■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 
 
黄華堂通信  No. 062 ◆◇◆  2012年 12月号 ◇◆◇

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


****************************************************************
〜*☆*〜 〜*★*〜

                      宇宙を観じる生活を!黄華堂メルマガ

                                                                          〜*★*〜 〜*☆*〜

****************************************************************
黄華堂web:http://www.oukado.org/
黄華堂のつぶやき!@oukadoで天文現象やイベント情報についてつぶやいています!

【もくじ】

【1】来月の星空
【2】宇宙開発裏話
【3】音楽で聴く宇宙
【4】皆既日食レポート
【5】黄華堂宇宙検定
【6】黄華堂の活動予定

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 12月の星空についてはこちらを!
 http://www.oukado.org/hosizora1212.htm

.............................
  皆さん、今月はふたご座流星群をご覧になったでしょうか。冬の寒空の中、流れ星がサーっと流れるのを見て、思わず声が出てしまった方もいることでしょう。 その興奮をまた来月も味わうことができます。正月気分が抜けていない来月 3 日の夜にしぶんぎ座流星群がピークを迎えます。この流星群は 8 月のペルセウス座流星群、今月のふたご座流星群とともに三大流星群に数えられています。
 
 さてこのしぶんぎ座流星群、どこを見たらよいのかと星座を調べてみると……しぶんぎ座が見当たりません。それもそのはず、しぶんぎ座という星座は今は存 在しないのです。かつてはたくさんの星座が作られていたのですが、1928 年に星座は 88 個と決められ、その時にこのしぶんぎ座は星座名から外れてしまったのです。今はりゅう座の一部となっていて、流星群にだけしぶんぎ座の名前が残っていま す。場所は北極星と北斗七星の柄の部分の中間辺りです。

 当日は月が出ていて必ずしも条件はよくないのですが、年の始めに運だめしのつもりで、流れ星を探してみてはいかがでしょうか?

それでは、よいお年を。

*天文現象いろいろ

■  1 日 元日(初日の出:札幌 07時06分、東京 06時51分、大阪 07時05分、福岡 07時23分)
■  3 日 しぶんぎ座流星群が極大(22 時頃、出現期間1月1日〜1月7日)
■  4 日 下弦
      小寒(太陽黄経 285゜)
■  6 日 月とスピカが接近
■  7 日 月と土星が接近
■ 10 日 月の距離が最近(距離 36万0048km、視直径33.2')
■ 12 日 新月
■ 17 日 冬の土用(太陽黄経 297゜)
■ 19 日 上弦
      大寒(太陽黄経 300゜)
■ 22 日 月と木星が接近
      月の距離が最遠(距離 40万5310km、視直径29.5')
■ 27 日 満月

参考サイト
AstroArts「天文現象カレンダー」
http://www.astroarts.com/phenomena/2013/ph201301-j.shtml

(鈴木・廣井:京都大学)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2】宇宙開発裏話 vol.11

「軌道上のメリークリスマス」

*****

 米ソの月レースは1968年に大詰めを迎えました。当時、アメリカはアポロ 1号の火災事故を乗り越え、ようやく宇宙船の有人地球周回テストを成功させていました。一方のソ連は無人月探査機ゾンド5号の地球帰還を成し遂げ、有人月飛行に向け着々と準備を進めていました。

 アポロ計画に迫るソ連の影を感じとっていたNASAは、ここで大胆な賭けに出ました。開発の遅れていた着陸船を搭載しないまま有人月周回飛行を行い、人 類未踏の空間に一発勝負で挑もうというのです。周回飛行に着陸船は必要ありませんが、地球に戻るためのバックアップとして本来欠かせない手段でした。 NASAはテストスケジュールを繰り上げ、アポロ8号としてクリスマス・イブに3人の宇宙飛行士を月周回軌道へ送りました。

 月を 4回まわり、クルーが船体を回転させた時のことです。月面の撮影で忙しかった彼らの前に、突然地球が昇り始めました。死の世界の地平線から昇る、たった一つの色彩のある惑星は、まるでクリスマスツリーの飾りのようでした。

  3人はクリスマス・イブを月周回軌道上で過ごし、将来の月着陸に向けての観測や軌道修正を行いました。ヒューストン時間の夜には10億人もの人々に向かっ てTV中継を行い、月に対する三者三様の印象を視聴者に語りかけました。中継の最後には、クリスマスメッセージとして旧約聖書の創世記が朗読されました。

 このTV中継のあと、アポロ 8号は地球に帰還するための強力な噴射を行いました。月の裏側でエンジンを噴射するので、成功したかどうかは長いブラックアウト(通信途絶)のあとはじめ てわかります。予定どおりに軌道投入が完了すれば、クリスマス当日に入って19分後に、噴射に失敗した場合はさらに 8分後に交信が再開されるはずでした。失敗した場合、 3人のクルーは永遠に月の周りを回ることになります。予定の時刻を数分過ぎた後、地上のアンテナがようやく信号を捉えました。

(飛行士)「ヒューストン、こちらアポロ8号、どうぞ。」
(管制官)「アポロ8号、よく聞こえる。」
(飛行士)「了解。みんなに伝えてくれ。月にはサンタクロースはいる。」
(管制官)「そうだろうとも。君たちが一番よく知っているはずさ。」

 1968年は悲劇的な出来事が多かった年でした。 ベトナム戦争の泥沼化、世界中に広まった暴力的な反戦デモ、キング牧師やケネディ議員の暗殺など、暗いニュースがアメリカを覆っていたのです。重苦しい1 年の最後にもたらされたアポロ8号の輝かしい成功から、「アポロ8号が1968年を救った」と言われています。

(藤井:大阪教育大学)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【3】音楽で聴く宇宙

*** 惑星シリーズ第二弾 ***
モーツァルト作曲 交響曲第41番「ジュピター」

 こんにちは!惑星シリーズ第二弾はモーツァルト作曲の「ジュピター」をご紹介します。この曲はモーツァルトがその生涯で最後に作曲した交響曲であり、彼の3大交響曲の一つに数えられています。堂々として華やかな音楽です。

 ところで、惑星シリーズで取り上げてはみたものの、この「ジュピター」は実は「木星」という意味ではありません。ローマ神話に登場する神ユピテル(英語 でジュピター)の名前が付けられているのです。この副題は、モーツァルト自身が名付けたのではありませんが、その壮麗な音楽が聴衆にローマ神ユピテルの姿 を想像させたのです。

 そして、西洋の惑星名も次のようにローマ神の名前が付けられています。

水星:太陽の周りを動く伝令の神メルクリウス(マーキュリー)
金星:明けの明星・宵の明星として美しく輝くことから、美の女神ウェヌス(ビーナス)
火星:赤く不気味に輝く姿から、戦争の神マルス(マーズ)
木星:どっしりと落ち着いた輝きを放つことから、 神々の王ユピテル(ジュピター)
土星:黄色くくすんだ色から、土と農耕の神サトゥルヌス(サターン)
※かっこ内はそれぞれのローマ神を英語読みしたもの

 さて、木星が天高く輝くこの時期、モーツァルトの交響曲第41番とともに、ローマ神ユピテルを思い描きながら夜空を見上げてみたいと思います。みなさんもご一緒にいかがですか?

参考サイト
国立科学博物館 宇宙の質問箱
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/vm/resource/tenmon/space/solsys/solsys04.html

(田崎:京都大学)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【4】皆既日食レポート

 今月号は11月14日にオーストラリアで見られた皆既日食のレポートをお届けします。来月はこの皆既日食の動画をお届けする予定ですので、楽しみにしておいてください。

 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 

 今回、私たちは大阪教育大学日食プロジェクトと称しオーストラリアケアンズでの皆既日食の観測を行ってきました。 5月に金環日食を経験し今回の皆既日食の観測をするにあたって日本にいるうちから太陽の撮影練習ならびに観測の準備を行ってきたので、観測をする準備は十 分整っての出発でした。

 ですが、実際にオーストラリアにいって感じたのは自分の予想を越える環境でした。晴れたと思えば雨が降り、次の瞬間には晴天…。太陽も普段とのぼりかた が違うため違和感を感じました。ここで、自分の準備不足や勉強不足を痛感させられました。頭ではサバナ気候だ南天だとわかっていても実際に感覚として分か らない。そういった経験から、海外での観測で一番初めに直面する問題は環境への適応であると思います。ただ、今回に限って言えばオーストラリアという国は 非常に過ごしやすく、日本語もよく通じることから比較的日本人でも生きていける環境であったので本当に助かりました。

 さて、何といっても今回の観測の目的は皆既日食と南天の星空です。初日から夜暗くなればすぐ星空を眺め観測を行いました。するとよく知る形がすぐ目に入 りました。オリオン座です。自分にも馴染み深い星座が確認できて安心しました。しかしようく見ると何か違和感が…。そう、ここは南半球、勿論オリオンも逆 さになってい
たのです。その上、シリウスの位置が高くカノープスがそれと分からないほど目立つ位置にあり、長寿になりたい放題でした。自分が全く別の地にいるのだと何 より深く感じたのがこの瞬間でした。その日から晴れ間を探し少しでも暗いところを求め観測を行い、マゼランや南十字星など見たこともないものばかりの南天 の空で毎日感動の連続でした。

 そして11月14日朝、一番の目的であった皆既日食が日の出と共に始まりました。自分の使用機材はNikonD5100+望遠レンズ+ND4000フィ ルター ×2を使用しました。観測開始時より曇りがちでほぼ太陽の撮影が出来ず、時々コンパクトデジカメで雲の合間の空の色の変化を撮影したのみでした。もうすぐ 皆既日食という時間になっても太陽は見えずに雲間の空の濃い青が観測できるのみで、しまいには雨が降りだしました。

 食の 1分ほど前にNDフィルターをはずし、半ば諦めムードの中皆既日食のカウントをしていたところ、まるで奇跡のように太陽の部分だけ雲が消えたのです。周り で歓声があがります。気付けば自分も叫んでました(笑)。空が一気に暗くなっていく様子、コロナの淡く光る様子などどれをとっても今まで自分が経験したこ ともないものでした。まさに未知の感覚!身体中に鳥肌が立ちました。いざ、日食が終わりまだ感動が冷めやらぬ中、データを確認すると、そのあまりの感動に 太陽から目が離せず露出時間の違うデータ 2種のみしか撮影出来ていない…。今回自分の中での最大の失敗でした。慣れぬ土地、初めての経験などの不確定要素が重なってくると思わぬミスが生まれてし まいました。今回の経験を生かし感動を忘れず次回の皆既日食の観測に繋げリベンジを計ります!

(松浦:大阪教育大学)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【5】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため…お好きなようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。

.........................

 今は木星が一晩中見えていて、絶好の観望期を迎えています。
 今回は木星についての問題です。


(1)木星は、月を除けば今、真夜中に見える星の中では一番明るい星です。その木星の近くには 1等星のア
  ルデバランが見えています。アルデバランも十分明るい星なのですが、木星は飛びぬけて明るく見えます。
  では、木星はアルデバランの何倍明るいのでしょうか?

 (あ)9倍
 (い)27倍
 (う)81倍

(2)木星は太陽の周りを回る惑星の中では最大のものです。その大きさは地球の何倍でしょうか?

 (あ)5倍
 (い)7倍
 (う)11倍

(3)木星を望遠鏡で見てみると、周りに 4つの衛星を見ることができます。これらは木星の衛星の中でも特に
  大きいものなのですが、地球の衛星である月よりも大きいものはいくつあるでしょうか?

 (あ)1個
 (い)2個
 (う)3個
 (え)4個

(鈴木:京都大学)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【6】黄華堂の活動予定

● 1月16日(水)うちゅうと遊ぼう 【京大病院】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【編集後記】
 ふたご座流星群を見に行ったところ、多くの人が見にきていました。明るい流星が流れると、辺りに歓声が響きました。多くの人が同じ夜空を見て楽しんでいるというのは嬉しいですね。

(鈴木:流星の撮影は難しい)
(黄華堂検定の答え)
(1)い
 明るさを等級で表すと、アルデバランは0.8等、木星は-2.8等です。 1等級明るくなると約2.5倍の明るさになるので、計算をしてみると木星はアルデバランの約27倍明るいことになります。星座を作る星の中で一番明るいシ リウスでさえ-1.5等なので、木星は飛びぬけて明るく見えています。

(2)う
 地球の赤道の半径は6379kmなのに対して、木星の赤道の半径は71492kmとおよそ11倍の大きさです。重さで比べてみると、木星は地球の約318倍もの重さがあります。

(3)う
 木星の衛星のうち、エウロパは月の約0.9倍の大きさ。一番大きなガニメデは月の約1.5倍の大きさです。真ん中の木星が重たい分、衛星は速く周りを 回っていて、一番内側のイオは1.77日で木星の周りを一周します。一番外側のカリストでも、地球と月の距離の5倍のところを16.7日で1周していま す。詳しい値は理科年表などで調べてみてください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメルマガに関するご意見やご感想はinfo@oukado.orgまで。
Copyright 2008 黄華堂. All rights reserved. 
Web:http://www.oukado.org/
mixi:http://mixi.jp/view_community.pl?id=2816441
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

TOPに戻る