の早さとその後のモニター観測と言われています。では、いち早く誰が発見をしているのか。それは、世界中の研 究者たちよりも天文アマチュアハンターたちといって過言ではありません。特に戦前から戦後にかけての日本人の活躍は目覚ましいものがあります。そのアマ チュアの方の発見を受けて、大学や天文台の大口径の望遠鏡がその天体に向くということが多くあります。我々大阪教育大学観測チームも、その増光の知らせを 受けて51cm反射望遠鏡で爆発後の暗くなるまでのモニター観測をしております。

 このように新星などの突然明るくなるような星(突発天体とよく言われます)は、我々研究者と天文アマチュアがタッグを組んで現在研究を進めています。

(野口:大阪教育大学)

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【4】黄華堂活動報告

「第3回大阪ステーションシティ天体観望会 活動報告」

 8月24日金曜日の第3回大阪ステーションシティ天体観望会は、延べ150人もの方々に来場していただくことが出来ました。当日付近の天候が大きく崩れ る事が多く、当日も夕方頃まで雨が降っていたのですが、実際観望会が始まってみると、雨が止み、天体が分厚い雲に覆われることなく無事に終えることが出来 たので、良かったでした。

 今回の観望会では、星空や七夕についての説明のゾーンで話を聞いた後に、望遠鏡で天体を観望するゾーン、そして基礎的な天文学について、パワーポイントを用いての説明を聴けるゾーンという3つの催しに分かれていました。

 私は星空の説明等を行っていたのですが、大阪の街中で星が見えるのか心配されている来場者の方もいらっしゃいましたが、夏の大三角が非常に輝いて見え、 その周辺の星々も見つけられているようでした。また当日8月24日は伝統的七夕にあたる日であり、七夕伝説についての話を交えると、神秘的だというような 感想を持たれ、また違った星の見え方も出来るものだと思いました。

 見に来られた方も老若男女問わず様々な方々に来て頂きました。その中でも小さなお子さんがとても楽しそうに夜空を眺め、星々を探していたのが印象に残りました。

 そして、観望スペースには大小さまざまな望遠鏡が準備されており、来場者の方は望遠鏡ひとつひとつを覗いて、それぞれから見える月の見え方の違いや、普 段望遠鏡を使わなければ見えない天体に、大変興味を示し驚きを隠せないでいるように感じました。普段から望遠鏡になじみのない来場者の方でも、細部まで見 える月や恒星を見ながらスタッフやお連れ様と楽しめて感動を共感出来たのではないでしょうか。

(酒井:大阪教育大学)

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【5】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため…お好 きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。
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ようやく暑さが峠を越え、夜が涼しい季節になりました。今回は秋に見える天体に関する問題です。
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(1)秋の夜空でみられる次の天体のうち、太陽系からもっとも遠い場所にあるのはどれでしょう?(ヒント:選択肢の下のリンク先にそれぞれの天体の写真があります。)
 (あ)エイチ・カイ
  (http://www.nao.ac.jp/contents/astro/gallery/Extrasolar/Nebulae/hx_per.jpg)
 (い)M31
  (http://www.nao.ac.jp/contents/astro/gallery/Extrasolar/Messiers/m31_w1.jpg)
 (う)M15
  (http://www.nao.ac.jp/contents/astro/gallery/Extrasolar/Messiers/m15.jpg)

(2)秋の遅い時間帯には夏の大三角が西の空へ沈みます。東の空から昇ってくるときは、おりひめ星がひこ星より2時間以上早く昇ってきますが西の空へ沈む時はどうでしょう?
 (あ)おりひめ星が2時間以上早く沈む
 (い)ひこ星が2時間以上早く沈む
 (う)おりひめ星とひこ星がほぼ同時に沈む

(3)2012年9月の夜遅く、東の空からたいへん明るい惑星が昇ってきます。その惑星は、次のうちどれでしょう?
 (あ)金星
 (い)木星
 (う)土星

(橋本:佐賀県立宇宙科学館)

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【6】黄華堂の活動予定

● 10月24日(水) うちゅうと遊ぼう 【京大病院】

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【編集後記】
 西の空で火星がさそり座に近づいています。さそり座の1等星アンタレスは「火星に対抗するもの」という意味。夜空が秋に変わる前、二つの星が赤さを競い合います。ほとんど見られないのが残念ですが…。

(鈴木:秋は星空が静か)
(黄華堂検定の答え)
1)い
 M31は、アンドロメダ銀河、M15はペガスス座の球状星団、エイチ・カイはペルセウス座の二重星団(散開星団)です。近い順に距離を紹介していくと、 エイチ・カイは7000〜8000光年くらい、M15は3万光年くらい、M31は230万光年くらいです。M31は私たちの住む天の川銀河の外側にある銀 河ですので、とびぬけて距離が遠いのです。そんなに遠いのに、空の暗い場所でなら肉眼で見つけられるなんて驚きですね。
 
(2)う
 おりひめ星はひこ星よりも北極星に近いので、夜空では2時間長く見えています。ですので、おりひめ星とひこ星、東の空から昇ってくるときは別々なのに、西の空へ沈んでいくときは一緒なのです。なんだかロマンチックですよね。
 
<7月上旬ごろの日没後>
 
<8月下旬の明け方>


(3)い
 そろそろ、木星の観望シーズン突入です。2012年はおうし座のあたりにあります。黄金色でひときわ明るく輝いていますので、きっとすぐに見つかりますよ。

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