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黄華堂通信  No. 075 ◆◇◆  2014年 01月号 ◇◆◇

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【もくじ】

【1】来月の星空
【2】絵本で見る宇宙
【3】あなたの知らない宇宙
【4】黄華堂宇宙検定

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【1】来月の星空

 一足早く来月の星空をご紹介します。
 1月の星空についてはこちらを!
http://www.oukado.org/hosizora/2014/hosizora1401.htm

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2014 年 2 月の星空

 まだまだ厳しい寒さが続いていますが、暦の上では立春。寒さが緩み始め、春の
気配が忍び寄ってきます。星空にも少しずつ春の星達が姿を見せますが、それでも
明るい冬の星達の方に目がいってしまいますね。

 この時期にぜひチャレンジしてほしいのがカノープス探しです。日本では南の地
平線すれすれに見える星で(北日本では見ることさえできません…)、中国ではこ
の星を見ると長生きできると言われている縁起のいい星です。南の空の地平線が見
えるところでぜひ挑戦してみてください。

 また、明け方の空では惑星と月の共演が楽しめます。20日には火星とスピカに、
22日には土星に、26日には金星の近くに見えます。がんばって早起きして、欠けゆ
く月と惑星をご覧になってください。


*天文現象いろいろ

■ 3 日 節分
■ 4 日 立春
■ 7 日 上弦
■ 12 日 月の距離が最遠(距離 40 万 6231 km、視直径29.6')
■ 15 日 満月
■ 19 日 雨水
■ 20 日 月と火星、おとめ座のスピカがならぶ
■ 22 日 月と土星が接近
■ 26 日 細い月と金星がならぶ
■ 28 日 月の距離が最近(距離 36 万 440 km、視直径33.1')
     月と水星がならぶ

参考サイト
国立天文台 ほしぞら情報
http://www.nao.ac.jp/astro/sky/2014/02.html


(飯野:大阪教育大学OG)

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【2】絵本で見る宇宙 Vol.50


この連載も早いもので Vol.50 となりました。
読んでいただいている皆さんには感謝です。
Vol.50 を飾るのは、ちょっと大人向けの星空絵本です。

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『星と星座をみつけよう』

森 雅之 著


著者の森雅之さんは、
月刊誌「天文ガイド」にエッセイを連載していることでも
知られていますが本職は漫画家さんです。
そんな彼が書く絵本、ちょっと懐かしい、
そしてかわいい感じのするイラストが特徴です。

内容はいたってオーソドックス。
各季節の明るい星、主な星座の探し方を紹介しています。
合間にはコラムのような形で天の川や流星についても解説しています。
日本版『星座をみつけよう(H.A.レイ著)』といった感じでしょうか。
星座絵はもちろん、森さんが書いている優しい感じのイラストです。

終わりには、星を見に行くときに気を付けたいことや、
あると便利な道具なども紹介されていて、
星を見始めたばかりの人にもお勧めです。

冬は明るい星が多く、星空が美しい季節。
特に太平洋側はよく晴れる季節でもあります。
この本を読んで、ぜひ本物の星空を見に外に出かけてみましょう。
それになかなか晴れなくても、この本だけで星を見た気分になれますよ。


(塚田:平塚市博物館)

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【3】あなたの知らない宇宙


「アストロバイオロジー − 地球以外に生命は存在するのか」

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 宇宙人はいてるのか?
 地球以外の星に生命は存在するの?

 そのような疑問を抱いたことがある人は多くいるのではないでしょうか。しかし、
それと同時に、この疑問はSFの世界だけの話で、現実の世界ではこの疑問を解決
することなど出来ないと思っている人も多いのではないでしょうか。そのようなこ
とはありません。近年、生命に関する理解の深まりと、観測技術の発達によって、
地球外に生命が存在する可能性が証明されようとしています。今回は、そのような
宇宙空間における生命に関する学問「アストロバイオロジー、宇宙生物学」のお話
です。

 宇宙における生命の話の前に、そもそも人間は何で出来ているのかについて話を
しましょう。人間の身体はおよそ 6割が水分で、残りの 4割はたんぱく質です。体
全体を覆う皮膚、爪や髪の毛、そして筋肉はすべて主にたんぱく質で出来ています。
そしてこのたんぱく質はアミノ酸という物質の組み合わせで出来ています。さらに、
このアミノ酸は水素、炭素、窒素、酸素という 4種類の元素の複数の組み合わせに
よって出来た物質になっているのです。

 さて、人間を構成する物質は、水を除けばその大半が、 4種類の元素でできたア
ミノ酸ということがわかりましたが、このアミノ酸には不思議な特徴があります。
「鏡像異性体」というものをご存知でしょうか、複数の元素が立体的に組み合わさ
ったとき、含まれている元素の種類や個数、そのつながり方も同じなのですが、そ
の配置は鏡に映したように異なる 2種類の物質が存在しうるのです。アミノ酸の鏡
像異性体は左手と右手から連想されるように、左手型アミノ酸と右手型アミノ酸に
わけられます。これらのアミノ酸の性質はほとんど同じです。ところが、地球上の
生命はなぜかほとんど左手型アミノ酸ばかりでできているのです。

 ではなぜ、左手型アミノ酸ばかりでできているのか。いくつか理由は考えられて
いるのですが、その中のひとつ「円偏光」という特殊な光について紹介します。

 光とは、物理学的に「電磁波」のことです。電磁「波」つまり、波なので振動が
生じます。この振動は大きく二つに分けられます。新体操選手がリボンを握った手
を上下に動かすと、リボンは縦方向に振動します。このような振動をする光を「直
線偏光」と言います。一方で、リボンを握った手をぐるぐると円を描きながら回す
と、リボンは円を描きながら進んでいるように見えます。このような振動をする光
を「円偏光」というのです。

 こういった円偏光をアミノ酸に照射すると、左手型アミノ酸と右手型アミノ酸の
間で、右円偏光と左円偏光の吸収の仕方が異なるという興味深い性質がわかってい
るのです。しかし、この円偏光という光はとても特殊で、そう簡単に存在するもの
ではありません。逆に、宇宙のどこかに左右の円偏光が存在する領域があれば、左
手型アミノ酸の偏りの可能性が、つまりは生命の存在する可能性が考えられます。

 それが実際に観測されたのが、オリオン大星雲です。ある研究チームが南アフリ
カにあるIRSF望遠鏡でオリオン大星雲の方向を観測したところ、そこには強い円偏
光が観測されたのです。さらに、オリオン大星雲の中心部に発見された円偏光には、
右円偏光と左円偏光がそれぞれ分かれた領域に広がっていたのです。結果として、
このような円偏光のために、地球と同じように左手型アミノ酸による生命が生まれ
てきたのではないかと考えられました。

 このように、地球外に生命が存在する可能性が考えられました。しかし、まだま
だ課題はたくさんあります。今後、科学が発展し、いつか地球以外の生命に出会え
る日がくるといいですね。


(小林:大阪教育大学)

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【4】黄華堂宇宙検定

 このコーナーでは、毎月3問ずつ宇宙に関する問題を出していきます。新しい知
識を得るため、知識の再確認をするため、今日のお話のネタにするため…お好きな
ようにご活用ください。答えは編集後記の末尾にあります。

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  1月も終わりということで、冬の星空が見ごろを迎えています。
冬は空気が澄んでいて、星がきれいに見える季節です。今回は、この冬の星空から
のクイズです。

(1)冬の星がきれいなのは、明るい星が多いのも理由の一つです。
  リンク先の写真には、冬の明るい星を結んでできる「冬のダイヤモンド」が写
  っています。
  
  この冬のダイヤモンドを作る星座には明るい星である 1等星はいくつあるでしょ
  うか?
 (写真には木星も写っていますが、木星は惑星なので除きます)


 (あ)4個
 (い)5個
 (う)7個

(2)冬のダイヤモンドの辺りには、 1等星以外にも星が多く見えます。 2等星も
  街中から見える星ですから、 2等星が多いのかもしれません。それでは、冬の
  ダイヤモンドを作る星座には 2等星はいくつあるでしょうか?

 (あ)7個
 (い)13個
 (う)20個

(3)実は、 2等星の数はどの季節も同じくらいです。ただし、冬には 2等星の中
  でも明るい星が多くあるのです。星の等級は小数点まであり、 2等星は正確に
  は 1.50 - 2.49等の範囲の明るさの星です。
  これを 1.50 - 1.99等と 2.00 - 2.49等に分けた時、明るい方の 1.50 - 1.99等
  の星の割合はどれくらいでしょうか?


(あ)約 1/3
(い)約 1/2
(う)約 3/4


(鈴木:京都大学)

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【編集後記】
 「来月の星空」の中でカノープス探しを紹介しました。星の動きは計算できるか
ら簡単!と思いきや、これが難しい。霞んだ低空でカノープスが見えた時には、本
当に長生きできそうな気がします。
                   (鈴木:あるのに見えないもどかしさ)

(黄華堂検定の答え)
(1)う
  冬のダイヤモンドを作るのは、オリオン座、おうし座、ぎょしゃ座、ふたご座、
 こいぬ座、おおいぬ座の 6つの星座です。これらの星座はどれも 1等星を持って
 いて、その数は7個となります。
 冬には、それ以外にも低空までしか昇らないカノープスという 1等星があります。
 ちなみに、春には 3個、夏には 4個、秋には 1個の 1等星が見えています。
 なお、この 1等星というのは星の中で一番明るいグループという意味合いですが、
 天文学的には基準の明るさに対してどれだけ明るいかで計算されます。例えば、
 星座を作る星の中で一番明るいシリウスは-1.5等の明るさです。


(2)い
  上記の 6つの星座では、オリオン座に 5個、おおいぬ座に 4個の 2等星があり、
 全部では13個となります。数え方にもよりますが、他の季節では 12 - 16個とな
 り、冬に 2等星が特別多い訳ではありません。


(3)う
  上記の13個の 2等星の中で 1.50 - 1.99等星なのは10個で、 2等星の中での割
 合は約 3/4です。この割合を他の季節と比べると、春は約 1/3、夏は約 1/4、秋
 は約 1/8となり、冬には明るい 2等星が多いことが分かります。
  1等星の数も考えると、冬の星空はまさにダイヤモンドのような豪華な星空と言
 えますね。

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