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黄華堂通信  No. 063 ◆◇◆  2013年 01月号 ◇◆◇

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【もくじ】

【1】来月の星空
【2】絵本で見る宇宙
【3】あなたの知らない宇宙
【4】街角の星たち
【5】皆既日食レポート
【6】黄華堂宇宙検定
【7】黄華堂の活動予定

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【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 01月の星空についてはこちらを!
 http://www.oukado.org/hosizora/2013/hosizora1301.htm

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2013 年 2 月の星空

 2月は一年を通じて最も寒い時期ではありますが、その一方で最も
夜空がにぎやかで、肉眼での星空観察がしやすい時期でもあります。
 なんといっても目立つのは、三ツ星で有名な、南の空に浮かぶオ
リオン座でしょう。オリオン座の一等星の内、赤い方のベテルギウ
スという星は、観測したところ星の形が変形していることから、星
の一生を終え今にも爆発しそうである、あるいは既に爆発している
かもしれない(※)、と考えられており、天文学者の間でも注目を
浴びています。

 オリオン座からやや左下にいったところに青白く輝く星が見られ
ますが、これは全天でもっとも明るい、おおいぬ座のシリウスとい
う星です。その他にも天頂近くを中心として、こいぬ座のプロキオ
ン、ふたご座のカストル、ポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おう
し座のアルデバランといった明るい星たちがさまざまな色で輝いて
おり、非常に綺麗です。

 また目に自信のある方は、天頂からやや西、黄色に輝く木星を挟
んで赤いアルデバランと反対側あたりにある「すばる」を観察して
みてはいかがでしょうか?「すばる」は星がいくつか集まった星団
と呼ばれる天体なのですが、目の良い方は一個一個の星を区別して
みることができます。さて、あなたはいくつ見て取ることができる
でしょうか?

(※)
光の速度は有限であるため、ベテルギウスが発した光が地球に届く
のには約 700年かかります。ですので、たとえ昨日爆発していたと
してもそれが分かるのはずっと後のことであり、「今まさに存在し
ているかどうか」は実際のところは分からないのです。また、今に
も爆発しそうだといっても、それは天文学的な時間感覚の話で、そ
れが明日か 100 年後か 1000 年後かは分かりません。


*天文現象いろいろ

■ 3 日 節分
     下弦
■ 4 日 立春(太陽黄経 315゜)
■ 7 日 月の距離が最近(距離 36万5317km、視直径 32.7')
■ 10 日 新月
■ 18 日 月と木星が大接近
     上弦
     雨水(太陽黄経 330゜)
■ 19 日 月の距離が最遠(距離 40万44718km、視直径 29.3')
■ 26 日 満月

参考サイト
AstroArts「天文現象カレンダー」
http://www.astroarts.com/phenomena/2013/ph201302-j.shtml
(廣井:京都大学)

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【2】絵本で見る宇宙 Vol.44

2013年、あけましておめでとうございます。
昨年は金環日食を筆頭に天文現象盛りだくさんの一年でした。
今年は、明るい彗星が2つ、見られそうということです。
というわけで、新年最初は彗星についての絵本を紹介しましょう。

*****

『やさしい星ずかん すい星と流れ星』

パトリック・ムーア文、江川多喜雄監訳

彗星って不思議な天体ですよね。
なぜなら、あの長いしっぽ!
なんであんなものが伸びているのでしょう?
しかも突然見えるようになる。
理由がわからなかった古代の人たちにとって、
日食と同じように彗星もまた、恐怖の対象だったのです。

今では彗星がどんな天体か、
なぜしっぽができるのか、わかっています。
この絵本ではそんな彗星の正体をわかりやすく説明しています。

彗星の中でとくに有名なのはハレー彗星でしょうか?
ハレー彗星は探査機が飛んでいっていろいろなことを調べていますが、
そのことについても触れられています。
ハレー彗星が次見られるのは2061年ごろ…皆さん、
何歳になっているでしょう?(笑)

この本では、彗星と関連が深い流星についても書かれています。
今年はペルセウス座流星群が好条件。
この一年の天文現象を予習する意味でも、
この絵本、読んでみてはいかがでしょうか?


(塚田:平塚市博物館)

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【3】あなたの知らない宇宙

 今年度の「あなたの知らない宇宙」では、隔月で様々なスケール
の宇宙の様子をご紹介していきます。今月はこれまでの天体が存在
する宇宙そのものについての話題です。

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宇宙の過去・現在・そして未来 〜 宇宙が奏でる交響曲 〜

 読者のみなさまの中には、私たちの宇宙の年齢が137億歳であ
ることや、私たちになじみのある通常の物質は宇宙のわずか4パー
セント程度でしかないことをご存知の方が多いことと思います。こ
れらは、NASA が2001年に打ち上げた WMAP 衛星によって測定
されました。では、WMAP 衛星は、どのようにしてこれらを測定した
のでしょうか。そこには、『宇宙が奏でる交響曲』が関係していま
した。

 交響曲と言えばオーケストラですが、オーケストラでは様々な楽
器から奏でられる『音』が、素晴らしいハーモニーを作り上げます。
この『音』を物理的に捉えると、ある楽器が奏でている音色と音程
は、その楽器の形と大きさで決まっています。小さなバイオリンは、
大きなコントラバスより高い音を奏でる、といった具合です。この
ことから逆に、どのような『音』が奏でられるかを聞くだけで、そ
の『楽器』の大きさと形を知ることができるのです。

 では、『音』とはどういう物理現象でしょうか。私たちにとって
最も身近な『音』は、空気の振動現象です。私たちが話すとき、声
帯で圧縮された空気が元に戻ろうと膨張し、進行方向にある空気を
逆に圧縮します。その膨張と圧縮が進行方向に伝わっていくことに
よって、音は周りに伝播していきます。専門用語では、『粗密波』
と呼ばれますが、字面の通り、空気の『粗』な場所と『密』な場所
とが進行方向に伝わっていく波です。粗密波は、振動するのが空気
でなくとも伝わりますが、音程が変わります。例えば、パーティー
など余興で使われることのあるヘリウムガスは空気よりずっと軽い
ため、これを使えばどんな人でも高い声に音程が変わりますね。

 現在の宇宙では、物質の密度がとても小さいため、音が伝わるこ
とはありません。しかし、誕生から約40万年までの頃の若い宇宙
では、物質の密度はとても高く、音が伝わることができました。そ
の頃の宇宙には、プラズマと呼ばれる非常に熱い気体が満ちており、
このプラズマの振動が『音』として、宇宙自体が『楽器』となって、
交響曲を奏でていました。

 この交響曲、残念ながら人間の耳には音として直接聞くことはで
きません。しかし、プラズマの密度の場所による違いは、マイクロ
波と呼ばれる電波で見ることはできます。WMAP は、そのプラズマ
の密度の粗密がどのように宇宙の色んな場所によって変わっている
かを精密に観測し、そこから『楽器』としての宇宙の音色と音程を
測定することで、『楽器』としての宇宙の形や、楽器の中で振動し
ているプラズマの性質を測定したのです。

 宇宙の交響曲は、私たちの宇宙が137億歳であることだけでな
く、私たちの宇宙には謎の暗黒エネルギーが満ちていることも教え
てくれました。私たちの宇宙は現在も膨張を続けていますが、この
暗黒エネルギーの影響で、今後さらにこの膨張は速くなっていくこ
とが予測されています。ついには隣の恒星すら見えなくなるほど膨
張は速くなり、そうなってしまうと夜空にはひとつも星が見えなく
なってしまいます。そんな夜空は寂しくて仕方ないですし、夜空に
たくさんの星が見える今のうちに、星空をしっかり楽しんでおきま
しょう。(といっても、星が全く見えなくなるのはまだ何兆年も先
のことなので、心配は無用です。)


(小林:愛媛大学)

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【4】街角の星たち

 皆さんは最近、星を見ましたか?街中からは月くらいしか見えな
いと思っていませんか?満天の星空とはいきませんが、街中からで
も星は案外見えるものです。「街角の星たち」では黄華堂のメンバ
ーが各地から見える星を紹介していきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 仕事で疲れて帰っている道でふと見上げると輝く 1等星、部活の
帰り夕日の沈んだ河川敷からみえる金星、夜空に輝く星たちは、私
たちの心を癒してくれます。

 しかし、都会の真ん中では、休むことなく人が流れ、ビルやお店
は輝き、夜空を見上げることさえ忘れていませんか?そもそもこん
なに明るい都会で星が本当に見えるのかそんな疑問も浮かんでくる
でしょう。筆者の住む大阪の市内にいくと、そこには、今にも飲み
込まれそうなほどのたくさんのビルが立ち並びます。そこで空を見
上げてみるとそこには、田舎で見えるような満天の星空とはいいま
せんが、冬の大三角やオリオン座、木星などが輝いています。

 なぜ都会では星はあまり見えないのか、お気づきかもしれません
がその答えは、街中で輝くたくさんの光です。そこでまずはその光
を手で隠してみましょう、すると今まで見えなかったアルデバラン
や冬の大三角をになうそれぞれの星座が見えてくるかもしれません。
そして何より目を慣らす、これは星を見る上では必須ですね。また、
双眼鏡を使うというのものひとつの手かもしれません。

 そして一番は光の少ない場所を探すことでしょう(田舎でいいや
んとは言わないでね。笑)。大阪市内でも小さな公園はあります。
冒頭で出てきた河川敷、大阪の淀川や大和川、京都の鴨川など。最
近では大きなビルの上での観望会がよく行われています。他のビル
より高いところに行けば、ビルの光に邪魔されることもないですし
ね!筆者もいつかは日本一高いビル「あべのハルカス」の上で星を
見てみたいな〜なんて思ったりします。

 皆さんも、都会の真ん中でふと空を見上げて、星に心を癒され
てみてはどうですか。


大阪教育大学 柏原キャンパスの星空
こちら
(ISO1600、1.6秒露出、F/3.5)

(小林:大阪教育大学)

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【5】皆既日食レポート

 お待たせしました。昨年の11月14日にオーストラリアで見られた
皆既日食の動画をお届けします。

 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 

 アマルー(オーストラリア・ケアンズ)での日食のビデオ動画で
す。皆既日食の美味しいところ?!(最初は雲ばっかり…汗)とそ
の場の興奮が詰まった動画となっています。
通常のビデオカメラでプロミネンスを撮影することができました!
この動画を見て、日食の感動を少しでも感じて頂ければ幸いです。

こちら
(約10分、容量81MB、再生にはQuick time(無料)が必要です。)


(野口:大阪教育大学)

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【6】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していき
ます。新しい知識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお
話のネタにするため…お好きなようにご活用ください。答えは編集
後記の末尾にあります。

.........................

 2013年の干支に因んで、今回はヘビにまつわる問題です。

(1)全天88星座の内「へび」がつく星座はいくつあるでしょう?

 (あ)3つ
 (い)4つ
 (う)5つ

(2)ヘビ星雲(Barnard 72)は暗黒星雲の一つです。
   暗黒星雲は可視光で見ると黒く見えますが、それは何故で
   しょうか?
   [参考]ヘビ星雲の画像:
   こちら

 (あ)濃い物質が光を遮っているから。
 (い)その領域だけ何もないから。
 (う)巨大なブラックホールが存在しているから

(3)メデューサ星雲は、H II(エイチ・ツー)領域と呼ばれる赤い
   星雲の一つです。H II領域は何が赤く光っているのでしょう
   か?
   [参考]メデューサ星雲の画像:
   こちら

 (あ)恒星の前景にあるガス
 (い)恒星の周囲にあるガス
 (う)恒星自身


(森谷:広島大学)

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【7】黄華堂の活動予定

● 2月16日(土)FEEL LOVE 天体観望会 
           【大阪ステーションシティ 太陽の広場】
  http://osakastationcity.com/love/index.html
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【編集後記】
 星座には多くの動物が登場しますが、干支の動物と比べてみると
酉は微妙ですが、意外と多く半分以上重なります。干支の動物の星
座を年賀状に使ってみるのも面白いですね。
              (鈴木:年末にへび座は見えない)


(黄華堂検定の答え)
(1)い
  うみへび座、へび座、へびつかい座、みずへび座の4つです。
  うみへび座は春にしし座の南側に見ることができます。へび座
 とへびつかい座は夏にさそり座やいて座の近くに見ることができ
 ます。(へびつかい座は一時期話題になった『13星座占い』でご
 存知の方もいるのではないでしょうか?)みずへび座は天の南極
 付近の星座ですので、日本からはみることができません。

(2)あ
  暗黒星雲では周囲に比べてガスや塵の密度が濃く、背景の恒星
 や銀河の光を遮ります。その為可視光で見ると黒く見えます。『
 可視光』と書いたのは、実は、暗黒星雲の中では新しい星が誕生
 していることが多く、赤外線などで見ると内部の星を見ることが
 できる為です。

(3)い
  問題(2)に出てきた暗黒星雲の中で誕生した恒星はやがて紫
 外線を放射します。その紫外線によって周囲の中性水素ガスが電
 離され、Hαと呼ばれる赤い光を放出します。


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