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黄華堂通信  No. 061 ◆◇◆  2012年 11月号 ◇◆◇

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【もくじ】

【1】来月の星空
【2】絵本で見る宇宙
【3】あなたの知らない宇宙
【4】街角の星たち
【5】黄華堂宇宙検定

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【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 11月の星空についてはこちらを!
 http://www.oukado.org/hosizora1211.htm

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2012 年 12 月の星空

 今月 12 日の夜明け前、南東の空の地平線近くに月と水星と金星が並び、さらにそこからやや上に土星がいる様子が見られます。水星は目視できる惑星の中では最も小さ く、また金星と同様に内惑星※であるため夜明け前または日暮れにしか見えず、見たことがない人が多いと思われます。今回は、非常に明るく輝く金星のすぐ下 に細い月が、さらにそのすぐ左隣に水星が位置しており、比較的見つけやすいと思われます。水星を肉眼で見る大変良い機会ですので、挑戦してみてはいかがで しょうか?

 また 13 日の夜から 14 日の未明にかけて、三大流星群のひとつであるふたご座流星群が見られます。ふたご座流星群は、他の流星群のように個数の多さの当たり外れ年がなく、また流 星の明るさも特に明るいものも暗いものもなく、「特徴がないのが特徴」です。しかし、放射点が一晩中見えていることや冬の夜の長さのために、平均的な流星 の個数は最大級となるので観察には適しています。特に今年は月がほぼ新月なので、その影響が少なくて最適です。放射点は、オリオン座の一等星であるリゲル (白い星)とベテルギウス(赤い星)を結んだ線を延長したところに並んで見える、ふたご座の代表的なふたつの星の内、青白い方のカストルの近くにあります (すぐ隣には橙色のポルックスがあります)。

 年の瀬になり大変寒くなってきました。星空観察の際は、防寒対策をしっかり行いましょう。

※内惑星: 太陽の周りを公転する惑星(水金地火木土天海)の内、地球より内側の軌道を回っている惑星のこと。つまり水星と金星。

*天文現象いろいろ

■  7 日 下弦
        大雪(太陽黄経 255゜)
■  9 日 月とスピカが接近
■ 12 日 細い月と水星、金星が並ぶ
■ 13 日 月の距離が最近(距離 35 万 7075 km、視直径 33.5')
              新月
■ 14 日 ふたご座流星群が極大(出現期間 12 月 5 日〜12 月 20 日)
■ 15 日 細い月と火星が接近
■ 20 日 上弦
■ 21 日 冬至(太陽黄経 270゜)
■ 22 日 こぐま座流星群が極大(出現期間 12 月 18 日〜12 月 24 日)
■ 25 日 月と木星が接近
■ 26 日 月の距離が最遠(距離 40 万 6098 km、視直径 29.4')
■ 28 日 満月

参考サイト
AstroArts「天文現象カレンダー」
http://www.astroarts.co.jp/phenomena/2012/ph201212-j.shtml

(廣井:京都大学)

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【2】絵本で見る宇宙 Vol.43

皆さん、十五夜や十三夜の月は見られたでしょうか?
毎月毎月、月のめぐりは正しく進んでいきます。
今回も月に関する絵本をご紹介しましょう。

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『月の満ちかけ絵本』 大枝史郎・文、佐藤みき・絵

 映画「天地明察」が話題となり、日本の昔の暦に対する関心が高まっていますね。日本はもともと、月の満ち欠けを基にした暦、太陰暦(正確には太陰太陽暦)を使っていました。そのため、昔の人は月をよく観察し、日々の月にさまざまな名前を付けていました。

 この絵本は、月の満ち欠けの仕組みから始まって、新月、二日目の月…と一日一日の月の形を取り上げ、その月の呼び名や月にまつわるお話を紹介しています。

 やや字が多い気もしますが、昔ながらの絵本、というタッチのイラストで、親子で読みながら、そして読んだ後も楽しめる絵本となっています。

 最後には月の大きさや地球からの距離、月食や日食の仕組み、月の模様などについても触れられています。べんりなことに2019年までの月の満ち欠けカレンダーもついています。ぜひいろいろと活用してみてください。

(塚田:平塚市博物館)

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【3】あなたの知らない宇宙

 今年度の「あなたの知らない宇宙」では、隔月で様々なスケールの宇宙の様子をご紹介していきます。今月は恒星を回る惑星についての話題です。

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「地球はできない!?」 〜ダストの落下問題〜

 みなさんは太陽系がどのようにして作られたかご存知ですか?実は、我々の惑星系はもともと、太陽の周りを回る一つの円盤であったと考えられています。こ の円盤は太陽が作られると同時に形成され、原始惑星系円盤(Protoplanetary Disk)と呼ばれています(注1)。この円盤はガスとダストと呼ばれる小さな固体でできています。初め、ダストのサイズはミクロンサイズ(10のマイナ ス6乗メートル)程度で細胞の大きさ程度しかありませんが、この小さなダストが将来惑星へと進化していくのです!惑星形成の第一歩は、ダスト同士の合体に より1km - 10kmのサイズを持つ微惑星まで成長させることです。しかし物理法則に基づいてこの過程を説明しようとすると様々な問題が現れます。今回は、その代表的 な問題である「ダストの落下問題」についてご紹介します。

 この問題はダストが数十センチ〜メートル・サイズになったところで顕著に現れます。先程いったように円盤内にはガスとダストの2種類が存在しています。 ガスはダストよりちょっとだけ遅い速度で太陽の周りを回転しているため、ダストは常にガスによる"向かい風"を受けています。それによりダストは減速さ れ、とても速いスピードで中心星へと落ちて行きます(注2)。100cm程度のダストが今の地球の位置にいたとすると、約100年で太陽に落ちてしまいま す(注3)。微惑星形成には数十万年から数百万年かかると考えられているので、
いかにこの100年という数字があっという間の出来事かということを是非、感じてみてください。大事な惑星の材料であるダストが落ちて無くなってしまうのですから、現在の惑星形成理論の深刻な問題の一つとなっています。

注1) 原始惑星系円盤の想像図(NASA's Spitzer Space Telescope HPより)
   「http://www.spitzer.caltech.edu/images/1397-ssc2005-06b-Mini-Solar-System-in-the-Making」
注2) 惑星形成業界では中心星にどんどん近づいて行くことを"落ちる"と表現します。
注3) これはダストのサイズが一定であるという仮定の元での計算です。

(田崎:京都大学)

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【4】街角の星たち

 皆さんは最近、星を見ましたか?街中からは月くらいしか見えないと思っていませんか?満天の星空とはいきませんが、街中からでも星は案外見えるものです。「街角の星たち」では黄華堂のメンバーが各地から見える星を紹介していきます。

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 先月から連載が開始した『街角の星たち』。第2回は広島県東広島市からの星空をお届けします。
 東広島市は、広島県の中ほどに存在し、中でも私の住んでいる西条地区は四方を山に囲まれた盆地になっています。酒処・西条としてご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

[東広島市の位置]
http://www.city.higashihiroshima.hiroshima.jp/soshiki/7/tizu.html

 今回は東広島市西条地区からの星空をお届けします。

 前回紹介された京都とは異なり、東広島市はいわゆる「田舎」なので、どこか暗いところへわざわざ行かなくても、少し大きな道や街灯、お店のネオンを避け れば割と星を見ることができます。例えば、私の住んでいるマンションの駐車場からは、ぱっと見では大体3等星くらいまで、慣れた目で見ると5等星くらいま では見ることができます。これからの季節で言えばオリオン座の小三ツ星(オリオンの剣の部分)まで見ることができます。感覚としては、夜何気なく空を見る と教科書に出てくるような星座を確認することができる、といった暗さでしょうか。勿論、山間の北の豊栄・福富地区などへ行けば夜中に天の川が見える、とい うくらいよく星が見えるのですが…。

 住んでいるマンションの駐車場で撮った冬の大三角はこんな感じです。


(ISO 3200、露出1秒)

オリオン座や冬の大三角、ふたご座のポルックスとカストルなどがよく写っています。上の方に明るく写っているのは木星です。

 私の持っているカメラは初心者向けのシンプルなものなのですが、意外と星が写っています。明るい星しか撮ることができませんが、たまに星空にカメラを向けるのも楽しいですね。

(鈴木:京都大学)

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【5】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため…お好きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。

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12月21日は冬至です。今回は、冬至に関する問題です。

(1)次のうち、冬至の日として正しいのはどれでしょうか?

 (あ)一年で日の入がもっとも早い
 (い)一年で昼の時間がもっとも短い
 (う)一年で日の出がもっとも遅い

(2)冬至は太陽の南中高度がもっとも低くなります。江戸時代、冬至を正確に決めるために使用していた
  太陽の南中高度を測る専門の機器はどれでしょうか?

 (あ)渾天儀(こんてんぎ)
 (い)象限儀(しょうげんぎ)
 (う)圭表(けいひょう)

(3)日本では冬至の日にはゆず湯に入る風習があります。なぜ冬至の日にゆず湯に入るのでしょうか?

 (あ)ゆずの香りで邪気を祓う
 (い)風邪予防
 (う)「冬至と湯治(とうじ)」「柚子と融通」をかけている

(飯野:大阪教育大学)

【編集後記】
 今月14日にオーストラリアなどで皆既日食が見られました。ニュースによると日食のツアーには参加が初めての方が多かったそうです。2009年と2012年の日食で天文に関する興味が広がってきたなと実感します。

(鈴木:海外で日食を見てみたい)
(黄華堂検定の答え)
(1)い
 昼の長さは太陽の高度で決まります。冬至の日は太陽の南中高度が一年でもっとも低く、昼の時間がもっとも短くなります。冬至や夏至の頃は、太陽の南中時 刻がどんどん遅くなる時期にあたります。南中時刻は日の出と日の入の中間にあたるので、南中時刻が遅くなると日の出・日の入もおのずと遅くなります。その ため、日の出がもっとも遅い日は冬至の半月ほど後、日の入がもっとも早い日は冬至の半月ほど前になります。

(2)う
 圭表は表と呼ばれる柱と、圭と呼ばれる目盛が刻まれたもので出来ています。表の先端には水平な棒が固定されており、その影が圭に落ちて、影の長さ、すなわち太陽の高度を測ることができます。日時計をイメージしてみて下さい。
 渾天儀は複数の環を組み合わせた球形の機器で、天体の位置を測定するための物です。象限儀は四分儀とも呼ばれ、太陽だけでなく、北極星など星の高度を測定するための物です。

(3)あ・い・う
 冬至の日にゆず湯に入る風習には諸説あります。
 ・ゆずの香りは邪気を祓う霊力があると信じられていた
 ・体を温めて風邪を予防するため
 ・冬至=湯治、柚子=融通が利くといった語呂合わせ
 ゆずには血行を促進したり、美肌効果があったり、アロマテラピーのリラックス効果もあります。ぜひ、冬至の日はゆず湯に入って元気に冬を越してください!

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