連載:あなたの知らない宇宙

【第48回 ブラックホールの質量を測る】

第17回では、ほとんどの銀河の中心には非常に重いブラックホール(太陽の100万倍以上の質量をもった超大質量ブラックホール)が存在すると紹介しました。 銀河と超大質量ブラックホールには密接に関連があると知られており、日々研究が行われています。 この関係を調べるためには超大質量ブラックホールの質量を求めることが必要になります。 さて、一体どうやって巨大なブラックホールの質量を求めるのでしょうか?

 超大質量ブラックホールの体重測定にはいくつか方法があるのですが、一般的な方法として、”銀河の中にある星の運動から中心のブラックホールの質量を測定する”というものがあります。 中心のブラックホールの重力の影響を受けた天体の動きを調べることで、ブラックホールの質量を推定できることができます。 ただ、この方法では銀河の中にある星を分離して見ないといけないため、銀河の構造を細かく見る必要があります。

 最近では、星の動きではなく、銀河の中心付近にある分子ガスの動きからブラックホールの質量を求める方法が提案されています。 分子ガスは星などと比べて周りの影響を受けにくく、超大質量ブラックホールの重力による動きを測定しやすいのです。 この手法を用い、アルマ望遠鏡[注2]を使って超大質量ブラックホールの質量が測定できたというニュースが報告され、銀河と超大質量ブラックホールの関係を明らかにする第一歩となりました[注1]。
今後の研究成果も非常に楽しみです。


注1:アルマ望遠鏡については第28回に紹介しています。
第28回 電波史上最高の視力で見える宇宙とは?〜アルマ望遠鏡〜
注2:アルマ望遠鏡 プレスリリース アルマ望遠鏡によるブラックホールの精密体重測定
http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/pressrelease/201506187684.html


(川端: 2015年07月)