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黄華堂通信  No. 067 ◆◇◆  2013年 05月号 ◇◆◇

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【もくじ】

【1】来月の星空
【2】絵本で見る宇宙
【3】あなたの知らない宇宙
【4】街角の星たち
【5】黄華堂宇宙検定

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【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 05月の星空についてはこちらを!
http://www.oukado.org/hosizora/2013/hosizora1305.htm

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2013 年 6 月の星空

  6月21日は夏至、一年の内でもっとも昼が長い日です。だんだんと夏の足音が聞
こえてきました。汗ばむ日が増えるのと同じように、夜空にも少しずつ夏の星達が
姿を見せ始めています。

 春の星々が西の空へと傾き始め、東の空低いところには夏の大三角が見え始めま
す。そんな夜空には二組のカップルがいます。一組目は夏の大三角にいる織姫(ベガ)
と彦星(アルタイル)、こちらはまた今度詳しくご紹介します。二組目が春の大三角
にいるアークトゥルスとスピカです。青白く輝くスピカが女星、オレンジ色に輝く
アークトゥルスが男星で、二つまとめて「夫婦星(めおとぼし)」と呼んでいます。
今では男の子は青、女の子は赤、というイメージがありますが、昔は逆だったよう
です。日に焼けたたくましい男性と色白の女性を想像していたのかもしれませんね。

 23日には満月の見かけの大きさが今年最大となります。ちなみに、今年最小の満
月になるのは12月 7日。写真を撮って見比べてみてはいかがでしょうか。


*天文現象いろいろ

■  1 日 下弦
■  5 日 芒種
■  8 日 月と火星がならぶ
■  9 日 新月
        月が最北(赤緯+20゜12.0')
■ 10 日 月と金星がならぶ
■ 11 日 入梅
■ 17 日 上弦
■ 19 日 月と土星がならぶ
■ 20 日 水星と金星が接近
■ 21 日 夏至
■ 23 日 満月(スーパームーン)
     月の距離が今年最近(距離 35 万 6991 km、視直径 33.5')
■ 30 日 下弦

参考サイト
国立天文台 ほしぞら情報
http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2013/06.html


(飯野:大阪教育大学OG)

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【2】絵本で見る宇宙 Vol.46


 今回は久しぶり?に新刊をご紹介しましょう。科学界のインディ・ジョーンズと
いう異名を持つ、長沼毅さん監修の絵本です。宇宙だけにとらわれない、壮大な旅
の物語を楽しめますよ。

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『そらのうえ うみのそこ』

長沼毅 監修、大橋慶子 絵

この絵本はちょっと変わっています。縦に開くタイプの本なのです。それもそのは
ず、タイトルを見て分かる通り、この本は、空の上=宇宙から海の底=深海まで、
を男の子が旅する物語。垂直方向にお話が進んでいくのです。

この絵本は月の軌道あたりから始まって、どんどん地球へ近づき、大気圏に突入し、
雲を潜り抜け、そして海へと入っていきます。そのときそのときに遭遇する現象、
生き物が、わかりやすく簡潔に紹介されています。

この本を読むとよくわかりますが、地球と宇宙はつながっています。読んでいるう
ちに、気が付けば宇宙から海の底にきている。法律上や慣習上の地球と宇宙の境目
はありますが、本来は連続的なものなのです。そんな巨視的な視野に立てる絵本で
すね。

 現在はまだ、宇宙に行ける人、深海に行ける人はほんの一握り。それでも、いつ
かはこんな旅が実際にできるようになるかもしれません。いや、できるようになる
でしょう。そのときのための予行演習のつもりで、ぜひ読んでみてください。


(塚田:平塚市博物館)

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【3】あなたの知らない宇宙


「ものすごい明るい超新星!?」


 人間には、一生があります。人間だけでなく、地球上の全ての生物はみな、平等
に生まれて、平等に死んでいきます。実は、これは星(恒星)にも当てはまります。
恒星も人間と同じように、生まれては死んでいきます。重い恒星は死を迎えるとき
に、大爆発を起こします。この死ぬときに起こる大爆発を、「超新星」といいます。
「超“新”星」と書きますが、新しく生まれた星のことではないですよ。

 1054年、夜空に突然明るく輝く星が発見されました。この星は、1ヶ月ほどして
から暗くなり、2年ほどで肉眼では完全に見えなくなりました。東洋ではこのよう
な星は「客星」と名付けられ、古くから出現例が記録されていました。この客星は
近世以降、「新星」と呼ばれるようになりましたが、典型的な新星よりもずっと明
るい星が現れました。これが「超新星」です。天体望遠鏡の発展もあり、超新星の
年間発見数は今では 500個を超えています。ちなみに客星の中には、新星の他にも
彗星も含まれていました。

 超新星は分光的特徴により、いくつかの種類に分けることができます。大きく分
けると、水素のスペクトル線が見られるものをII型、逆に見られないものを I型の
2種類に分類することができます。 I型の中でも、ケイ素の吸収線が見られる超新
星を、Ia型超新星と呼びます。Ia型超新星は、白色矮星が伴星から質量を得て、太
陽質量の約 1.4倍の質量、すなわちチャンドラセカール限界質量付近に白色矮星の
質量が達したときに、超新星爆発を起こします。

 しかし、質量がチャンドラセカール限界質量に到達しても爆発しない超新星の存
在が、明らかになりました。つまり白色矮星が、自身の質量が限界質量である 1.4
太陽質量を超えても存在する、というのです。この白色矮星をもとにして誕生した
超新星を「super-Chandrasekhar mass SNe(スーパーチャンドラセカール質量の超
新星)」といいます。近接連星系にある2つの白色矮星が衝突・合体することで、
この超新星が生まれると考えられています。普通の超新星は、明るさが約 -19等に
なるのに対し、super-Chandrasekhar mass SNeは -20等にまで明るくなることが、
観測事実として分かっています。普通の超新星よりもずっと明るい超新星が、発見
されたのです。

 超新星はまだまだ謎に包まれた天体です。しかし、そんな謎の天体に、さらなる
謎が現れ、多くの天文研究者が魅了されています。この謎が少しでも早く解明され
ることを、期待してやみません。


*参考文献
 ・野本憲一、定金晃三、佐藤勝彦 2010
  「シリーズ現代の天文学7.恒星」 日本評論社
 ・Michael A.Seeds、Dana E.Backman著、有本信雄監訳 2010
  「最新天文百科−宇宙・惑星・ 生命をつなぐサイエンス−」 丸善株式会社


(増本:大阪教育大学)

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【4】街角の星たち


 星といえば“夜に見るもの”なのですが、夜の始まりである夕方に見る星もオス
スメです。最近の日の入り時刻は午後 7時前後、 6月21日の夏至が近づくにつれ、
昼間の時間が長くなってきました。そんな 5月中旬の夕方 6時すぎ、神戸にある筆
者の職場の屋上で、必死に月と“ある星”を探す男性と女性がいました。「太陽が
沈む前に月が見えるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、半月前
後の月は昼間に見つけることができます。こどものころ、青空の中に白っぽい月を
見た記憶がありませんか?ですが、この日の月は三日月(月齢 2)でした。月の輝
く面が少ない上に、太陽の後を追うように、月はすぐに沈んでしまいます。日の入
り直後がチャンスなのです。

 午後6時50分ごろ。
 「あった、あった!」と喜ぶ男性。
 「月は見えるけれど、星は見えないですよ」と女性。
 「月のななめ上だ。親指一本分くらい」と教える男性。

 探していたのは、月と木星でした。この日は三日月と木星を一緒に眺めることが
できる絶好のチャンスだったのです。木星は 6月中旬には地平線の下に隠れてしま
いますから、三日月と木星を並んで見ることができる機会はしばらくありません。
「この出会いは今日しかないのだ」と思うと、空を見あげてみたくなりませんか?

 この写真は、仕事が落ち着いた午後 8時ごろに撮影した月と木星です。月の斜め
上にぽつんと輝くのが木星です。ビルの谷間から見つけることができました。

  5月末から 6月頭には、明るい金星と木星が西の空に輝きます。運がよければ、
その二つの惑星の側に水星も見えるかもしれません。また、「宵の明星」とも呼ば
れる金星は 6月中ずっと見ることができます。いくつかの惑星は街中の明かりにも、
夕焼けの明かりにも負けずに見つけることができます。みなさんも、夕日とともに
金星を楽しんでみませんか?


(石井:神戸市立青少年科学館)

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【6】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。新しい知
識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため…お好きな
ようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。

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 夕方の西の空で、 5月下旬以降に金星が見ごろになります。今月は金星に関する
クイズです!

(1)金星はどのように見つかった惑星でしょう?

 (あ)目視
 (い)天体望遠鏡
 (う)探査機

(2)地球の衛星は月 1つ、火星の衛星は 2つあります。では金星の衛星はいくつ
でしょう?

 (あ)0個
 (い)1個
 (う)2個

(3)次のうち、金星としてはありえないものはどれ?

 (あ)昼間に肉眼でも見える
 (い)夜中に明るく輝いて見える
 (う)月のように満ち欠けをする


(橋本:佐賀県立宇宙科学館)

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【編集後記】
 長い間目立っていた木星の時期も終わりで、これからは金星の時期。 5月はまだ
西の空低く注目しないと見えませんが、その方が見えた時に嬉しくなります。控え
めな金星もありですね。
                     (鈴木:一番星に迷う時期)

(黄華堂検定の答え)
(1)あ
  太陽系の惑星の中で、水星、金星、火星、木星、土星は肉眼でも明るく見える
 ので、紀元前からその存在が知られていました。金星は望遠鏡や探査機で見つか
 ったわけではありません。天王星や海王星は天体望遠鏡が発明された後で発見さ
 れています。

(2)あ
  衛星とは、惑星の周りをまわる天体のことです。水星と金星には衛星は発見さ
 れていません。

(3)い
  金星は、地球よりも1つ内側の軌道で太陽の周りをまわっています。このため
 地球から見て、金星は太陽からある程度以上(約46度)は離れません。ですから、
 金星は日没後か日の出前の空でしか見ることができず、夜中には見えません。金
 星の最大光度は-4.6等級にもなり、目のいい人なら、青空の中、肉眼で見つける
 ことができます。望遠鏡で金星をみると、時期によって月のように形を変えて見
 えます。


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