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黄華堂通信  No. 068 ◆◇◆  2013年 06月号 ◇◆◇

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黄華堂のつぶやき!@oukadoで天文現象やイベント情報についてつぶやいています!

【もくじ】

【1】来月の星空
【2】音楽で聴く宇宙
【3】ブラックホールが星を食べる瞬間に迫る
【4】街角の星たち
【5】黄華堂宇宙検定

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【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 06月の星空についてはこちらを!
http://dp23069779.lolipop.jp/hosizora/2013/hosizora1306.htm

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2013 年 7 月の星空

 今年は例年より早い梅雨入りとなりましたが、 7月の半ばになると梅雨も明けて
夏の星を楽しむことができるでしょう。

 南の空、低いところにはさそり座が見えます。赤く光る 1等星「アンタレス」と、
釣り針のようなS字カーブが目印です。アンタレスはギリシャ語で「火星(アレス)
に対抗(アンチ)するもの」という意味があります。日本でもその赤い姿から「赤星」
「酒酔い星」と呼ばれてきました。赤い星といえば、天頂付近に見えるうしかい座
の「アークトゥルス」も赤っぽい色をしています。こちらは、麦の穂が黄金色に輝
く刈入れ時に見頃を迎えるため「むぎ星」と呼ばれていました。麦といえばビール!
ビアガーデンでビール片手にアークトゥルスに乾杯し、アンタレスのように顔を赤
らめてみるのも良いかと思います。

 22日の明け方には、東の空の低いところで火星と木星が接近します。この 2つの
星の下には水星も昇ってきます。夜明けが早い時期ですので、これらの惑星を見つ
けるのは難しいかもしれませんが、ぜひ早起き(もしくは夜更かし?)してチャレ
ンジしてみてください。


*天文現象いろいろ

■  2 日 半夏生
■  4 日 金星とプレセペ星団が最接近
■  5 日 地球が遠日点通過(距離 1億 5209万 7426 km、太陽視直径31.5')
■  7 日 七夕
       小暑
       月の距離が今年最遠(距離 40 万 6489 km、視直径 29.4')
       月と木星がならぶ
■  8 日 新月
■ 16 日 上弦
       月とおとめ座のスピカがならぶ
■ 19 日 土用の入
■ 22 日 月の距離が最近(距離 35 万 8400 km、視直径 33.3')
       火星と木星が接近
       金星としし座のレグルスが接近
■ 23 日 大暑
       満月
■ 28 日 みずがめ座δ南流星群が極大(出現期間7月15日〜8月20日)
■ 30 日 やぎ座α流星群が極大(出現期間7月20日〜8月25日)
       下弦
       水星が西方最大離角(明け方に見やすい)

参考サイト
国立天文台 ほしぞら情報
http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2013/07.html


(飯野:大阪教育大学OG)

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【2】音楽で聴く宇宙


 アラン・ホヴァネス作曲
        交響曲第53番「星の燭光 (Star Dawn)」 Op. 377


 アラン・ホヴァネスは1911年にアメリカで生まれ、2000年に亡くなるまで 500曲
以上もの作品を遺しました。そのうちの 1曲「星の燭光」は、1983年に作曲された
吹奏楽曲で、2つの楽章から成ります。

 この曲は宇宙旅行をテーマにしており、 1楽章は地球からの旅立ち、 2楽章は遠
くの惑星へ到着したことを表しているそうです。これを念頭においてこの曲を聴い
てみると、なるほど確かに、冒頭の金管楽器の背後で低く響くティンパニ(太鼓の
一種)の連打は宇宙船を打ち上げるためのエンジン音のようです。静かなクラリネ
ットの旋律では暗い宇宙空間が目に浮かびます。遠くから聞こえてくるチャイム(
鐘)の音は星のまたたきでしょうか。ヴィブラフォン(鉄琴の仲間)の半音階の旋
律もとても幻想的な雰囲気を作り出しています。

 そして 2楽章は、サックスの寂しげな旋律で始まります。きっと到着した土地は
地球とは違い、荒涼とした場所だったのでしょう。そして希望に満ちた重厚な和声
の中に、不安定さが入り交じり、そのままこの曲は終わります。

 この曲だけで映画が作れそうなほど、ストーリー性に富んだ音楽です。火星への
移住が現実味あるものとなってきた昨今ですが、みなさんはこの曲を聴いてどのよ
うな物語を思い浮かべたでしょうか?そして遠くの惑星に到着したあと、この曲の
続きを作るとしたら、どんな音楽になるのでしょうか。

参考ウェブサイト:the Alan Hovhaness web site
http://www.hovhaness.com/Hovhaness.html

参考音源CD:Naxos - 8.559207


(田崎:京都大学)

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【3】ブラックホールが星を食べる瞬間に迫る


 今年、天の川銀河の中心に存在するブラックホール( SgrA*)がガス雲を吸い込
むといわれています。そして、世の天文学者たちはその瞬間をとらえるべく日夜、
大奮闘しています。

 さて、天文学者というと、実際に星を観測する人というイメージが強いと思いま
すが、決してそういう人だけではありません。宇宙には望遠鏡の性能などによって
まだまだ観測できていないことが山ほどあります。それらの現象を数学的、物理的
に計算し、理論的に予測している人もいます。さらに、最近ではスーパーコンピュ
ータの発展によりシミュレーションで予測するという方法も重要になってきました。

 今回、ブラックホールがガス雲を吸い込むとき、何が起きるのか予測する際にも
シミュレーションが大活躍しています。予測されるもののひとつが、ブラックホー
ルがガス雲を吸い込み始めるときにガス雲が明るく輝くというものです。

 質量をもった二つの物体の間には力が働き、その大きさは物体同士の距離に反比
例する。みなさん高校で習ったのを覚えていますでしょうか?万有引力の法則です。

 ブラックホールとガス雲の間にも同じような力が働きます。ただし、ブラックホ
ールがとてつもない質量をもっているため、ガス雲が吸い込まれるように見えます。
そしてこの時、ガス雲がある程度の大きさを持っていたとするとブラックホールに
近い側に働く力と遠い側に働く力では違いが生じます。これを潮汐力といいます。
この力は身近でいえば地球における潮の満ち引きの原因にもなっています。

 ブラックホールに吸い込まれるガス雲はこの潮汐力の効果で、進行方向に引き伸
ばされます。同時に軌道平面に対して垂直な方向ではガスは強力な圧縮を受けるの
です。この強力な圧縮によってガス雲は加熱され、結果明るく輝くというのです。

 さぁ、このシミュレーションによる予測は当たるのか?それを確かめるのは観測
です。この輝きがそろそろ観測されてもいいのではないかとも言われています。残
念ながら今のところそのような報告はありません。今後新しい報告がいつされるか
もわかりませんが、私自身、素晴らしい観測結果が報告されることを心待ちにした
いなと思います。




(小林:大阪教育大学)

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【4】街角の星たち


 突然ですが、皆さんは「惑星」の名前の意味をご存じですか?
「惑う星」の通り、夜空の星の中をふらふら動いていく星という意味です。時には
逆に進んだりと、昔の人を悩ませていました。今では太陽の周りを回っているから
と分かっていますが、惑星が動いていく様子気にしたことはあるでしょうか?惑星
は明るくて見つけやすいので、動いていく様子は街中からでも観察することができ
ます。

 先月の末に、夕方の空で水星、木星、金星が見えていました。早速、それらが動
く様子を見てみましょう。

(5/23の様子)

(5/26の様子)

(6/3の様子)


 さて、3つの惑星はどう動いたでしょうか?
木星が低くなっていって、逆に金星は高く、水星はそれよりも高くなっていきまし
た。夜空の動きでいうと木星は少しずつ西へ、金星は東、水星は速く東へと動いて
いきました。

 惑星は内側から水星、金星、地球、火星、木星、土星、…という順になっていま
す。惑星は内側にあるものの方が、太陽の周りを速く回っています。
・水星は今回西の空に見えてきて、1ヶ月ほどで見えなくなります。
・金星は星座の星が動く中、数ヶ月間夜空の同じ場所にとどまるように見えます。
・木星は星座を作る星とほぼ同じように動いていきます。

 一日で動いているのがわかるのは水星くらいですが、何となくでも見続けている
と1、2ヶ月経った時、「動いたかな?」と気づきます。今見ごろの土星もこの 3ヵ
月で動いたのがわかります。街中からでも見える惑星、ちょっと気にしてみてはい
かがでしょうか?


(鈴木:京都大学)

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【6】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。新しい知
識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため…お好きな
ようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。

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 梅雨の時期、なかなか星を見られない日も多い中で、月なら雲間からでも顔を出
してくれます。今月はそんな月にまつわるクイズです!

(1)地球から月までの距離はどれくらいでしょう?

 (あ)地球5個分ほど離れている
 (い)地球10個分ほど離れている
 (う)地球30個分ほど離れている

(2) 6月23日は満月。この日の満月はいつもより少し大きく見え、今年最大のサ
イズとなります。それはなぜでしょう?

 (あ)この日、月の距離が地球に近いから
 (い)この日、地球と月が太陽に近いから
 (う)月が地球にだんだん近づいているから

(3)6月23日の満月が今年最大のサイズですが、逆に最小となるのはいつ?
   (先月号のメルマガをよく読んでいるとわかるかも)

 (あ)1か月後の満月
 (い)3か月後の満月
 (う)6か月後の満月


(橋本:佐賀県立宇宙科学館)

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【編集後記】
  6月下旬になりようやく梅雨らしい天気になりました。一時は雨が少ないと心配
されたので、これで一安心です。ただし、星を見るのは少しお預けになりそうですね。
                    (鈴木:雨上がりは星見のチャンス)

(黄華堂検定の答え)
(1)う
  地球から月までの距離はおよそ38万kmです。地球の直径は約 12800kmなので、
 地球から月までは、地球の直径およそ30個分離れていることになります。この距
離は、光のスピードで 1.3秒ほどかかります。

(2)あ
  月は、楕円軌道で地球の周りをまわっているため、地球に近づいたり遠ざかっ
たりしています。 6月23日は月の距離が今年最も近く、その距離は35万7000kmほど
です。そのとき満月となるので、今年最も大きく見える満月となるのです。

(3)う
  6月23日の満月は今年最大ですが、そのおよそ半年後、12月17日の満月が今年最
小サイズとなります。最大と最小では、ひとまわりほど、大きさが違って見えます。


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